弁護士が転職相談の相手選びを失敗しないためにはどうしたらいい

弁護士 転職 相談
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弁護士が「仕事を辞めるべきか」「転職した方がいいのか」「どこに転職した方がいいのか」と悩む。

その決断で失敗したくない。

どうしたらいいか誰かに相談したい。

誰に相談したらいいだろう。

この悩みは複数回転職したジョブホッパー弁護士の私にはとてもよくわかります。

この悩みに対する回答の要約は以下のようなものです。

「相談相手の適任者がいると期待するな。自分で決めるべし。転職してみてダメならしょうがない。また転職して修正すればいい。他人のアドバイス頼みに完璧な転職計画を練ろうなんて机上の空論なので、自分でやってみるしかない。失敗しやすい回り道のように見えるが、このやり方が一番いい。」

目次

1 他人である専門家”キャリアアドバイザー”が適切な意見をくれるという誤った思い込み・幻想

グーグルで「弁護士 転職 相談」と検索する。

すると上位ページで「 弁護士業界専門のキャリアアドバイザーがベスト」というようなことを言っているサイトが出てきます。

この手の転職エージェント、キャリアコンサルタントは信用できません。

(1) 「髪を切った方がいいか」と床屋に相談してはいけない

‘Don’t ask the barber whether you need a haircut’

これはウォーレン・バフェットの言葉です。

M&Aをすべきか考えている企業経営者は、M&Aアドバイザーに「M&Aした方がいいか?」と質問してはいけないという文脈で語られます。

アドバイザーは自分の売上になるので「すべき」とアドバイスしてくる可能性が高い。なんとなくそれらしい理由を付けて。

裁判で利害関係の強い証人の供述は信用できないでしょう。

「弁護士は転職するなら専門家に相談すべき」と言っているサイト、そのサイトの運営者は誰ですか?

(2) 転職エージェントやアドバイザーの類は弁護士のキャリアについて詳しくない

キャリアアドバイザー曰く「○○人の相談に乗ってきた経験があります。それに基づいてベストなキャリアアドバイスをします。」

面談で多くの話を聞いたからといっていいアドバイスができるようになるわけではありません。

「このご高齢の弁護士先生は、これまで長年多くの依頼者の相談を聞いてきたから腕がいい弁護士です!」と紹介されても説得力ないでしょう。

相談者数が重要なら、不特定多数の顧客の相談を受けがちな一般民事の弁護士は、企業法務の弁護士よりはるかに能力が高いことになります。

相談に乗ってるからといって何かすごい人になれるわけではありません。

また、弁護士の転職を専門にしているという転職エージェントには10人以上会いましたが、弁護士の仕事やキャリアについては詳しくありません。

ただ多くの法務求人を取り扱っているだけであり、「この弁護士はこういうキャリアを歩んだらいい」ということについては勝手な思い込みを持っているだけであって、個々の弁護士に対してオーダーメイドのキャリア論を展開できる転職エージェントはいません。

それでも”法務専門”転職エージェントは、”アドバイス”を強みにしています。

なのであれこれお節介な”アドバイス”をしてきます。

そのお節介なアドバイスは、その転職エージェントにとって都合のいいアドバイスです。

相談しているこちらの状況なんかお構いなしですよ。

ある転職エージェントは、「給料安くなるから覚悟しろ」と言ってきました。その転職エージェントが取り扱っている求人は給料が安いのが多いから。

ある別の転職エージェントは、「法務職でハイポジションに就くためには管理職経験はそれほど重要とはいえない」と言ってきました。その転職エージェントが勧めている求人情報は管理職ポジションでなかったから。

転職エージェントは、ほとんどが弁護士として働いたことのある人ではありません。

採用企業から求人情報を受け取り、転職希望の弁護士を紹介してマッチさせるだけです。

ある個人の弁護士のキャリアの点でしか立ち会わない存在です。

その個人の弁護士には日々の仕事がありますが、それについては転職エージェントはもちろんノータッチです。でも、普段の仕事の方が一時的な転職活動よりも重要なのは間違いがありません。

日々の仕事のことが全然わからないのに、職務経歴書と面談という少ない情報をもとにキャリアアドバイスしようなんておこがましい。

転職エージェントは弁護士の仕事もキャリアも適切な転職先もわかっていません。

面談するのは悪いことではありませんが、鵜呑みにしないことです。

転職エージェントにキャリア相談をするのは愚策だということを頭に入れて転職エージェントとの面談に臨むべきです。

2 弁護士の転職の最高の相談相手は自分ー裁判官のように自分で判決を決める

転職エージェントは相談相手として適切ではない。

では他は?

