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転職面接前に知るべき効果的な心理学の知識

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転職活動で役立つ心理テクニック

  • 面接官に「もしこの人を採用したら」と思わせる
  • ネガティブな警告よりもポジティブなメッセージを発信
  • 明るく楽しい感じを出す
  • 面接官に話をさせる
  • 面接官の意見を否定しない
  • 採用者にコミットさせる
  • 面接の順番は後の方を狙え

内定獲得に効果的な心理テクニックを理解して実践する。

認知神経科学、行動経済学、社会心理学等の書籍から採用面接に応用できる知見を紹介します。

ライバルの知らない有益知識を知って差をつけましょう。

(2020年5月31日改訂)

 

1 面接官に「この人がいたら」と思わせよ

 

面接では、面接官に、応募者が応募先の企業で働いている姿を想像させる。

それがポジティブでかつ具体的であれば非常に効果が高い。

このポイントは、行動経済学の「仮想の所有意識」と呼ばれる効果から裏付けられます。

 

(1) 人は何かを持っているだけでそれを高く評価する(授かり効果)

私たちはなにかに投資をすると所有意識が高まり、そのせいで所有物に実際の価値とは無関係な評価を与える。何かを所有すると、どのようないきさつで所有するようになったかにかかわらず、それを過大評価する。なぜだろう。それは授かり効果と呼ばれる傾向のせいだ。ただなにかを所有しているというだけで、その価値を高く評価するという概念は、ハーバード大学の心理学者エレン・ランガーによって初めて実証され、のちにリチャード・セイラーによって展開された。授かり効果の基本的な考え方は、あるものを今所有している人はそれを過大評価し、そのために将来の所有者が買おうとする金額よりも高い金額で売ろうとする、ということだ。なぜなら、それを買おうとする人は所有者ではないため、所有物への愛着から生じる授かり効果の影響を受けないからだ。一般に、授かり効果を試す実験では、売値は買値の約二倍にもなる。
(ダン・アリエリー&ジェフ・クライスラー『アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-』(早川書房、2018年)149ページ)

単になにかを所有しているだけで、人はその物の価値を高く評価します。

転職に関しても、自社社員が辞めるのを会社は嫌がります。手持ちのものを手放すことを人は嫌がるのです。

しかし、面接では、応募者はまだ応募先に「所有」されていません。

所有されていなくても、「仮の所有」でかまいません。「うちの社員なら」と思ってもらえればいいのです。

 

(2) 「仮にもしこの人がいれば」と思わせるだけで効果はある(仮想の所有意識)

仮想の所有意識と呼ばれるものもある。完全に購入しているわけではないものに所有意識をもち、その品の趣きや感触、感覚を十全に感じることがあるのだ。
たとえば、イーベイでミッキーマウスの時計に入札するとしよう。オークションは間もなく締切で、現時点であなたが最高額入札者だ。オークションは終了していないから、まだ商品を所有していない。なのにすでに落札して所有しているように感じ、自分が商品を所有し、使っているところを想像する。だから、だれかが終了間際に最高額で入札し、商品をかすめとっていくと激怒する。これが仮想の所有意識だ。ミッキーマウスの時計を所有したことは一度もないのに、所有しているように感じ、その結果より高く評価する。

(ダン・アリエリー&ジェフ・クライスラー『アリエリー教授の「行動経済学」入門-お金篇-』(早川書房、2018年)154ページ)

面接で特に重要になるのはこの仮想の所有意識です。

まだ採用しているわけではないのに、採用したかのような所有意識を持つと、その対象となる応募者を高く評価することになるわけです。

この意識を採用担当者に十分に働かせるには、「もし採用したら」ということを考えさせる必要があります。

 

