ビル・ゲイツ直伝の読書法
(2020年12月28日改訂)
- 読書時には余白にメモを取る(集中力を保つため)
- 読み始めた本は必ず最後まで読み切る
- 電子書籍よりも紙の本を好む
- 読書に集中するために1時間を取る(細切れ時間に読まない)
本を読むのは大切です。
本記事では、読書で大いなる成功を掴んだビジネス界の偉人であるビル・ゲイツの本の読み方を紹介します。
マイクロソフト創業者であり、世界長者番付でしょっちゅう1位になる大金持ちのビル・ゲイツは、誰もが認める成功したビジネスパーソンです。
そんなゲイツは、読書による学びを重視しています。その学びで得たルールを知ってより良い学びにつなげましょう。
1 ビル・ゲイツの本の読み方(読書の4つのルール)
ビル・ゲイツはインタビューで「どう本を読むのか」について、自らの4つの読書ルールを説明しています。
① ビル・ゲイツは読書時には余白にメモを取る(集中力を保つため)
本の余白に書き込みをするのは、集中力を保つためであり、自信の知識と結び付けられているかといった確認をするため、「攻めの読書」をするためです。
余白に書き込みをすること自体が大事なのではありません。
これだけを見て「ビル・ゲイツが書き込みをしてる。じゃあ私もしよう!」と何も考えずにやみくもに書き込みをしてもだめです。
大事なのは、読書時に集中することです。
読書している時は、本当に集中しているかどうかに注意する必要があります。特にそれがノンフィクションの本である場合、新しい知識を取り入れることができているか、少しでもそれを自分が持っている知識に追加することができているかということです。
(When you're reading, you have to be careful that you really are concentrating, particularly if it's a nonfiction book, are you taking the new knowledge and sort of attaching [it] to knowledge you have?)
ボーっと本を読んでいても身につかないということです。
とにかくたくさん本を読む読書冊数マニアの人は、読書で得た知識がちゃんと定着してるのかな。
また、ビル・ゲイツは読書で得られる知識が自分の手持ち知識と結合しているかをチェックしているんですね。これは読書の時に意識するとよさそうな視点です。
読書に集中する、これはけっこう大変です。
この大変な仕事をするために、余白にメモをするという行為が役に立ちます。
私にとって、メモを取ることは、書かれていることについて本当に真剣に考えているかを確認するのに役に立っています
(For me, taking notes helps make sure that I'm really thinking hard about what's in there)
メモを取るのは、読書集中力を保つためのようです。
「後で見返すため」とか「書いて覚えるため」といった目的はビル・ゲイツは語っていませんでした。
ちなみに、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスの伝記でも、ベゾスがとある本を書き込みだらけにして読んだというシーンが出てきます。
そしてさらに、あのアルバート・アインシュタインも若き頃に大学受験のための物理の勉強で本にたくさん書き込みをしていたそうです。
アインシュタインは家族に、自力で勉強して地元の工科大学校であるチューリッヒ工科大学に入学すると約束した。そのため、ジュール・ヴィオレ著の高等物理学書全3巻を購入し、余白のあちこちに自分の考えを一杯書き込んだ。
(ウォルター・アイザックソン『アインシュタイン その生涯と宇宙 上』(武田ランダムハウスジャパン、2011年)49ページ)
アインシュタインが書き込んだでいたのが「自分の考え」というのがポイントですね。
自分で考えながら読んでいるということです。
ビル・ゲイツでもいつも順調に読書が進むわけではないといいます。
ゲイツの自らの意見が読んでいる本と合わない場合、時としてその本を読むのにはかなりの時間がかかるそうです。なぜなら、余白にたくさんの書き込みをするからです。
「実際のところそれは少しフラストレーションがたまる」とゲイツも認めています。
ビル・ゲイツが速読をしてとにかく大量の本を読むことに重きを置いていないことがうかがえます。
そして、同意できることが少なく、書き込みが増えて時間のかかる本を読んでいると、こう思うそうです。
ああ、頼むから賛成できることを言ってくれ。そうすれば最後まで読むことができるのに。
(Oh, please say something I agree with so I can get through to the end of this boat.)
