会社を辞めて転職するか辞めずに残るかの英断を下す方法

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会社を辞めたい。でも本当に辞めるのが正しい決断なのか。

この難しい問題を解決するためには自分なりの基準が必要です。

司法試験の勉強や弁護士の仕事でたくさんの判例等で「基準」を学んできた本ブログ管理人が、転職で誰でも使える簡単な基準を作りました。

仕事を辞めるか残るかは、今の職場と、転職先を比較して決めるという比較衡量で決めるのがおすすめです。

当たり前のことですが、「今の仕事を辞めたい!」と思う人は、現在の仕事をきちんと評価できず、転職候補先の会社のことばかり考えてしまいます。

「A社に転職できたらいいな。B社、C社も捨てがたい。どこに転職しよう」と。

単にどの会社に転職したらいいか?と考えるのではなく、今の職場を比較対象として活用することで適切な判断結果に至ることができます。

目次

1 単独評価よりも並列評価―比較してこそよい判断ができる

今後のことを考えるのにあたって、今の満足できない状況や、明るい未来展望だけを考えるのは視野狭窄です。

視野を広げて適切な判断をできるよう自分を導いてあげるべきです。

他でもない「自分」には、悪い判断よりも良い判断をしてほしいでしょう。

良い判断、合理的な転職に関する判断をするにはどうすればよいか? 

より広い総合的な枠組みで考えるほうが、合理的な判断が下されやすい。

(ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー (下)』(早川書房、2012年11月)191ページ)

心理学者でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの説明をベースに説明します。

カーネマンは、「広い総合的な枠組み」を使って考えるのが合理的判断には有効といいます。

転職検討ではどうしたらいいのか。

この記事でお勧めするとおり、複数を比較しましょう。並列評価をするのです。

並列評価は、明らかに単独評価より広い枠組みである。

(同上)

すなわち、合理的判断には、広い枠組みを使うべきである。並列評価は、単独評価より広い枠組みである。よって、単独評価よりも並列評価の方が合理的判断に適している。

人は、単独で何かを判断するのは苦手です。

何かの良しあしは必ず何かと比較する。

人間は、ものごとを絶対的な基準で決めることはまずない。ものごとの価値を教えてくれる体内計などは備わっていないのだ。ほかのものとの相対的な優劣に着目して、そこから価値を判断する。

実際にわたしたちは、身のまわりのものを常にほかのものとの関係でとらえている。そうせずにはいられないのだ。

(ダン・アリエリー『予想どおりに不合理  行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」(ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2013年8月)28ページ、35ページ)

具体例として、パンケーキがおいしいかどうか、の評価をあげます。 

  1. ある店で1種類のパンケーキを食べて、それがおいしいかどうか判断する。
  2. 2つの店で同じようなパンケーキを食べて、両者を比較してどちらがおいしいかどうか判断する。

上記2.の方が優れた判断方法だということです。

ある人の歌が上手いかどうかは、他の人と比べてみて「上手い」と評価できるのです。

ではなぜ並列評価の方が単独評価よりも合理的判断に適しているのでしょうか。

カーネマンの説明はこうです。

比較対象を行う並列評価では必然的にシステム2が働くので、単独評価よりぶれない判断が期待できる。単独評価の場合には、システム1の感情反応が強く反映されるため、一貫性を欠きやすい。

(同上)

単独評価をしようとすると、人は即断即決型の思考システムを用いてしまい、その判断に感情が強く混入してしまいます。

他方で、並列評価であれば、人は慎重検討型の思考システムを用いるので、判断が単独評価よりも安定するのです。

転職という人生の大きな決断は、感情任せの判断よりも、熟慮によって決める方が適しています。

したがって、並列評価の方が単独評価よりも向いています。

転職するかどうか検討するには、ぜひこの並列評価をしましょう。

どう並列評価をするか。

「辞めて転職する場合」と「辞めないで会社に残る場合」を比較するのです。

単に「辞めようかなあ、どうしようかな」と自社のことだけ考えてはだめです。

なぜなら、多くの人は、辞めた後の生活があり、転職して給料を得なければなりません。辞めるということだけでなく、別の会社に行った後と比較すべきです。

また、転職先候補として超絶魅力的(に見える)会社があった場合、その会社を単独で評価してはいけません。

これは陥りがちな判断方法です。

自社との比較を忘れ、転職先候補だけに目を向けてしまうというよくない検討方法は避けるべきです。

ベンチャー転職で失敗も後悔もしないための注意点 」で説明したように、「とりあえずベンチャー企業に行けば大変かもしれないがエキサイティングだろう」とかはよくありがちな単独評価の例です。

転職で成長産業を狙うことの罠 | 誰もがひっかかる 」も同じような発想について注意を促す内容です。

(注:本記事では、会社を辞めて転職する人を念頭に置いています。会社を辞めてその後転職しない人は対象外です。)

2 今いる会社を比較対象にするのは合理的だ

転職したくなったら、「このA社はいいな!」とか「辞めたらどんなに楽になるだろう」という単独評価は自分の中で抑制して、並列評価をしなければなりません。

多くの人は辞めることと、新しい職場だけに目が向きがちですが、現職場に注目すべきです。

なぜ現職場を比較対象として注目すべきか?

