企業内弁護士の年収 | 平均・年次ごとの偏差値

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企業に勤務する弁護士であるインハウスローヤーの年収の相場はいくらくらいでしょう。

企業内弁護士の年収レンジで一番多いのは「750万円~1000万円」というのが、日本組織内弁護士協会(JILA)の企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2021年版)によって明らかにされています。

アンケートに答えた人の平均値は1218万円です。

ざっくりとした偏差値は以下の通りです。

年収偏差値
4000万円78
3000万円68
2000万円58
1500万円53
1000万円48
900万円47
800万円46
700万円45
600万円44
500万円43
400万円42
300万円41

本アンケートでは年齢別や経験別の年収結果もあるので、以下で詳しくみていきましょう。 

目次

I 企業内弁護士(インハウスローヤー)の年収 | 2021年

2021年3月に実施された最新のアンケートの結果から、年代別の年収を調べました。

インハウスローヤーの年収は、法律事務所勤務の弁護士がインハウスに転身をする理由になるのか。 

1 企業内弁護士の平均年収とヒストグラム

JILAのアンケート結果によると、企業内弁護士396人の推定平均年収は1218万円でした。

多くの企業内弁護士が「え?1218万円?そんな高いの?もしかして私って低年収?」と思う数値です。

この平均値は高いです。

高いのには理由がある。

JILA「企業内弁護士に関するアンケート集計結果」(2021年)より作成

年収の割合として多いのは、750-1000万円の割合です。

でも平均値は1218万円。

これは、一部の超高収入の人達が平均を押し上げているからです。

また、JILAでアンケートに答えるような人達は、企業内弁護士の中で意識も高ければ年収も相対的に高い層かもしれません。

さらにいえば、平均1218万円は、年齢別ではないため、20代も50代も一緒になってしまっています。

高校1年生と東大を目指す優秀な高3が同じ全国模試を受けているようなものです。

したがって、より正確には後述する年代別の数値を重視するようにしましょう。

2 企業内弁護士の年収偏差値(全体)

弁護士は、その多くが受験戦争を経験していると考えられ、日本国民の中では稀有な「偏差値大好き族」に属していそうです。

そんな偏差値Loversのために企業内弁護士の年収の偏差値表を作りました。

年収偏差値
5000万円88
4000万円78
3000万円68
2000万円58
1900万円57
1800万円56
1700万円55
1600万円54
1500万円53
1400万円52
1300万円51
1200万円50
1100万円49
1000万円48
900万円47
800万円46
700万円45
600万円44
500万円43
400万円42
300万円41

年収1000万円あっても偏差値は48、1500万円でも53。2000万円あっても偏差値は58で60に届かない。

なかなか高い偏差値を取るのは難しい。なんで高い偏差値を取るのが難しいかというと、一部の激しく高給取りがいるからです。年収5000万円・偏差値88とか。

3 企業内弁護士で年収1000万円は全体の44.5%

企業内弁護士合計396人中、年収1000万円未満は220人。1000万円以上は176人。

1000万円以上の年収の割合は44.5%でした。

2020年は、1000万円超は45.7%でしたので、今年の結果はやや下がっています。

インハウスローヤーにも1000万円の壁は存在するようですが、44.5%も存在する、というのはサラリーマンとしては恵まれています。

給与所得者全体で見れば、1000万円超の給与をもらっている人の割合は5.0%なのです(国税庁長官官房企画課「平成30年分民間給与実態統計調査」20ページ)。 

(給与1000万円超の割合)

インハウスローヤー: 44.5%

給与所得者全体  :   5.0%

このように比較すると弁護士有資格者は会社で働いても恵まれています。

「55.5%は1000万円未満か。。」と後ろ向きな人もいるでしょう。

しかし、弁護士有資格者は年をとるにつれて高めの給料を貰えるようになっていきやすいです。

次は年齢順の給料を見てみましょう

4 企業内弁護士20代の年収 | 推定平均625万円。1000万円以上はゼロ

2021.3

このアンケート回答者15人の20代のインハウスローヤーの中には1000万円超の給料を得た人はゼロでした。

750万円未満が86.7%です。

15人しかいないのでサンプル不足な感は否めませんが、ざっくりとした推定平均値は625万円でした。

500~750万円の階級の中央値がそのまま平均値になっています。

20代企業内弁護士の年収偏差値は以下の通りです。

年収偏差値
3000万円74
2000万円64
1500万円59
1000万円54
900万円53
800万円52
700万円51
600万円50
500万円49
400万円48
300万円47

