転職職務経歴書の心理学的に有効な書き方・コツ | 書類審査突破率を上げる

  • URLをコピーしました!

職務経歴書をパワーアップして書類審査の合格率を上げるため、読み手にとって認知負担の少ない(読みやすい)形式を整えましょう。

心理学等をふまえた書き方・コツのまとめは以下のとおり。

  • フォント等を見やすく、読み手の認知負担を減らせ
  • 「開放的書式」を使って読み手の違和感を軽減
  • 職務経歴書を書いたら時間を空けて何度も見直せ

書類審査を突破して面接にたどり着ける確率はそれほど高くありません。多くのデータを集めれば10%台くらいになりそうです。

書類審査は書類が命。

本記事でライバルに差をつけましょう。

(2021年8月11日改訂)

目次

1 職務経歴書の形式が読み手に大きな影響を与える

内容は当然大事ですが、形式にもこだわりましょう。

形式が心理に影響するからです。視覚を通して審査者に影響を与えているのです。 

文章を渡して読んでもらって、その内容を信じさせたい?

文字のフォントが明確で目を惹くものにすること。

見た目が乱雑な文章では、説得力が大きく低下する。

(リチャード・E・ニスベット『世界で最も美しい問題解決法 ―賢く生きるための行動経済学、正しく判断するための統計学―』(青土社、2018年1月)38ページ)

ニスベット教授はこのように説明しています。

職務経歴書という重要書類を読み手にきちんと読んでもらうには、読みやすく形式が整えておくべきなのです。

認知しやすい文書については、心理学者としてノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンもこう説明しています。

鮮明に印刷された文章……は認知しやすく、スムーズに処理される……。逆に、見にくい活字やかすれた印刷の説明書、あるいは難解な用語を使った文章を読んだり……すれば、認知負担を感じる。

(ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー 上』(早川書房、2012年11月)89ページ)

多くの企業では、職務経歴書を紙にプリントアウトして見ています。

プリントアウトされたときに見やすいフォーマットになっているか要注意です。

わかりにくい文章を書いてはいけません。

表記がおかしくなっていないか、読み手にが楽に読めるか配慮しましょう。

いまあなたは、受け手に真実だと信じさせる文章を書かなければしよう。もちろん本当のことを書くにしても、それだけで信じてもらえるとは限らない。そんなときに認知容易性をうまく使うのは完全に正当であり、「真実性の錯覚」の研究成果がきっと役に立つだろう。
原則としては、認知負担をできるだけ減らすことである。そうすれば、ただちに視認性を高めることができる。

(カーネマン・同上94ページ)

わかりにくい用語を使ったり、難しい表現を使うのは得策ではありません。

自分を信頼できる知的な人物だと考えてもらいたいなら、簡単な言葉で間に合うときに難解な言葉を使ってはいけない。学生の間には、教授に印象づけるには難解な語彙を使ったほうがいいという通説が流布しているが、プリンストンの同僚ダニエル・オッペンハイマーはこれに異議を唱え、「必要性とは無関係に衒学的な専門用語を使用することの影響すなわち無用に長い単語を使うことの弊害」と題する論文を書いた。この論文でオッペンハイマーは、ありふれた考えをもったいぶった言葉で表現すると、知性が乏しく信憑性が乏しいとみなされることを示した。

(カーネマン・同上)