友人とか。同期の弁護士。

友人や知り合いの弁護士は、雑談や情報収集相手としてはいい。

でも真面目に決断を下すために重要なアドバイスを求める相手としては適任者ではありません。

友人は、あなたのキャリアなんかどうでもいいんです。

じゃあ誰に相談するか。

よく考えてみると、適切な相談相手はいません。

自分の問題なので、自分で考えるべきです。

司法試験受かるためにさんざん頭使ってきたでしょ?

憲法の二重の基準がどうとか自分にとってどうでもいい問題ではなく、自分の仕事・キャリアという重大論点について自分で考えて答えを出すべきです。

ここで、あるビジネスマンの「自分のキャリアは自分で責任を持て」という言葉を紹介します。

悲しいことに、他人はあなたのキャリアの責任を取ってはくれない。自分のキャリアは、文字通り自分のビジネスなのだ。あなたは自分のキャリアを個人事業主としてとらえるといい。従業員はひとり。あなた自身だ。そして同じ立場にいる世界中の何百万というビジネスパーソンが、あなたの競合相手。キャリアも、スキルも、転職のタイミングも、すべての主導権を握るのは自分自身だということを受け入れる必要がある。あなたのビジネスを損失から守るのも、環境の変化の波にうまく乗って利益を得るのも、すべての責任はあなたにある。他人が代わることなどできないのだ。

アンドリュー・S・グローブ『パラノイアだけが生き残る』(日経BP社、2017年9月)20ページ

これはアンドリュー・グローブというインテルの元CEOの著作に書かれていたコメントです。

グローブは、インテルの大躍進時期のCEOであり、伝説的な名経営者です(故人です)。ハンガリー生まれで英語の訛りは強かったらしく、大学では理学士の学位を取った理系で、よくあるビジネスエリートの王道を歩いたわけではなく、キャリア転換を果たして著名経営者になるに至った人物です。

ビジネススクールで教鞭をとっていたこともあり、多くの学生のキャリアについては物申したいことがあったのだろうと推察されます。

きっと「もっと自分で考えろ」と思っていたに違いありません。

弁護士が参考にすべき判断者は、裁判官です。

1人で判決を下す裁判官のように考えるべきです。

裁判官は他人に「この判決どうしたらいいかな?」なんて聞きません。

他人はその事件についてほとんど知りません。

同じように、自分のキャリアは他人にはほとんどわかりません。

では、当てずっぽうでいい加減に判断するかというと、裁判官はそんなことしません。

当事者の主張立証活動を考慮材料にして判断します。

自分のキャリアも同じように、判断するための材料を集めるべきです。

重要な判断材料を集め、えいやっと自分で決断して決める。

これが一番いい判断方法です。

3 よく考え、悩み過ぎず、行動してみる

転職で決断をするのは必要ですが、「直感だ」と言って何も考えずに決めるのは勧められません。

少し考えれば気づく落とし穴に気づかずにはまってしまう恐れがあります。

軽率な判断を「直感」といって美化するのはよくありません。

では長時間かけて熟考するべきなのか。

あまり考えすぎるのも良い判断には考え物です。

複数の研究から、考えすぎると最善ではない判断を下す可能性があることが明らかになっている。
……どの選択肢が一番かを見きわめるのに、熟慮は最良の手だと一般に考えられているが、実は誤った情報を与えてしまうおそれがある。選ぶ対象がアパートの部屋であれ、ゼリービーンズであれ、熟慮は満足の邪魔となることがわかっているのだ。意識的に理由づけするのでは、特定の情報しか手に入れられないからである。

ターリ・シャーロット『脳は楽観的に考える』(柏書房、2013年7月)37-38ページ

考えすぎるとよい判断ができなくなってしまうようです。

考えすぎても手に入る情報は増えません。

そうすると手元にある情報を考えすぎてしまうようです。

考えすぎないのはいけない。

考えすぎてもいけない。

そうすると、「よく考えよ。しかし、考えすぎるまで考えてはいけない。」というのがポイントになります。

ある程度考えたらどうすればいいのか?