それは、現職場が比較対象として堅い・確実な存在だからです。

転職候補先と違って、今いる職場の多くのことがわかっているため、比較対象としてよいのです。

A:1回しか食べたことのないパスタ2種類を比較する

B:3年間毎日食べているパスタと、1回だけ食べるパスタを比較する

上記AとBだったら、Bの方が比較しやすいでしょう。Bであれば、「毎日食べているパスタ」をベースにして、それと比べてもう1つのパスタの味わいがどうかを考えるゆとりが生まれます。

転職候補先α社とβ社を比べるのは大変です。だって、α社もβ社もそこで働いたことがなければイメージしにくいでしょう。

今いる会社での仕事、生活をベースにして、ありうる転職先の未来と比較するのです。

その比較の際に気をつけるべきは、人は将来のことや潜在的可能性を高く評価しがちだということです。

転職面接に受かるアピール方法 | ハーバード流面接突破術」の中で、人のこのような判断の傾向を紹介しました。

面接官のバイアスは利用し、自分のバイアスは正しく補正しましょう。

むやみやたらと明るい未来を高く評価するのは人間の思考の癖です。

転職で応募した会社は明るく見えがちなのです。

3 会社を辞めて得られるものと失うものを冷静に考える

今いる会社と転職候補先とを比較するときの注意点。

感情発動は控え目に。

会社を辞めれば嫌な職場から解放されます。嫌いな上司や同僚にもう会う必要はありません。きつい仕事のストレスを抱えずにすむのです。

これは大きい。

実に大きい退職のメリットです。 

転職は職場の人間関係の悩みを解決してくれたでそのメリットについて書きました。

会社を辞めたい人の頭はこのメリットに取り憑かれがちです。

「ああ、会社行きたくない。辞めたい…。」と思いながら日々仕事をしているので、関心事は現職場からの解放にあるのは当然といえます。

この関心に注意が行き過ぎて「会社嫌い」感情が発動すると、今の会社を退職するメリットを過大に見積もる危険があります。

「今いる会社は何もかも嫌だ!」と自暴自棄にならず、会社を辞めた場合に失うものも考慮しましょう。

安定した給料、仲の良い同僚等々。失ってから気づくよいところもあるのです。

「会社の悪い所が良い所をはるかに上回るから、良い所なんてない!」と考えるのではなく、長所と短所を分けて考えましょう。  

4 今の会社に残ることで失うものも考える

今の会社を辞めることで失うものをきちんと考える。

それはとてもよいことです。

しかし、今の会社に執着心を持つこともまたよくありません。

これは言うは易く行うは難し。

人の心理は、保有効果が働くため、現職場に固執しがちな傾向があります。そのため判断には現状維持バイアスがかかります。

「今の会社に残るのでいいだろ」と安易に考えてしまいます。

しかし、転職可能性があるのに転職しないということは、新しい職場で手に入るはずだったものは手に入らず、それにとどまらず今の会社に残ることの損失も被ることになります。

転職を恐れて今いる会社を過大評価する心理については「【転職が怖い・動けない】その心理的理由を知らないとキャリアで損をする」に書いています。

転職になぜ恐怖や不安を感じて躊躇するのか理由を知るのは良い判断に役立ちます。

5 辞めて転職するかどうかは現職場と比較して相対的に決定する

前記説明を考慮し、会社を辞めるかどうかは、現職場vs転職候補先の、相対評価によって決定すべきです。

単に今の会社を辞めるかどうかだけ考えてはだめです。 

(1) 今の会社が嫌なら

今の会社が嫌なら、現職場の魅力は低いので、「退職して転職」の方が魅力的な選択肢になりがちです。

そのため、複数の求人情報を見て、それほど条件が魅力的でなくても退職の方が望ましい選択になることが多いといえるでしょう。

場合によっては、給料ダウンでも転職すべきことになります。

(2) 今の会社が嫌でないなら

今の会社が嫌でないなら、転職候補先はかなり良い条件でなければ今の会社に勝てません。したがって、転職すべきでないというのが妥当になることが多いです。

(3) 不透明な転職先よりも確実な現職場を高く評価せよ

辞めるか残るかを考えるために、現職場と転職候補先を比較する。

この際、現職場の方を贔屓目に見て、転職候補先をやや減点して評価すべきです。

なぜか。

転職というのは不透明です。転職先には行ってみて働かないとわからないのです。そして、思ったより良い・悪い、というのが後日わかります。

転職というのは、この不透明さ・リスキーさをはらんでいます。

この転職リスクを考慮するために、転職候補先のポイントを意識的に割り引いて評価すべきです。

たとえば、こんな感じです。

「現職場は、総合60点だ。転職候補先A社は67点、B社は72点。でも、転職にはリスクが伴うから、10点マイナスにしよう。

そうするとこうなる。

現職場:60点

A社:57点

B社:62点」

転職は、リスクがあるから、転職先の待遇等の条件には現職場よりも上乗せ(リスクプレミアム)があるべきだ、ということを主張している本を見たことがあります。

6 転職候補先を評価する基準

会社を辞める判断に当たっては、短絡的な直感で決めるのは不適切です。

本記事で勧めているのは、慎重で合理的な判断です。

直感で仕事を選び転職を決めていいのかでも書いていますが、絶対的な適職や天職はありません。相対的にいい仕事を選んだ方がいい。

現職があるのなら、比較対象として使うべきです。

本記事では並列評価・比較検討がよいと紹介しました。

本記事が、より良い職場で仕事ができるようになる決断の手助けとなれたらと思います。

比較基準は当然ながら多い方がよいため、多くの転職エージェントに相談して有益な求人情報を得ることは重要です。

転職エージェント総まとめ | 34社相談体験に基づく評価 」では、私が過去相談した転職エージェントのまとめを載せています。

これも並列評価のための情報です。

転職エージェントも比較してうまく使い分けるとよい結果になる確率が上げられます。 

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