(3) 面接で授かり効果と仮想の所有意識を効果的に活用する実践テクニック

面接では、面接官に仮想の所有意識を持たせるように工夫しましょう。

「私が御社で働いたら~をします」といった具体的シーンを思い浮かべるような発言がよいでしょう。

ア 仮想の所有意識を持たせる発言のためには面接前の準備が必要

そのシーンを作るには、以下作業が有用です。

  • 事前にその会社/事務所が求めている人物像・仕事を知っておく(仮説)
  • 面接でどんな人物が求められているかを質問する

たとえば、ある会社がM&A法務担当者を募集したとします。

まず、面接前に、そのことを知っておき、どんなことを新たに採用する人にしてもらいたいかを予想しておきます。

海外M&Aで外国人弁護士とやりとりをしてほしいのか、国内の小さなM&A向けにDDを含めて社内だけでできる体制を作り上げるための戦力増強なのか、M&Aノウハウが乏しく他の社員への教育目的もあるのか、考えてみましょう。

転職エージェントへの質問も有効です。

 

そして面接で、「どんなことを採用者に求めているのか?」を聞きましょう。

具体的に突っ込みができるとよりよいです。採用側の真のニーズを突き詰めることが大切です。採用側が困っていることが聞けるとよいでしょう。

「これまでの担当者が1人辞めて、1人は産休に入った。英語で海外案件できる人が急に減った。海外とやりとりして社内できちんと説明してほしい。」といった事情を聞き出しましょう。

 

イ 具体的シーンを語って仮想の所有意識を持たせる

準備が整ったら、シーンを設定して、応募者がどう動くかを具体的に語りましょう。

「私がそのポジションについたら、外国の弁護士に言われるままではなく、自分からアイデアを提示します。複雑なことはメールや添付ファイルを使って説明しますが、必要に応じて電話や会議での説明も実施します。また、社内説明向けとして案件内容を日本語サマリーを作って関係部署に随時報告します。」

これは仮定の発言例ですが、事前質問と場面設定、自身の経験がマッチすれば効果抜群です。

 

2 採用という積極的な行動を取ってもらうにはネガティブな警告よりもポジティブなメッセージ

「私を取らないと損ですよ」という強気な警告めいたコメントをすることも考えられます。面接対策本では見ないスタンスの取り方です。

しかし、他人を動かしたいならポジティブな結果を、動かしたくないならネガティブな警告が効果的です。

「行動要請」と「脅威」の組み合わせより、「行動要請」と「ポジティブな結果」の組み合わせの方が、変化を導くには有効

(ターリ・シャーロット『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』(白揚社、2019年8月)85ページ)

 

ネガティブな結果を警告すると、人は思考停止・活動停止になってしまって何もしなくなってしまうのです。

「たばこを吸うとガンになる」というネガティブな警告は、たばこを吸わないという行動停止をもたらすので効果的です。

 

採用面接では、採用という積極的な行動を相手に取ってもらう必要があります。

そうだとしたら、「応募者を採用する」という行動をとらせるには、「私を採用したらこんないいことがあります」という未来のポジティブな結果を伝え、イメージさせるのが効果的といえます。

このポジティブなメッセージを伝えて自分採用のメリットを語るのは、上述した授かり効果、仮想の所有意識と共通して重要な点です。

 

3 面接は自らの楽しく明るい感じで面接官に好影響を及ぼす

面接官によい印象を与えるには、応募者から明るく楽しそうに振る舞うのが大事です。なぜなら、その雰囲気は面接官に影響を与えるからです。

この「感じの良さ」の重要さを侮ってはいけません。面接で重要なのは印象です。
感じの悪さは残ります。

採用という行動をとってもらうよう働きかけるには、感情に訴えかける方が効果的です。
感情に訴えるといっても、涙を誘うような感動的な話をするということではありません。
快活で前向きな印象を与えるのです。

そのためには自分が前向きな態度を取り、感情的に面接官に波及させる必要があります。

感情面でよい印象を与えれば、お互いの情報伝達はスムーズに進み、面接も円滑に進みやすくなります。

影響を与え合う最も強力な方法の一つが、感情を用いることだ。アイデアを共有するには時間と認知的な努力を要することが多いが、感情の共有には時間も手間をかからない。あなたが即座に労せず、たいていは無意識に得たその感情は、周囲の人々の感情に影響を及ぼし、周囲の人たちの感情もまた、あなたの感情に影響を及ぼす。同僚、家族、友人、そして赤の他人までもが、あなたの状態を表情、声のトーン、態度、言葉使いの変化から速やかに感じ取る。そして意識はせずとも、あなたが楽しければ周囲も楽しい気持ちになりやすく、あなたがイライラしていれば周囲もイライラするようになる。
私たちの脳が感情を素早く伝達し合うようにできているのは、周囲の環境に関する重要な情報を、感情が知らせてくれることがあるからだ。

