インハウス弁護士が持つべき転職に有利なスキル

企業が採用したい弁護士
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高年収のインハウス求人で、「弁護士資格さえあれば採用したい」という会社はほとんどありません。

むしろ「弁護士資格はあれば尚可」と書く日系企業ほど、資格に高い値段を付ける気がない。苦労して取った資格を、一般社員の採用条件のおまけにされても困ります。

企業が本気で欲しがる弁護士には、だいたい共通点があります。

  1. 日本の弁護士資格がある
  2. 法律事務所と企業の両方で働いた経験がある
  3. 英語を使って仕事ができる

私は法律事務所、日系企業、外資系企業で働き、転職エージェントから企業側の採用条件も聞いてきました。条件のよい外資系インハウス求人では、この3つが繰り返し出てきます。

全部そろっていなければ転職できない、という話ではありません。ただし、何もないまま高年収ポジションだけを狙うのは無理があります。

どの条件が評価され、どこで買い叩かれるのか。実際の採用側の要求を見ていきます。

目次

1 弁護士資格を評価する会社と買い叩く会社

海外の弁護士資格ではダメだ。日本の弁護士資格は必須。

採用担当者からこうリクエストが出ることがあります。あまりないですが。

(1) 弁護士資格を要求するのは弁護士

このリクエストを出す人は、たいてい自らが弁護士です。

日本法弁護士のこともあれば、海外の弁護士がリクエストする場合もあります。日本では日本の弁護士資格ある者であるべきだと。

また、外資系企業の日本拠点の法務部長が、自らはアメリカの弁護士資格を保有しているが、自分が日本法実務に苦労した経験を考慮して日本の弁護士有資格者を採用しようとした例もあります。

これは偉い。

(2) 日系企業は弁護士資格を買い叩く

これに比べると安い給料の日系企業の法務部はゆるいですね。

「弁護士資格はあればなお良し」みたいなのがよくあります。

弁護士資格者からすればそんなノリで買い叩かれるのはたまったものではありません。

苦労して資格取ったのになんで無資格で法務部に配属されてから法律の勉強をし始めたような人と同じ待遇なんだよ、と文句も言いたくなります。

前記の①~③の要件、特に①と②を要求してくるのは外資系企業が多いです。

①日本の弁護士資格
②法律事務所と企業の両方での勤務経験あり
③英語が使える

それに比べると、前述したとおり日系企業の法務部の求人の条件は緩いことが多いです。以下のような感じ。

弁護士資格不問。あれば尚可。

「なんか良さそうな人がいれば取る」みたいな感じ。

ぼわっとした採用基準。イマイチな給料。

これこそザ・日本企業。

インハウスローヤーの採用をあまり真面目に考えているとは思えません。

「企業内弁護士を採用するぞ(社内に専門家をかかえるぞ)」という意識ではなく、「当社の社員を増やすぞ。当社カラーに合うやつで、弁護士資格があればいいな」という発想があるように思えます。

2 法律事務所と企業の両方を知る弁護士は少ない

もう1個鋭い条件だなと思ったのは、「法律事務所勤務経験ありかつ企業勤務経験あり」というものです。

これには理由があります。

(1) プロ弁護士は法律事務所勤務のバックグラウンドがあるという考え

弁護士資格保有者でもやはり法律事務所での勤務経験がある弁護士こそがプロの弁護士であるという考えがあるからです。

私もこう思って新卒で企業内弁護士になるべからず | 司法修習生には法律事務所就職の方がおすすめという記事を書いています。

プロの弁護士として働くのであれば会社ではなく法律事務所。こう考えるのは私だけではないということです。

(2) 弁護士先生が会社の水に合うか不安

法律事務所勤務経験なき者は弁護士にあらず。

そんな平時忠みたいなこと言うなら、企業での勤務経験は要求しなくていいじゃないか。

そう思うのですが、企業側では「これまで会社で働いたことのない弁護士先生がいきなりやってきて環境に馴染まないのではないか」と危惧することがけっこうあります。

そんな企業からすると、「一度どっかの企業で何年か働いた経験がある弁護士なら安心だわあ」と思うようです。

なので、法律事務所と会社の両方の勤務経験がある弁護士は、企業に転職しようと思うならその点はアピールできます。

法律事務所と会社と両方で働いたけど、会社の方がいいと思ってる。

こう弁護士から伝えられたら採用したいが心配している企業は安心です。

すぐに辞めて法律事務所にサッと戻る人ではないのだと思ってもらえます。

(3) 法律事務所と会社もブランドが求められる

法律事務所ならどこでもいいのかというと、高い給料を出してくれる会社はそんなに優しくありません。

ブランドのあるところの出身であってね、というリクエストがあります。

Top-tier firm

とか

a reputable law firm

とか

in an international organization.