2 職務経歴書は四角囲みで覆った閉鎖的タイプよりも、囲みのない開放的タイプを

「線には数量や実体はなく、実在する物体というよりは空想的概念である。

これが線の本質であり、現実世界には存在しない」

ーレオナルド・ダ・ヴィンチ

職務経歴書等の書類には以下のように大きな四角で囲ったボックスの中に各書式と、特に枠線を設けない書式があります。

①四角で囲ったボックスの中に文字を書く閉鎖的なタイプ

②枠線を周りに設けない開放的なタイプ

②の開放的タイプの職務経歴書を使うことをおすすめします。

なぜか。

書式は、読み手に認知的負担を与えないものがよいです。

四角囲みを構成する「直線」は、自然界に存在しない異質なものであり、人の視覚に違和感を生じさせることから、認知的負担が大きいと思われます。

「重要なところに直線」と言われるのは、直線は違和感を感じて人が注目しやすいことを利用したハイライト方法でしょう。

そんな直線が、職務経歴書の全く重要ではない箇所(上下左右)に張り巡らされていては、読み手が余計なところに知らぬ間に気を取られてしまう可能性があります。

これはレオナルド・ダ・ヴィンチの洞察を基にした考えです。

そもそも自然にははっきりとした線は存在しないことに、レオナルドは気づいていた。
……自然界には明確な数学的線、境界、縁で区切られたモノは存在しない、と。

「線には数量や実体はなく、実在する物体というよりは空想的概念である。これが線の本質であり、現実世界には存在しない」

(ウォルター・アイザックソン『レオナルド・ダ・ヴィンチ 上』(文藝春秋、2019年3月)347ページ)

光は網膜の複数の点にぶつかることから、人間が認知する現実にはカミソリのように鋭いエッジや線は存在しない

 (ウォルター・アイザックソン『レオナルド・ダ・ヴィンチ 下』(文藝春秋、2019年3月)262ページ)

上記考察をベースに、各転職エージェントが提供しているテンプレートを吟味しましょう。

3 職務経歴書は時間をかけて読み直せ

職務経歴書は、自らを売り込むビジネス文書です。

いい文章を書きましょう。

いい文章、といって凝ったことを書く必要はありません。

凝ったことを書いてはいけない、とは上述しました。

上記過去記事にてジェフ・ベゾスが「いい文章」を書くために力説したのは、「短時間でできると思うな」「偉大な文章は時間をかけて見直されて作られる」ということです。

インターネット上でテンプレートをダウンロードしてきて自分用にアレンジしてハイ終わり!

誰だって面倒な書類作成はこんな感じで楽に終わらせたいです。

私が過去記事で「法務転職用職務経歴書を徹底比較」なんて書いたのは、「複数のテンプレートのいいとこどりをすれば、頭を使わずにそれらしい職務経歴書ができるだろう」と考えたからでした。

しかし、テンプレートは当たり障りのないことしか書いておらず、テンプレートを修正した程度ではレベルの低い職務経歴書しかできません。

当然自分のオリジナリティも発揮できません。他の応募者と差が付かないのです。

作成したら、数日時間を空けてからフレッシュな目で再度見直して書き直すのがよい職務経歴書への道です。

これが世界最高峰のビジネスマンであるアマゾン創業者ジェフ・ベゾスが教えるよい文書作成のコツの1つです。 

4 職務経歴書は現職でがんばることで磨かれる

本記事は主に職務経歴書の形式面に焦点を当ててきました。

しかし、形式だけでは当然だめです。中身がなければいけません。

職務経歴書の中身とは、当然これまでの仕事で何をやってきたかです。

これを伝えるのが職務経歴書です。

内容・職歴 × 形式(%) = 書類の力(審査突破力)

職務経歴書の中身のパワーが100あっても、形式面がしょぼくて30%しか伝えられないのであれば、その書類の力は30しかありません。

ただ、形式はしょせん形式です。最高が100%、つまり1です。

形式が30%しかない応募者でも、内容パワーが500あれば、150の力を持つ書類が作成できます。

形式には上限があるが、内容には上限がないのです。

ぜひ現職をがんばって職務経歴書をパワーアップさせましょう。 

本記事で書いた書き方のコツは、この内容をサポートする補助的なものです。

とはいえ効果は絶大です。

 5 職務経歴書は転職エージェントに助けを借りるが頼らないこと

私がこれまで起用してきた転職エージェントは、あまり職務経歴書をきちんと読むことに積極的ではありませんでした。 

転職エージェントが職務経歴書について不合理な意見を言ってきたら、それには反対すべきです。自分でよく考えましょう。

私は、リクルートエージェントの担当者の1人目の職務経歴書についての意見に納得できず、それ以外にも態度が悪かったので交代してもらいました。これは大成功でした。交代してもらった2人目の担当者は感じが良く、内定も取得できました。 

自分が優れた職務経歴書を書けるとしても、他人に読んでもらうのは重要です。

転職エージェントの方が職務経歴書を読みなれてもいます。

職務経歴書の添削に力を入れているという転職エージェントもいます。

転職活動で職務経歴書を作成する際には、他ではあまり紹介されていない人の認知的側面に焦点を当てた本記事を活用して、うまく転職エージェントと相談することによって書類突破率を上げられるはずです。 

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (2件)

コメントする

目次