転職面接の順番の心理 | 有利になるための知識・戦術

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人気の企業へはたくさんのライバルが応募します。30人とか50人とか。もっとか。

その中で面接を受けるのなら、「いつ」面接を受けるのが有利なのでしょうか。

1番目か、30番目か、あるいは15番目か。

答えは、「できるだけ後半」です。

面接官の心理を考えよう。

人の心理からすると後の方を狙うべきです。

目次

1 後の候補者の方が高い評価を受けるという調査結果

採用面接の受ける順番で合否の確率は変わるのか?

変わるそうです。

コロンビア大学ビジネススクール教授のアダム・ガリンスキーさんが、それを調べています。

アメリカの名門プリンストン大学の記録を調べたところ、最後に受けた人が採用されていたことが多かった。

ガリンスキーは、プリンストン大学の雇用記録を閲覧する許可を取った後、過去五年間に実施された面接のいくつかを無作為に拾っていきました。そして、そのほとんどで、最後に面接を受けた人が採用されていたということが分かったのです。

(ゴールドスタイン=マーティン=チャルディーニ『影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣』(誠信書房、第2版、2019年12月)38ページ)

プリンストン大学だけそうだったのではないか?

そう思って他でも調査されたところ、同じような結果であったそうです。

好奇心をそそられたガリンスキーは、さらに調査範囲を広げましたが、結果は同じでした。

(同上)

他にも、音楽コンテストやアイドルオーディションでも同じような結果が見られた。

それなら、「順番があり」「評価を受ける」転職面接も同じですよね。

2 昔よりもつい最近の感情の方が強い | 即時性バイアス

面接官は、どうやって採用する人を選んでいるのか?

多くの人は、「印象」で決めています。論理では決めていません。

他の応募者よりも強い印象、それも良い印象を面接官に与えた人が有利です。

人気の応募先であれば、面接に呼ばれた応募者であるライバルは自分と同じくらい優秀です。

面接で優秀かどうかなんてわかりっこありません。そうすると、ちょっとした印象で差が付いてしまうのです。

その印象を考慮すると「いつ」面接を受けたほうがいいか。

このような些細な点が及ぼす心理的影響が差を分けます。

有利なのは後の方です。

なぜなら、「人間は意思決定に際して、過去の感情よりもその場の感情に強く影響される」という即時性バイアスが面接官の脳内で作用するからです(アルバート=ラズロ・バラバシ『ザ・ファーミュラ 科学が解き明かした成功の普遍的法則』(光文社、2019年)108ページ) 

要するに、1週間前に面接したかなり好印象だった応募者よりも、ついさっき面接した好印象の応募者の方が有利なわけです。

好印象が新鮮度を保っているから。

登場順が早いと、その人に対する審査員の記憶が色あせていく

( ゴールドスタイン=マーティン=チャルディーニ『影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣』(誠信書房、第2版、2019年12月)38ページ)

しかし、登場の機会が後の方が有利になる理由はこれだけではないようです。

なんと、参加者を1人ずつ逐一評価する場合でも、「最後に登場する人に優位性がある」のです(同上)。

「1人ずつ逐一評価」する、とは1人目が終わったらその人は●点、2人目が終わったらその人は▲点とその都度評価する仕組みです。

フィギュアスケートみたいな評価の仕方です。

こんな評価方法であっても、最後に登場する人が高い評価を受けやすい。

3 意思決定の際に働く最後効果を転職面接で働かせる

あるビジネス書に書かれていた、事業における問題。

「採用面接で最後に面接した人の印象が良かった。その人を採用するのでよいのか?」

それに対するアドバイスはこう。

面接では最初と最後の人に対する評価が甘くなりがち!