(ターリ・シャーロット『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』(白揚社、2019年8月)56ページ)

論理的に説得的なメッセージを展開して面接官に理解させるよりも、「この人何かいいな」と感情に訴えかける方が遥かに効果的だということです。

私たちは感情を個人的なものと捉えがちだが、その直感は間違っている。他人は瞬間的に、また無意識のうちに絶えずあなたの感情を受け入れ、行動に変換する。私的な感情を表しただけで、他人の感情が誘発されることを心にとめよう。

(ターリ・シャーロット63ページ)

感情は、私だけのもの、相手だけのものではありません。応募者の感情は面接官に作用するということです。

応募者にネガティブな感情を持ってもらうべきか。たとえば、「日本の○○制度はおかしい!私はそれに憤りを感じてそれをなくそうと思っています」という感情を面接官に共有してもらうがいいのか。

あるいは、「私はこれがしたいです。そうすればこんなに楽しいです」というポジティブな感情を面接官と共有すべきか。

どちらも効果がありそうなのですが、「他人を動かしたいならポジティブな結果を、動かしたくないならネガティブな警告が効果的」という上述の説明からすると、ポジティブな感情を共有する作戦の方が優れています。

 

4 面接官に話させろ、質問せよ

面接官の意見はよく聞く。当然です。

そして、できればもっと話をさせるべき。

面接官に「応募者にいいこと話してあげた」と思わせるのが特にいい。

他人に情報を与える機会は、内的な報酬をもたらすようだ。ハーバード大学が行った研究では、人は自分の意見が他人に広まるならば、進んで金銭的利益を見送る傾向にあることがわかっている。

(ターリ・シャーロット『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』(白揚社、2019年8月)13ページ)

面接が終わった後に、面接官に「今日はいいこと教えてあげた」と思ってもらえたら正解です。

 

そのためにはどうするか?

面接官に質問をしましょう。

それも、面接官が話したいことを質問しましょう。

会社ビジネスの将来について話したい採用担当者は社長クラスでもなければ少ないです。

面接官が話したいことは、面接官自身のことです。

面接官がどういう人なのか、その人について質問をしましょう。 

www.career-rule.com

 

5 面接官の意見は否定しない

面接官が、自分とは違う意見を持っている。または、事実と違うことを言っている。
そういう場合、気づいても言わない方が面接ではうまくいくことが多い。
なぜなら、人は自分の思っていることがそうであると信じたいから。

信じることは、実際の出来事と同じように人を幸せにしたり悲しくさせたりする。

情報に打ちのめされたり元気づけられたりしてきた経験を生まれたときから積み重ねてきた私たちは、情報が気持ちに影響を及ぼすことや、情報を利用して感情の調整ができることを、身をもって知っている。結果として人は選択的になり、心地良い信念を形成してくれる情報で心を満たし、不快な考えをもたらす情報を避けようとする。

(ターリ・シャーロット『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』(白揚社、2019年8月)13ページ)140ページ)

面接官も自分にとって心地よい情報で人生を過ごしてきて、それを面接で披露しているのです。

それについて「違います」と指摘するのは、面接官の気分を害します。

面接は議論の場ではなく、自分を売り込む場です。議論するにも時間があまりに足りません。議論するのは入社後でいいでしょう。

自分について誤った指摘をされた場合などでない限り、面接官のコメントは否定せずに気持ちよく語ってもらうべきです。

 

6 採用をコミットさせる

ある中古車販売の講演会で述べられた中古車売り込みのテクニック。

「お客を契約書の前に座らせなさい。お客にOKと書かせなさい。頭金を払わせなさい。お客をコントロールし、商談をコントロールするのです。価格が適正なら、今すぐ車を買う気があるのかどうかを答えさせなさい。大事なのは、彼らの意志をはっきりさせることです」
(ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』(誠信書房、2014年7月)113ページ)