JILAの15人という乏しいサンプル数であることは念頭におく必要はあります。

しかし、JILAのアンケート結果では存在しない年収1000万円を得ていたとしても、偏差値は54であり、激しく高い数値とはいえません。

「みんな弁護士ならインハウスでも1000万円くらいもらってるよね?え、違うの?オレは1000万。ぐふふ」とか笑ってる気持ちの悪い20代インハウスローヤーがいたとしても、偏差値54で自慢していることになるのでちょっとしょぼい。

5 企業内弁護士30代前半の年収 | 推定平均年収781万円。儲かりはじめる?

2021.3

30歳~35歳のインハウスローヤーは、500~750万円の給与が39.8%で一番多い年収帯です。

平均年収は781万円です。

ちなみに、去年2020年2月のアンケート結果では、500万円~750万円の割合は48.1%でした。

以下が2020年2月の結果です。

2020.2

2021年の結果は、500~750万円の主流層の割合が減り、より年収の低い層とより年収の高い層に分割されています。

30代前半の企業内弁護士の貧富の格差が1年で広がったのか。

そんな極端なことはないと思いますが、違いが生じています。

もう一度2021年結果を載せます。

2021.3

30代前半企業内弁護士(回答者)の85.2%という大多数の給料は1000万円未満です。

30代前半で1000万円プレーヤーの企業内弁護士は14.8%だけです。

多くの弁護士は、企業で働くと30歳を超えても年収は1000万円に届かないようです。

ただ、着目すべきは、大多数(85.2%)は1000万円未満の給料に留まっていますが、一部(14.8%)の弁護士は1000万円超の領域に進出しています。

1000万円をちょろっと超えた、ではなく、2000万円以上のプレーヤーも30代前半で存在します。 

30代前半の企業内弁護士の年収偏差値は以下の通りです。

年収偏差値
3000万円72
2000万円62
1500万円57
1000万円52
900万円51
800万円50
700万円49
600万円48
500万円47
400万円46
300万円45

6 企業内弁護士30代後半の推定平均年収は1042万円 | 年齢に応じた給料の上がりは前年に比べて鈍化

2021.3

企業内弁護士は、30代後半になると、アンケート回答者127人中46人の36.2%の人が1000万円以上の年収をもらうようになっています。

推定平均年収は1042万円。

なお、前年2020年は40.4%が1000万円超でしたが、今年は下がっています。

企業内弁護士は買い叩かれて始めているのか。

年代別1000万円超の割合(かっこ内は前年2020年の結果)

20代:          0%(0%)

30~35歳未満:14.8%(17.7%)

35~40歳未満:36.2%(40.4%)

20代より30代前半、30代前半より30代後半、と年齢が上がるにつれて企業内弁護士の給料は全体的に上がる傾向は見て取れます。

去年よりは1000万円プレーヤーの割合は減少しています。

30代後半の企業内弁護士の年収偏差値は以下のとおりです。

年収偏差値
3000万円70
2000万円60
1500万円55
1000万円50
900万円49
800万円48
700万円47
600万円46
500万円45
400万円44
300万円43

7 企業内弁護士40代前半の推定平均年収は1488万円。1000万円超が主流派になるが、去年より割合は減少

2021.3

企業内弁護士は、40代前半になると回答者65人中42人の64.6%の人が年収1000万円超となっています。

去年は73.8%でしたので、けっこうな割合がダウンしています。

それでも推定平均年収は1488万円。

40代になると急激に平均年収が上がります。ただ、この数値は「年齢が上がると給料が上がる」という因果関係を示したものではなく、2021年のアンケートに答えた40代前半の弁護士は給料が高かった、ということを表しているにすぎないことには注意です。