正しい補正を行い最適な人材を採用しよう

(斎藤広達『ビジネス力養成講座 入門編』38ページ)

最初と最後に面接した人の評価は甘くなるそうです。

なぜか。

最初と最後の印象はほかより断然強い。意思決定の世界では、この傾向を最初効果(Primacy effect)と最後効果(recency effect)と呼びます。人間が無意識のうちに陥るワナですから、意識的に補正しない限り、適切な意思決定ができません。

(同上・39ページ)

これは人間の認識の癖とも言えるものです。

この本では、採用担当者に「意識的に補正」しろと言っています。

つまり、最初と最後の応募者は有利だから意図的に減点しろと勧めているわけです。

それくらい最初と最後は有利なのです。

転職面接で応募するのであれば、この最後効果を使わない手はありません。

最初効果はどうした?

本ブログでは、アルバート=ラズロ・バラバシさんが「面接はできるだけ後のほうに受けるべきだ」として、音楽コンクールでも後の方が評価が高くなることを強調していますので、最初よりも最後の方を面接順として狙うことを推奨します。

4 面接官は後半になると慣れてくる

転職面接の面接官はそんなに面接に慣れた人ばかりではありません。

そんな人が面接官をやると、最初の方はうまくいきません。

慣れた人(慣れたと思っている人)であっても時間があけば勘が鈍ります。

よくわからないうちに面接が終わってしまって評価どころでない人もいるはずです。

面接が終わって「あれ聞けばよかったな」と反省の1つもするでしょう。

そんな面接官でも2人、3人、5人、10人と面接を繰り返せば、だんだん慣れてきて余裕が出てきます。余裕がある状態の方が評価はいいでしょう。

なぜなら最初の頃は、「面接って何すればなんかよくわからなかったな」という感じで終わっているからです。

細かなところを評価するところまで気が回りません。

しかし、応募者の方はそれでは困るのです。

面接で差をつけるのは、小さな印象の差です。

細かい点にまで気づいてくれないと、このブログを読み込んで身につけた面接心理テクニックが効果を発揮しないではないですか。 

選考プロセスも終わりに近づけば、面接する側もいろいろと学ぶ。最後の志願者とその前の志願者が面接にうまく答える可能性は、さほど変わらないはずだ。だが、それまでの経験によって知識を得た面接官の質問は良くなっていく。

(アルバート=ラズロ・バラバシ『ザ・ファーミュラ 科学が解き明かした成功の普遍的法則』(光文社、2019年)114ページ)

面接官が慣れてくるせいか、参加者を1人ずつ逐一評価する場合でも、「最後に登場する人に優位性がある」(同上)。

「1人ずつ逐一評価」する、とは1人目が終わったらその人は●点、2人目が終わったらその人は▲点とその都度評価する仕組みです。

フィギュアスケートみたいな評価の仕方です。

こんな評価方法であっても、最後に登場する人が高い評価を受けやすい。

慣れてくるだけでなく、評価基準も緩んでいきます。

5 後の方が評価基準が緩む

音楽コンクールで、審査員が最初のピアニストに最高点を付けるか?

答えはノー。

なぜか。

さらに素晴らしい演奏を聴いた時に、それ以上の点数をつけられなくなってしまうからだ。コンクールが進むにつれ、審査員はその課題曲を聴く耳が肥えるだけでなく、うまく評価できるようになる。気に入った演奏に対して気前のいい点数を出すようになり、あとになるほど評価の基準も緩む

(アルバート=ラズロ・バラバシ『ザ・ファーミュラ 科学が解き明かした成功の普遍的法則』(光文社、2019年)108ページ)

最初の方の候補者は厳しく評価されがちです。

なぜでしょうか。

理由その①は、「最初のほうの参加者に高い点数を与えてしまうと、その後もっと良いパフォーマンスがあった場合、評価に差をつける余地がなくなってしまうことを心配する」から。

理由その②は、「早い段階で、採点者は参加者を完璧なパフォーマーのイメージと比べがち」だから。

(以上理由①および②は、ゴールドスタイン=マーティン=チャルディーニ『影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣』(誠信書房、第2版、2019年12月)38ページより)

