リクルートエージェントはとてもいいです。案件数が豊富で、マイページでの情報収集や応募といったシステムの使い勝手がよいからです。転職の際にはまずは登録必須です。
以下記事はネガティブ体験談から始まりますが、それをもってリクルートエージェントをだめとは思わないでほしいと思います。
(2019年11月17日改訂)
1 1人目のエージェントは感じが悪かった
感じの悪いおばさんでした。別の記事でも書いた「上から目線」のエージェントでした。
他のエージェントにも提出していた私の職務経歴書にケチをつけられました。ケチをつけてきたのは、具体的な内容ではなく、余白があったことについてでした。
なぜ職務経歴書に余白があるとだめなのか?私は、意味のまとまりごとに余白を設けて区切り、読みやすくしたつもりでした。
その上から目線エージェント曰く、「採用担当者は忙しいので、このようにすっきり見せなければいけません」とのことでした。
「1ページにまとめましょう」ならわかる。複数ページのものより1ページのものを読む方が楽です。
しかし、「読み手は忙しいから余白をなくせ」ってそんなの納得できません。。
後はあまり覚えていないのですが、「さっさとウェブから応募しろ」みたいな横柄な態度でした。
2 エージェント交代を依頼
リクルートエージェントは、登録するとウェブ上で求人情報が見れます。この閲覧機能は非常に便利です。情報も豊富です。見ていると、いくつか応募しようかな、と思える求人情報がありました。
しかし、「あの横柄エージェントが担当か。。」と思うと嫌になりました。
リクルートエージェントは使いたいけれども、担当エージェントが嫌だったのです。交代してほしかった。でも、交代をお願いするのは「なんか失礼じゃないか」と悩んだりしました。
しかし、たくさんエージェントがいる会社だし、交代依頼もよくあるだろうと思い、面談後のアンケートで交代をお願いしました。
その後、担当エージェントが交代になりました。
3 2人目のエージェントは話をよく聞いてくれました
今思えば、交代をお願いして本当によかった。
二人目のエージェントは、自分でも転職経験者で、前の職場の上司が嫌だったから辞めたということでした。私も上司(パートナー弁護士)が生理的にどうしようもなく受け付けなくなり、気が狂いそうになって転職先を探していました。
話を聞いてもらえてよかったです。
法律事務所から企業へ転職すると年収はけっこう下がります、と釘を刺されて辛かったですが、事実なのか、あるいは期待度を下げておいて転職応募先を増やそうとしたのかはわかりません。
リクルートエージェントから応募した企業と、他エージェントから応募した企業の両方から内定をもらい、とても迷いました。
両方のエージェントとも、自分のところから応募した会社に転職するよう勧めてきます。それは当然です。それで売上が決まるので仕方ありません。
私は、それまで相談していて信頼していた第三者のエージェントにどちらにしようか相談しました。この相談は非常に役に立ちました。信頼できるエージェントは、こうした場面でも役に立ちます。
結局、リクルートエージェント経由で内定をもらった企業は断り、別エージェント経由の企業に行くことにしました。
4 リクルートエージェントはよかった
転職後もリクルートエージェントは、登録を続けていますので、求人情報が常に流れてきます。「こんなのあるんだ」と思ってみています。
また、リクルートエージェントは、無料で転職セミナーをやってくれます。ためになりました。
リクルートエージェントに登録して、多様な案件、多様なエージェント、求人情報閲覧サイトや無料セミナーなどの優れたシステムを活用することは転職活動にとても役に立ちました。
次回転職活動をすることがあれば、またリクルートエージェントに相談することは間違いありません。
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以下では、巨大なリクルートグループ内におけるリクルートエージェントのビジネスの立ち位置を分析します。
興味のない人は無視してください。
有価証券報告書がメインの情報源です。
5 リクルートエージェントのグループ内での立ち位置
(1) リクルートグループのビジネス全体像
リクルートグループは、大きく3つのセグメントを持っています。
- HRテクノロジー事業
- メディア&ソリューション事業
- 人材派遣事業
ここでクイズです。
Q:転職エージェント業は、リクルートグループの上記3セグメントのどこに入るでしょうか。
A:答えは、「2.メディア&ソリューション事業」です。
私はてっきり1.の方かと思いました。「HR」とあるからです。
各セグメントのビジネスを概観しましょう。
① HRテクノロジー事業
HRテクノロジー事業は、以下のオンライン人材関連ビジネス事業で構成されています。
- オンライン求人情報専門検索サイト「Indeed」
- オンライン求人広告及び企業情報サイト「Glassdoor」
Indeedは最近CMをよくやっています。どんなサービスでしょう。
Indeedは、アグリゲート技術と独自の検索アルゴリズムにより、企業ウェブサイト、求人広告サイト及び「Indeed」に直接掲載された求人情報等から最も適切な求人情報を検索結果として提供することにより、ユーザーの求職活動の効率化を促進します。また、求人広告及び採用サービスを通してクライアントの求人活動を支援します。更に、クライアントは「Indeed」に登録された履歴書にアクセスし、適切な候補者を探すことができます。