この「最後まで読む」がビル・ゲイツの第2の読書ルールです。
② ビル・ゲイツは本を最後まで読み切る
読み終わらない本は読み始めない。読み始めた本は必ず最後まで読み切る。
それがゲイツの読書ルールの一つです。
この読書ルールを守るため、ビル・ゲイツは新しい本を読み始めるか悩むことがあるようです。
デビッド・フォスター・ウォレスの『Infinite Jest』という本をゲイツは例にあげています。
この本を原題にした映画を見て気に入ったゲイツは、本を読むかどうか考えたそうです。
1104ページの長い本です。
200ページか300ページであれば、映画を見てすぐに読み始めたでしょう。でも、とても長くて複雑だから
(If the book was like two or three hundred page book, there’s no doubt as soon as I watched that movie I dive in but it’s quite long and complicated.)
あのビル・ゲイツが長い本を読むのをためらうとは!
ここでも、速読自慢や読破冊数自慢の読書家とは違った考えを述べています。
なぜ長い本を読むのをためらうかといえば、「最後まで読む」ルールに例外を作るのが嫌だからだそうです。
とにかく読書冊数を増やすためにビル・ゲイツが本を読んでいないことが明らかです。
ビル・ゲイツにとって、長い本を読むのは、書き込みが増え、考える時間が長くなり、大変です。
そうすると「1冊読み切るルール」を貫徹することに多大な労力を要します。
ゲイツが、読書においてさっと本を読むことではなく、読書時に頭を使って考えることを重視しているのがインタビューからうかがいしれます。
③ ビル・ゲイツは電子書籍よりも紙の本を好む
「いつかは電子書籍に切り替えるかもしれないが、紙の本を読むのに慣れている」
これが「電子書籍か紙の書籍か」についてのビル・ゲイツの考えです。
このインタビューでは答えていませんでしたが、ビル・ゲイツは、1つのテーマについてたくさんの本をまとめて読むそうです。
そのために、本でいっぱいのトートバッグを「どこに行くときも必ず持ち運んでいる」。
ネットフリックスの新ドキュメンタリー番組シリーズ『天才の頭の中: ビル・ゲイツを解読する』では、このトートバッグが繰り返し登場している。同番組は、ゲイツがハードカバーの本をトートバッグの上部いっぱいまで慎重に詰めている様子から始まる。このバッグには約15冊の本が入り、中には500ページで重さ1キロほどのものもある。
(カーマイン・ガロ「ビル・ゲイツ成功の秘密 「必ず持ち運ぶ」トートバッグの中に」フォーブス(2019年10月18日))
ゲイツ本人は、インタビューでこの習慣は「バッグがものすごいボリューミーになるし、古臭いやり方だ」と言って自虐的に説明していました。
④ ビル・ゲイツは読書に集中するために1時間を取る
書き込みをしたり集中して本を読むために、ビル・ゲイツは1時間ちょっとの時間を毎日夜に取っているそうです。
ここで5分間、あそこで10分間といった読み方はできない。
(what was I reading is not the kind of thing you can do five minutes here, 10 minutes there.)
雑誌記事やYouTubeの短いビデオならそうした短い時間でもいいだろうけど、ビル・ゲイツの没入読書法には向いていないということです。
本にはきちんと向き合う。内容を理解し、自分でも考える。
これがゲイツの読書への態度です。
2 ビル・ゲイツの成功と読書
ビル・ゲイツは、読書についてこう語っています。
- 「学ぶことに喜びを感じている」
- 「私が新たなことを学び、自分の理解を試す主な方法はそれでも読書だ」
- 「それぞれの本が、探索すべき新たな知識の道を開いてくれる」
ビル・ゲイツの成功の秘訣
— にゃんがー@外資系企業弁護士サラリーマン (@Nyanger_b) February 24, 2020
「学びをやめるまでは、本当の意味で歳を取ることはない。全ての本は、私に新しい知識を授け、物事を違う角度から見る手助けをしてくれる。…読書により、世界についての好奇心がたきつけられる。私のキャリアは、それにより前進してきたと思う。」https://t.co/cT2D7Ek63n
そんな読書家ビル・ゲイツについてフォーブスの記事ではこう紹介されています。
- ある友人は、ゲイツが旅行に14冊の本を持ってきたときのことを思い出し、次のように語る。「彼はある一つのことについて、1冊ではなく5冊の本を読む。そうした本の大半は、生身の人間にとっては難解過ぎて読めないようなものだ。彼はほぼ常に、話す相手よりも多くの知識を持っている」
- ビル・ゲイツは能動的読書家で、読む本全てから最大限のものを得る。
- ゲイツはリーダーたちに向け、成功の手掛かりとなるかもしれない重要な教訓を与えている。それは、どのような分野でも読書は成功に「絶対に」欠かせないものだという点だ。
(ガーマイン・ガロ同上)
▼ビル・ゲイツをはじめとした偉人の生き方を知ること、他人から学ぶのは最高によい勉強法です。 読書の対象として伝記はおすすめ。
3 【最新】ビル・ゲイツおすすめ本
ビル・ゲイツは、自らのブログで定期的におすすめの本を紹介しています。
2020年12月8日に、「大変であった本年によい本5冊」をゲイツは紹介しています。
ビル・ゲイツは以下のように述べて5冊を紹介しています。
2020年を締めくくるのにおすすめのさまざまなテーマの本を5冊紹介します。良い一年の締めくくりになるようなものが見つけられたらと思っています。
"Here are five books on a variety of subjects that I’d recommend as we wrap up 2020. I hope you find something that helps you—or the book lover in your life—finish the year on a good note."