高給取りの40代前半の企業内弁護士の年収偏差値は以下のとおりです。

年収偏差値
5000万円85
4000万円75
3000万円65
2000万円55
1500万円50
1000万円45
500万円40

年収1500万円で偏差値50ですか。

年収2500万円以上で偏差値60になれます。

ハイレベルな戦いが繰り広げられている年代です。

8 企業内弁護士40代後半の推定平均年収はなんと1969万円 | 1000万円超が多数派でより高年収者が増加

2021.3

40代後半になるとインハウス弁護士は年収1000万円以上が多数派になります。

年収1000万円超は回答者81人中72人の88.8%を占めます。

一番多い年収レンジは1000~1250万円の25.9%です。

去年に比べて1250万円以上のさらなる高年収プレーヤーが増えています。

2000万円以上が81人中25人もおり、その割合は30.8%です。

そうした超高給取りが平均を押し上げており、平均年収は1969万円とかなりの金額になっています。

こうした層が40代後半組だけでなく、企業内弁護士全体の平均年収の数値を高くしています。

高給取りの40代後半の企業内弁護士の皆様の年収偏差値は以下のとおりです。

年収偏差値
5000万円80
4000万円70
3000万円60
2000万円50
1500万円45
1000万円40
500万円35

年収1000万円だと偏差値40しかないことになる。

とはいえ、4000万円や5000万円の偏差値はとびぬけているので、2000万円~3000万円クラスのやや多めの上級層がこの40代後半組の数字を高めています。

9 企業内弁護士の勝ち組と負け

2021年の結果は、全体的に給料が下がっていました。

ただ、その中でも年収が高い人はおり、みんな上がってみんなうれしい、の去年に比べると、今年は勝ち組負け組の差が出た感があります。

一部の超高年収プレーヤーが平均を高めており、企業内弁護士の中での「貧富の差」は少なからずあります。そして、年齢が上がるとその差はさらに大きくなる。

今後はさらに企業内弁護士は採用者側から買い叩かれていくかもしれません。

その中でも買い叩かれずに高給を得られる人もいるはずです。買い叩かれるのは企業内弁護士の中の「負け組」層です。

年収が気になる人は、年収が高くなるような経験を積んでいく必要があります。

II 年収を上げたい弁護士は他企業への転職を常に検討すべき

時が過ぎれば、歳を取ります。

弁護士有資格者は、歳をとると知らぬ間に市場価値が上がっている可能性があります。

今現在の給料に納得できなければ、年齢も考慮して他企業でいくらの給与がもらえるか検討すべきです。

市場平均以下の安い給料になっている可能性があります。

自分の市場価値を常にチェックすることは年収アップに役立ちます。とりわけ弁護士有資格者には効果テキメンです。

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幅が広いのが気になりますが、日本企業で2000万円が提示されるのは珍しい。

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III 参考:インハウスローヤー(企業内弁護士)の年収 | 2020年

2020年2月に実施された最新のアンケートの結果から、年代別の年収を調べました。

インハウスローヤーの年収は、法律事務所勤務の弁護士がインハウスに転身をする理由になるのか。 

1 インハウスローヤーで年収1000万円プレーヤーは全体の45.7%

合計276人中、1000万円未満は150人。1000万円超は126人。

2019年は、1000万円超は36%でしたので、今年は約10%も大幅アップです。

次は年齢順の給料を見てみましょう

2 インハウスローヤー(企業内弁護士)20代の年収 | 1000万円以上はゼロ

このアンケート回答者21人の20代のインハウスローヤーの中には1000万円超の給料を得た人はゼロでした。

750万円未満が78.6%です。

3 インハウスローヤー(企業内弁護士)30代前半の年収 | 儲かりはじめる?