転職面接でも後の方が基準が緩む。 

(フィギュアスケートでは)滑走順があとになればなるほど、得点は上がっていく。後半に登場する選手のほうが―いつも必ず、奇跡のように―演技がうまいように見える。運命を決めるのは、やはり演技を披露する順番なのだ。

(同上・109ページ)

6 先の方が有利になる例外的な場合

どんな場面でも後の方が有利になるわけではありません。

採用企業が採用を急いでいて、基準に合う最初の候補者を採用するつもりならば、先の方が有利です。

まさに早い者勝ち。

また、「応募者が二人だけという状況では、先に登場したほうが高評価を得やすいということを示唆する証拠もあ」る(ゴールドスタイン=マーティン=チャルディーニ『影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣』(誠信書房、第2版、2019年12月)40ページ)。

2人で優劣を競う場面なら、先に登場してアピールして評価者の心象を先に独占した方が有利になることもある、ということです。

7 人は最初と最後に学んだことをよく記憶する【系列位置効果】

学習に関する心理実験の結果からも、面接の順番は最後の方か又は最初の方がよいと言えます。

単語10個を覚えるよう勉強してテストをすると、単語帳の最初の方と最後の方に載ってる単語の方がテストの正答率が高かった。

それと同じで、面接官も10人の応募者を面談すれば、最初の1人目と最後の1人は、他の2~9人目の応募者よりもよく覚えている。

10人全員面接した後で、「5人目の中川さん。どんなこと話したっけ??どんな人だったかな。。」ということになる。

このように勉強する順番とそれがどのくらいしっかりと記憶されるかは関係があります。このような順番による効果を系列位置効果といいます(竹内龍人『進化する勉強法: 漢字学習から算数、英語、プログラミングまで』(誠文堂新光社、2019年2月)165ページ)。

面接官にとって面接とは、面接の場が学習の場であり、その後の評価・決定の場がテストの場と考えると、勉強に関する心理学の実験が応用できます。

単語テストだけでなく、他にも学習の順番と記憶の順番についての実験結果が出ています。

最初と最後がよく記憶に残るのです。

(1) アメリカ合衆国大統領は最初の頃と最近がよく記憶されている

他の実験の1つに「アメリカ合衆国大統領を初代から答えなさい」という問題についてのものがあります。

実験参加者に、アメリカ合衆国大統領の名前とその大統領が第何代かを答えさせるという実験テストをやったのです。

その正答率が以下の図です。

竹内龍人『進化する勉強法: 漢字学習から算数、英語、プログラミングまで』(誠文堂新光社、2019年2月)167ページ

アメリカ合衆国大統領の初代はワシントン、2代目はだれだれ、3代目は、、、と勉強して回答する。

こう見ると、3代目くらいまでは勉強しても正答率が高く、最近はオバマ、トランプ、バイデンと覚えているが、中のほうの大統領はよく覚えられない。

上記の図で第16代大統領だけ突出して記憶してもらえていますが、16代大統領はリンカーンであり、圧倒的知名度のため正答率が高くなっています。

(2) 宗教の信者も讃美歌1番から6番では、最初と最後をよく覚えていた

前記(1)の実験では、順番の問題ではなく、初代大統領やリンカーン、最近の大統領はよく見る機会が多いから(学習の時間が長いから)かもしれません。

そこで、学習時間を度外視して学習順と記憶のしっかり度に関する別の実験が行われています。

実験:ある宗教の讃美歌は1番から6番まである。信者は必ず1番から6番まで通して歌う。この信者たちに、この讃美歌の1番から6番までそれぞれの中で歌詞の並べ替えクイズをしてもらった。

結果:信者は、1番の歌詞を一番よく憶えていて、次に6番の歌詞をよく覚えていた。系列位置効果はここでも見られた。

竹内龍人『進化する勉強法: 漢字学習から算数、英語、プログラミングまで』(誠文堂新光社、2019年2月)170ページ

実験の結果、課題の正答率は、2番から5番の歌詞よりも、1番と6番の歌詞の方が高くなりました。歌った回数は同じであっても、その順番に関しては、最初と最後の歌詞をよく記憶していたということです。