などなど。

注意点は誰がtop-tierと判断するかです。

判断する人がアメリカ人で日本のことを知らないシンガポール在住とかなら、日本の法律事務所名なんか言ってもわかりません。

それよりも「日本にそんな法律事務所あったの?」と思えるような外資系法律事務所の方が”Oh, it’s reputable.”と言われる可能性が高いです。

外国人採用者にとってのウケの良さ。

外資系法律事務所 >>> 日本の法律事務所

ある程度人数が多い法律事務所に所属していれば弁護士数のランキングでアピールするしかない。

アディーレ出身なら「big 8出身だ」と言えます。日本の法律事務所を知らない外国人に対しては。

事務所をどう説明するかは転職エージェントとの相談ですね。

ある四大のうちの1つの法律事務所出身者は、その後法律事務所2か所に勤務してインハウスローヤーに転職する際に、外資系企業の英語面接では「Big fourの事務所出身だと言っておけ」と転職エージェントからアドバイスを受けたそうです。

法律事務所から実際にインハウスへ移った後にどう変わるかは、法律事務所からインハウスへ移るデメリットとメリットで詳しく書きました。

3 英語が使える弁護士は高年収求人で有利になる

英語は流暢でなくてもよいので、「できます」と言えた方がいいです。

(1) 相対的優位

英語できますという人は相対的にかなり少ない。

ということは、ライバルが少ないということです。

弁護士をライバルとして戦うのは大変ですが、「英語が使える弁護士」となるとどっと人数が減ります。

「とてもいい条件だけど、英語が。。」となる弁護士は多いと思います。

(2) 給料が高くなる

インハウス弁護士の求人案件は、英語要件なしの求人よりも英語要件ありの求人の方が給料が高いことが多いです。

「英語全然ダメだあ。でもどうせインハウスになるならその中で給料が高い方がいい!」という人は、とりあえずTOEICで高得点を取りましょう。

外資・英語・高年収を狙う場合に必要な条件は、法務転職で外資・英語・高年収を狙う条件で個別に整理しています。

4 採用される3条件をどう作るか

3条件を全部そろえてから転職活動を始める必要はありません。

ただし、自分に何があり、何が欠けているかは分けて考えるべきです。

  • 弁護士資格はあるが法律事務所経験がない
  • 法律事務所経験はあるが会社で働いたことがない
  • 企業法務経験はあるが英語求人へ出せる材料がない
  • 経験はあるが、外国人採用担当者に伝わる経歴の説明ができない

弱点が1つあるだけなら、他の経験で補えることがあります。問題は、自分の弱点を見ないまま「弁護士だから評価されるはず」と思い込むことです。

法律事務所に残るのか、インハウスへ移るのか。日系企業に行くのか、外資へ出すのか。先に求人と市場の反応を見てから決める方が安全です。

たとえば、ハイドリック&ストラグルズという会社から紹介された案件では、条件①と②は必須と言われました。

法律事務所から企業へ移った場合に市場価値が下がる場面もあるので、判断材料として法律事務所から企業へ移ると市場価値が下がる場面も確認しておくと安心です。

市場価値は自己申告では分かりません。職務経歴を置いて、どの企業・ヘッドハンターから声がかかるかを見る方が早いです。

登録したからといって、届いたスカウトへ返信したり、すぐ転職したりする必要はありません。

現にハイドリック&ストラグルズはビズリーチ上で私に声をかけてきました。ビズリーチに登録して待っていれば、こうした反応が返ってくることがあります。

5 転職エージェントは求人の種類で使い分ける

インハウス求人を探すときに、総合型の転職エージェントへ「法務求人を全部ください」と言っても弱いです。

弁護士の転職では、法律事務所と企業法務の違い、事務所経験の評価、弁護士資格の扱い、法務部の人員構成まで分かる相手へ相談すべきです。

(1) インハウス転職の相談はNO-LIMITを第1候補にする

法律事務所からインハウスへ移る弁護士なら、最初に確認するのはNO-LIMITです。

求人票の年収だけでなく、企業側が弁護士資格をどう扱うのか、法務部でどんな仕事を任せるのか、法律事務所経験をどう評価するのかまで確認してください。

(2) 法律事務所と企業求人を並べるならリーガルジョブボード

インハウスへ行くと決め切っていないなら、法律事務所と企業求人を両方見てから判断すべきです。

法律事務所が嫌だから、最初に見つかった企業求人へ逃げる。これは選び方として雑です。何を捨て、何を取りに行くのかを求人同士で比べてください。

(3) 外資・英語求人は補助線を分ける

英語を使う外資系企業やグローバル法務を狙う場合は、JACやロバート・ウォルターズなども補助候補になります。

ただし、この記事の主導線にはしません。弁護士の法律事務所・インハウス転職を理解する相談先と、外資求人を持つエージェントは役割が違います。

弁護士向けの相談先をまとめて比較する場合は、弁護士向け転職エージェントの比較を確認してください。

企業が採用したい弁護士は、「資格がある人」ではありません。資格、法律事務所経験、企業経験、英語のうち、何を持ち、何を相手へ説明できるかで決まります。

自分の経歴がどの求人へ届くかを見てから、法律事務所に残るか、企業へ移るかを決めてください。

企業が採用したい弁護士

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