30歳~35歳のインハウスローヤーは、500~750万円の給与が48.1%であり、このレンジが主流派です。

82.3%という大多数の給料は1000万円未満です。

多くの弁護士は、企業で働くと30歳を超えても年収は1000万円に届かないようです。

ただ、着目すべきは、大多数(82.3%)は1000万円未満の給料に留まっていますが、一部(17.7%)の弁護士は1000万円超の領域に進出しています。

1000万円をちょろっと超えた、ではなく、1500万円超のプレーヤーも35歳前の年齢で存在します。 

4 インハウスローヤー(企業内弁護士)30代後半の年収 | 全体的に給料が上がる

30代後半になると、40.4%もの人が1000万円以上の年収をもらうようになっています。

1000万円未満でも、750万~1000万円のレンジの人の方が、41.6%と最大派閥であり、500~750万円のレンジの人よりもかなり多くなっています。

年代別1000万円超の割合

20代:          0%

30~35歳未満:17.7%

35~40歳未満:40.4%

こう考えると、30代後半になると企業内弁護士の給料は全体的に上がっているといえます。

5 インハウスローヤー(企業内弁護士)40代前半の年収 | 1000万円超が主流派になる

企業内弁護士は、40代になると73.8%もの人が年収1000万円超となっています。

6 インハウスローヤー(企業内弁護士)40代後半の年収 | 1000万円超が83.3%、1500万円超が41.7%

40代後半になるとインハウス弁護士はかなり稼ぐようになります。

年収1000万円超は87.5%を占め、一番多い年収レンジは1250~1500万円の37.5%です。

注目すべきは、1500万円以上、2000万円以上、3000万円以上、5000万円以上がちらほら点在することです。

7 弁護士有資格者は年齢が上がると有利

2020年の結果は、2019年に比べ、全体的に給料の高い人が多くなっていました。

上記の年代別の給料アンケート結果からすると、年齢の高い弁護士の方が高い給料をもらっています。

インハウス弁護士業界はスーパー年功序列という結果です。

年代別1000万円超の割合を見れば一目瞭然です。

20代:          0%

30~35歳未満:17.7%

35~40歳未満:40.4%

40~45歳未満:73.8%

45歳以上:  87.5%

このとおり年齢が上がるにつれて給料が上がるのは、現在のシニアなインハウス弁護士が黎明期に珍しい存在ということで企業から給料をボッタくったとか、色々な要因はあるかもしれません。

しかし、結果だけを見れば年齢が上がることはインハウス弁護士にとって追い風となります。

当然スーパースターインハウスと平凡インハウスとの格差はありますが、45歳以上になって87.5%もの人が1000万円もらえるならかなり恵まれているといえるでしょう。

詳しくは インハウスローヤー(企業内弁護士)のデメリットとメリットを体験談から考える。 

www.career-rule.com

IV 参考:インハウスローヤー(企業内弁護士)の年収 | 2019年

2019年のアンケート結果からわかった年代別のインハウスローヤーの年収です。

インハウスローヤーの年収レンジで一番多いのは「750万円~1000万円」でした。

日本組織内弁護士協会(JILA)の企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2019年2月実施)です。

1 インハウスローヤーで年収1000万円プレーヤーは全体の36% | 2019年

合計338人中、1000万円未満は217人。1000万円超は121人。

(給与1000万円超の割合:2019年)

インハウス弁護士: 36%

給与所得者全体 :   5%

このように比較すると弁護士有資格者は会社で働いても恵まれています。

2 インハウスローヤーの20代の年収 | 2019年

このアンケート回答者21人の20代のインハウスローヤーの中には1000万円超の給料を得た人はゼロでした。

500~750万円というのが52.4%を占め、主流派です。

3 インハウスローヤーの30代前半の年収 | 2019年

30歳~35歳のインハウスローヤーも、500~750万円の給与が53.3%を占め、20代と同じく主流派です。

86%の大多数が給料は1000万円未満です。  

4 インハウスローヤーの30代後半の年収 | 2019年

30代後半になると、依然として1000万円未満が70.4%を占め、多数派ではあります。

しかし、1000万円未満でも、750万~1000万円のレンジの人の方が、500~750万円のレンジの人よりも多くなっています。

また、30代後半のインハウスローヤーでは、1000万円超の給料の人が約30%を占めるようになります。

年代別1000万円超の割合 | 2019年

20代:          0%

30~35歳未満:14.0%

35~40歳未満:29.6%

5 インハウスローヤーの40代前半の年収 | 2019年

企業内弁護士は、40代になると63%もの人が年収1000万円超です。 

6 インハウスローヤーの40代後半の年収 | 2019年

年収1000万円超は83.3%を占め、一番多い年収レンジは1250~1500万円の22.9%です。

年代別1000万円超の割合(2019年)

20代:          0%

30~35歳未満:14.0%

35~40歳未満:29.6%

40~45歳未満:63.0%

45歳以上:  83.3%

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