紹介された5冊はこちら。
-
The New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colourblindness (English Edition), by Michelle Alexander.
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Range: Why Generalists Triumph in a Specialized World (English Edition), by David Epstein.
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The Splendid and the Vile: A Saga of Churchill, Family and Defiance During the Blitz, by Erik Larson.
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The Spy and the Traitor: The Greatest Espionage Story of the Cold War (English Edition), by Ben Macintyre.
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Breath from Salt: A Deadly Genetic Disease, a New Era in Science, and the Patients and Families Who Changed Medicine Forever (English Edition) by Bijal P. Trivedi.
日本語翻訳版が発売されている本は、上記のうちの2と4の2冊です。
デビッド・エプスタイン『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』(日経BP、2020年3月)
ビル・ゲイツの短評はこちら。
「会社内で専門性のある同僚に引け目を感じるジェネラリストの会社員」におすすめです。
エプスタインの著作に注目するようになったのは、2014年に行われたスポーツパフォーマンスに関する彼の素晴らしいTEDトークを見てからです。この魅力的な本の中で、エプスタインは、世界はより多くの専門性を求めているように見えるが(たとえばあなたのキャリアにおいて)、実際に必要なのはより多くの「広く多様な経験や視点を受け入れながら進歩していく人」であると主張しています。彼が挙げている具体例は、ロジャー・フェデラーからチャールズ・ダーウィン、冷戦時代のソビエト問題の専門家まで、多岐にわたります。彼のアイデアは、マイクロソフトの成功の一部を説明するのにも役立つと思います。なぜなら、マイクロソフトでは、自分たちの分野や領域を超えて、本当に幅広さを持つ人材を採用しているからです。専門性を持っている同僚のせいで自分の影が薄いと感じたことがあるジェネラリストの方には、この本をお勧めします。
ベン・マッキンタイアー『KGBの男-冷戦史上最大の二重スパイ』(中央公論新社、2020年6月)
本書は、「伝説のロシア人エージェント、オレーク・ゴルジエフスキーについて、 本人インタビューやMI6関係者証言から、 その至難の諜報人生を克明に辿った英国発の世界的ベストセラー」です。
本書についてのビル・ゲイツの短評はこちら。
このノンフィクション作品は、イギリスのために二重スパイとなったKGBの将校おレーク・ゴルジエフスキーと、彼を裏切ったアメリカの裏切り者アルドリッチ・エイムスに焦点を当てています。マッキンタイアーが再度綴る彼らの物語は、西側からの情報源(ゴルディエフスキー自身を含む)だけでなく、ロシアの視点からも語られています。私のお気に入りのスパイ小説と同じくらい面白い本です。
*****
いかがでしたでしょうか。
ビル・ゲイツがいかに読書を大事にし、集中してそれに取り組み、成功に寄与したかが本人から多く語られていました。
読書への真剣な態度については、読書をよりよい活動にしようという多くの人にとってとても参考になると思います。
読書に集中する時間をとることは着実なレベルアップに役立つはずです。
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