Glassdoorは英語のサイトです。外資系企業の平均年収が見れたりします。
Glassdoorは求人情報とユーザー投稿による企業レビュー等独自のデータベースを展開し、ユーザーの求職活動を支援します。また、Glassdoorのクライアントは求人広告や企業ブランディング等を含む人材採用ソリューションを利用することによって大規模な採用活動を実施することができます。
② メディア&ソリューション事業
メディア&ソリューション事業は、以下2つの領域から構成されています。
- 販促領域
- 人材領域
販促領域において、住宅、結婚、旅行、飲食及び美容等の分野で、当社グループが有するプラットフォームを通して、日常の様々なシーンでユーザーの行動を支援するサービスやクライアントの集客や経営・業務効率の改善等を支援するサービスを提供しています。
以下のような馴染みのあるサービスがこの販促領域に含まれます。
- 住宅分野「SUUMO」
- 結婚分野「ゼクシィ」
- 旅行分野「じゃらん」
- 飲食分野「HotPepperグルメ」
- 美容分野「HotPepper Beauty」
- 中古車情報誌・情報サイト「カーセンサー」
- 進学情報誌・情報サイト「スタディサプリ進路」
- インターネットによる学習支援サービス「スタディサプリ」
- 飲食分野や美容分野のクライアントの業務・経営支援サービス「Airレジ」や「Airペイ」をはじめとする「Airシリーズ」
ではいよいよ我らがリクルートエージェントが所属する「人材領域」を見てみましょう。
人材領域において、当社グループが有するメディアを利用して、ユーザーの求職活動及びクライアントの求人活動を支援するサービスを提供しています。
提供するサービスは次のとおりです。
- 新卒向け就職情報サイト「リクナビ」
- 社会人のための転職サイト「リクナビNEXT」
- 人材紹介サービス「リクルートエージェント」
- 情報誌・情報サイト「タウンワーク」
ここでついにリクルートエージェントが登場しました。
リクルートグループの、メディア&ソリューションセグメントの、人材領域の中に含まれるビジネスとして、リクルートエージェントの人材紹介サービスがあるのです。
ちなみに、リクルートグループの中で「人材領域」を扱う子会社は以下2社があります。
- 株式会社リクルートジョブズ
- 株式会社リクルートキャリア
人材紹介業(転職エージェント)をやっているのはリクルートキャリア社です。
③ 人材派遣事業
人材派遣事業は、国内派遣領域及び海外派遣領域で構成され、事務職派遣、製造業務・軽作業派遣及び各種専門職派遣等の人材派遣サービスを提供しています。
海外でも派遣事業をやっているんですね。
(2) リクルートグループ全体の売上・利益
リクルートはどれくらい儲けているのでしょうか。直近の2019年3月期の数字を見てみましょう。
全体の売上は、2兆3107億円です。
日本国内では65位にランクインしています。
全体の利益は、1742億円です。
日本国内では48位にランクインしています。
(3) 各セグメントの売上・利益
3大セグメント事業の売上・利益(EBITDA*)は次のとおりです。なお、このEBITDAのグループ合計は、2932億円(グループ間取引を消去)です。
HRテクノロジー:3269億円・474億円
メディア&ソリューション:7214億円・1724億円
人材派遣:1兆2902億円・829億円
*EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±その他の営業収益・費用
上記をざっと見ると、最大の売上を上げているのは「人材派遣事業」ですが、最大の利益稼ぎ頭は「メディア&ソリューション事業」であるのがわかります。同事業の利益率は、約23.9%とかなり高いです。
(4) 国内人材募集分野の売上・利益
リクルートグループの中のメディア&ソリューション事業の中で、人材領域のうち、「国内人材募集」分野の売上・利益はどうなっているでしょうか。
売上は、2839億円です。これはグループ全体で12.3%を占めています。
利益は、792億円(注:人材領域全体)です。これはグループ全体で27%を占めています。
以上からすると、リクルートグループにおいて、国内の人材ビジネスは重要なポジションを占めているといえます。
(5) 人材紹介ビジネスの説明byリクルート
最後に、リクルートが説明する人材紹介業の説明を引用します。
当社グループは、社員の中途採用を希望する顧客に対し、求める人材要件を整理した上で、職務経歴・スキル・志向の合った候補者を選定し、転職希望者を紹介する人材紹介サービスを提供しています。
当社グループは、紹介した転職希望者の入社をもって、顧客から紹介料を得ています。人材紹介サービスについては、契約に基づき個々の採用の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っています。当該履行義務は、個々の入社時点で充足されるため、同時点で収益を認識しています。
売上が認識されるのは入社時点なんですね。