中古車の売り込みの心理テクニックを採用面接という売り込みの場でも応用しましょう。

(1) コミットメントと一貫性が人の行動に影響を及ぼす

ここで述べられた心理的な効果は、人は、一度自分の立場を明確に外部に発信すると、その後の行動をそれと一致させなければならない、一貫していなければならないと強くプレッシャーを感じるということです。

一度、自分の立場を明確にすると、行動とその立場を一貫させようとする強い力が自然と生じます。私たちは、情報が少ない段階で行った予備的な判断にも影響を受け、最終段階の決定をその予備的な判断と一貫させようとします(『影響力の武器』112ページ)

コミットメントに縛られるのは政治家だけではなく、誰でもそうなのです。

たとえそれが挨拶の決まり文句であっても、元気でうまくやっていると答えた人は、恵まれた環境であると自分で認めたために、けちな人間だと見られるのに気まずい思いを感じる(『影響力の武器』115ページ)

「恵まれない子供に募金をお願いします」という電話をかけて募金を募ったときにもこのコミットメント効果は威力を発揮したそうです。

①電話冒頭に上記のとおり「元気でやってますか」と聞いて「はい」と言った人たち
②特に①のようなやりとりはなく単に募金をお願いされた人たち

 

上記①と②を比較して、①の方が募金に応じた人数が多かったそうです。

理由は上記引用のとおり、「恵まれた環境であると自分で認めたために、けちな人間だと見られるのに気まずい思いを感じ」て募金に応じざるを得なくなったのです。

こんなささやかな発言でも人は自分の言ったことに心理的に縛られます。

 

(2) 採用をコミットさせるための技

採用面接でどうこの心理的作用を応用するか。
コミットメントが効果的に影響を及ぼすには、以下4つの条件が必要です。

  1. 行動を含むこと
  2. 公表されること
  3. 努力を要すること
  4. 自分の意志で選ぶこと

これらの条件を満たすには、「こんな人材が採りたい」と言ってもらうのがよいのではないでしょうか。

たとえば、応募者が30歳だとします。採用企業は25~35歳の年齢層で採用したいと思っていて、30歳は取りたい年齢です。

転職エージェントからその会社にこんな質問をしてもらいます。

 

転職エージェント:「25~35歳とありますけど、その中でも望ましい年齢は何歳くらいですか?」

採用担当:「うーん。30歳くらいですね」

転職エージェント:「それならいい人がいます。ちょうど30歳の応募者の方です。」


上記例は、年齢でしたが、「同じ業界出身者」「特定の業務経験」といった採用条件になっているものがあるでしょう。

応募者が持っている強みを単に売り込むだけでなく、採用担当者にその強みを持った人が欲しいと言わせるのがコツです。

 

「私はこの業界の経験者です!」

こう売り込むのではありません。

 

「どのような経験を持った人の採用をご希望でしょうか。(業界経験がある人がいい、と回答させた後に)それでしたら、私はこの業界を経験しています」

このように売り込むのです。

 

「業界経験者採りたいって言ったのはどこの誰でしたっけ?」と後で嫌味が言えるような詰め方をするということです。

 

面接の場では面接官が望む回答をしてくれない可能性がありますので、面接の裏側で転職エージェントに行ってもらうのが効果的だと思います。

 

7 面接の順番は後の方を狙え

面接官の心理の癖を活用して他の応募者の優位に立つべく、面接前の準備も考えましょう。

それは面接の順番です。

後の方を狙いましょう。 

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8 心理テクニックを使うには転職エージェントと協働せよ

採用テクニックをうまく使うには、面接本番だけ集中するのでは不十分です。

書類応募前から勝負は始まっています。

面接で質問するための情報を集め、応募時に応募者のよい印象を与えたり、面接後のフォローも必要です。

転職エージェントを経由するのであれば、転職エージェントの協力、協働が不可欠です。

快く応じてくれるエージェントばかりではないため、慎重にパートナーとなる転職エージェントを選びましょう。 

 

www.career-rule.com