歌った回数は学習した量と同じことですから、この結果は、たとえ学習量が同じであっても系列位置効果が表れることを意味しています。やはり、最初と最後は特別なのです。

竹内龍人『進化する勉強法: 漢字学習から算数、英語、プログラミングまで』(誠文堂新光社、2019年2月)171ページ

やはり、最初と最後はよく記憶されています。

(3) 最初と最後がよく記憶される理由

なぜ最初と最後がよく思い出してもらえるのでしょうか。

それは、最初と最後は前後の情報との混同がないからです。

中間で学習した内容は、その前後に学習した内容と近いはずです。大統領名はよい例ですね。ですので、混同が起こりやすくなります。
しかしながら、最初に学習した事柄は、それより前に学習した事柄と内容がまったく違っている可能性が高いでしょう。例えば、国語のあとに理科を学習する場合のように、科目が違うなどです。つまり、学習や記憶の混同が生じにくいのです。これは、最後に学習した事柄にも同じことがいえますよね。

竹内龍人『進化する勉強法: 漢字学習から算数、英語、プログラミングまで』(誠文堂新光社、2019年2月)171-172ページ

(4) 系列位置効果を採用面接でも活用する

学習に関する心理実験の結果を採用面接に応募者が活用する場合には、面接の順番は「最初の方と最後の方」を狙うべきです。

できたら2番目より1番目、最後から2番目より最後の方が効果的ですが、実験結果を見ると、「最初の方」や「最後の方」でも、中間よりは効果があります。

讃美歌実験の結果を再掲します。

4番目よりは5番目や2番目の方が正答率は高いです。

ど真ん中は避けるべき順番です。

竹内龍人『進化する勉強法: 漢字学習から算数、英語、プログラミングまで』(誠文堂新光社、2019年2月)170ページ

8 まとめ:面接の順番という小さな狙いが大きな成功を呼び込む

本記事では、面接の順番はどこが有利かを多方面から検討しました。

以下まとめです。

  • 大学での採用結果(プリンストン大学等での調査の結果):最後の人が有利
  • 即時性バイアス(昔より最近の方を重視):最後の人が有利
  • 最初効果と最後効果:最初と最後が有利
  • 面接官の面接慣れ:最後の人が有利
  • 採用基準が緩くなっていく:最後の人が有利
  • 系列位置効果:最初と最後が有利(最初の方がより有利)

これらの結果から総合して言えるのは以下のことです。

  • 面接を受ける順番は最後が一番有利。
  • 次に有利なのは最初。
  • ど真ん中は不利。

この順番に関する知見をぜひ転職面接に使いましょう。

面接の順番を後の方にするのは、転職エージェントがよほどのせっかちでない限りある程度実現可能です。

大した労力はかかりません。

しかし、その小さな工夫で採用内定という大きな見返りが得られる可能性が上がるのならば、これを試さない手はありません。

次回、誰かと競い合う状況になったときには、選考プロセスの終わりのほうで登場できるようお膳立てをすると、普段以上に有利な状況に立てるかもしれません。

競争相手が三人以上の場合、もしあなたがトリを務めるなら、昇進や新規顧客を勝ち取れる見込みが高まるでしょう。

(ゴールドスタイン=マーティン=チャルディーニ『影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣』(誠信書房、第2版、2019年12月)38ページ)

▼面接の心理をより詳しく

ぜひ転職エージェントと協力して後の方の順番で面接を受けましょう。

ヒーローは遅れて登場すべきなのです。

私が過去相談した転職エージェントの中には「なるべく後に応募したい」と申し出たところそれに応じてくれた転職エージェントもいました。

せっかちで理解力のない転職エージェントなら「なんでですか?早く応募した方がいいですよ」と対応してくれないことも十分ありえます。

転職エージェント選びは慎重に。

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