後は行動あるのみです。

こうと決めたら動くしかない。

転職やキャリアチェンジで怖いのは、失敗すること、思っていたのと違うという事態です。

怖いのはしょうがない。

しかしそんなあなたに朗報です。

あなたには弁護士資格がある。

仕事選びで「しまった」と思っても大したことはありません。

また別のところに移ればいい。

弁護士資格があれば転職はしやすいです。

法務ならどこで働いても仕事内容は大きくは変わらず、ポータブルスキルがあることになります。

他の職業に比べたら比較的恵まれています。

「転職に失敗した」と思っても、それは失敗ではありません。

その職場のよくない要素を考えてみましょう。

今後転職する職場は、そのよくない要素を持っていない職場に行けばいいのです。

自分の経験を基に「避けるべき職場」がわかったのは大きな収穫です。

「まず動いてみる」は、キャリア形成に有益な方法です。

小さく色々試してみるキャリア形成の手段については、別記事キャリア迷子の悩み解決に役立つ本3選がお勧め参考書籍です。

4 弁護士が転職を考えたら具体的にどうすればいいのか

弁護士が「転職しようかな」とか「転職考えてみようかな」と思ったら、まずどうしたらいいのか?

情報収集のために、転職エージェントに複数登録することをお勧めします。

あくまで「情報収集」が主たる目的です。

判決を下すには証拠資料がないといけません。

注意すべきは、転職エージェントにどうすべきか相談することを主眼に置いてはいけないということです。

転職エージェントは相談相手としてはあまりよくありませんが、求人情報を持っているのは転職エージェントですので、転職エージェントに登録するしかない。

「ゴールドマンサックスで年収4000万円くらいの法務求人ないかな」と勝手に思っていても、存在しない求人情報なら空想にふけっていてもしかたがありません。

自分が転職できそうな求人情報を具体的に出回っている求人情報を見て判断するしかない。

そのためには転職エージェントに登録するしかない。

転職エージェントは複数を掛け持ち利用しないと損をするで説明しているとおり、複数の転職エージェントに登録することをおすすめします。

情報源は複数あった方がいい。

どの転職エージェントに登録すべきか。

私が弁護士の転職で勧めているのは弁護士ドットコムキャリアです。

ここは、弁護士・法務転職専門です。

また、私がかつて相談した際に「今の状況だと転職活動しないで、本当に転職した方が自分にいいのか考えるべきだ」と冷静な判断を促してきて特に応募を勧めてこなかったことがあります。

とても好印象です。

その後特にごり押しもしてこない。

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弁護士ドットコムキャリアの転職相談のポイント

  • 弁護士・法務の転職専門、弁護士業界の知見を有している。
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以下の記事で、弁護士ドットコムキャリアに相談した体験談を書いています。

弁護士ドットコムキャリアの評判 | 転職相談体験談 | 転職キャリアルール (career-rule.com)

次におすすめなのは、JACリクルートメントです。

ここは法務専門ではないですが、三大人材紹介の一角の大手であり、求人情報が豊富です。

法務の求人も多くあります。

また、リクルートエージェントやdodaよりも決定力が高い(担当者の押し込み力が強い)という特徴があります。

JAC Recruitment

JACリクルートメントに登録して得られる特徴的な利益

  • JACリクルートメントだけの独占案件や高額案件に挑戦できる可能性を得られる
  • JACコンサルタントのゴリ押しでの内定が他大手より期待できる 

以下記事がJACリクルートメントへの相談体験談等です。

JACリクルートメントの評判を知りたい人向けの転職体験談 | 転職キャリアルール (career-rule.com)

JACリクルートメントはハイクラス転職におすすめのエージェント | 転職キャリアルール (career-rule.com)

もう1つおすすめするとしたら、ビズリーチです。

ビズリーチは、厳密には転職エージェントではありません。

ビズリーチに登録しておくと、多くの転職エージェントから「この求人どうですか?」とか「面談しませんか?」と声がかかります。

一方的に声をかけられて全部真面目に対応しているとキリがありませんが、情報収集にはちょうどいい転職サイトです。

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ビズリーチに登録しておいて放っておいたら、エグゼクティブサーチファームから声がかかって「おおっ、ここは!」と思った話は以下の記事に書きました。

ビズリーチを使ったらエグゼクティブサーチから声がかかった | 転職キャリアルール (career-rule.com)

転職エージェントに登録すればバラ色の転職が待っているわけではありませんが、情報を手に入れるには転職エージェントへの登録は重要なファーストステップです。

その他弁護士が使うべき転職エージェントのおすすめは以下記事をご覧ください。

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