弁護士の年収の現実 | 平均値2558万円は低い?【日弁連調査結果】

弁護士 年収
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弁護士の年収はどんなものか?

日弁連(日本弁護士連合会)が10年に一度実施している「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」に基づく2020年の調査結果が出ています。

平均値:2558万円

中央値:1437万円

「自由と正義」の2021年臨時増刊号でその調査報告書が掲載されています。

グーグルで「弁護士 年収」と検索するとあれこれ色んなソースが出てきますが、この調査結果が日弁連という弁護士の親玉機関によるものなので信頼性は一番マシでしょう。

なお、企業内弁護士は、調査に協力した回答者の7.6%だけですので、本調査結果は主に法律事務所勤務弁護士の経済状況についてのものといえます。

企業内弁護士(インハウスローヤー)の給料について知りたい方は企業内弁護士(インハウスローヤー)の年収相場を調べてみた【年齢別:2021年版】 をお読みください。

目次

1 弁護士の年収の平均値と中央値(2558万円・1437万円)

1990年から10年ごとの調査結果に基づく弁護士の年収(売上+給料)の平均値と中央値は以下のとおりです。

平均値中央値
1980年1635万円
1990年3060万円2355万円
2000年3793万円2800万円
2010年3304万円2112万円
2020年2558万円1437万円

2000年をピークに、弁護士の収入は平均値・中央値ともに低下しています。

今のところ21世紀は日本の弁護士衰退の世紀になっています。

人数は増えているが、日本全体の弁護士報酬が増えていないので平均値は落ちているようです。

(1) 勝ち組と負け組

もう1点注目すべきは、平均値と中央値の差額です。

平均値中央値平均値と中央値の差額差額÷平均値
1980年1635万円
1990年3060万円2355万円705万円23.0%
2000年3793万円2800万円993万円26.2%
2010年3304万円2112万円1192万円36.1%
2020年2558万円1437万円1121万円43.8%

平均値と中央値の開きはどんどん大きくなっています。

これはどういうことなのか。

簡単にいって、儲かる弁護士と儲からない弁護士の差が大きくなってきていることを示していると考えられます。

本調査報告書内でも、中央値に比べて平均値が跳ね上がっているのは一部の弁護士の数値が大きいからという説明があります。

弁護士内でも格差が広がっているのです。

2020年の弁護士の年収の中央値は「1437万円」。

もうとりたてて高収入といえる金額でもありません。

2000年は中央値で2800万円でしたので、20年で中央値は半減しました。

(2) 勝ち組弁護士はごく僅か

2000年の頃は、弁護士はなかなか稼げる人が多かったのですが、今や弁護士の多数派は給料の良い大企業会社員よりは少しは稼げる程度になりつつあります。

それでは儲けているスター弁護士はどれくらいの割合でいるでしょうか。

以下のとおり事業収入が5000万円以上の弁護士は、全体の8.5%ほどです。

1億円以上2.5%
7500万円以上1億円未満1.6%
5000万円以上7500万円未満4.4%

2 弁護士の年収と所得の平均値と中央値

弁護士の「所得」も見てみましょう。

会社員と違って法律事務所の弁護士は事務所の家賃や事務員の人件費等の費用がかなりかかっています。

収入-費用=所得

所得税の仕組み|AIゴールド証券 (aigold.co.jp)

弁護士の収入と所得の平均値・中央値は以下の通りです。

平均値中央値
収入2490.6万円1106.4万円
所得1353万円700万円

平均値を見てみると、収入平均が2490.6万円です(前期1は確定申告をした人の結果であり、この結果は確定申告していない人を含むのでややずれがあります)。

それだけ収入があっても、所得が1353万円です。費用が1137.6万円もかかっているということです。費用の割合は45.7%にもなります。高いです。

中央値のグループはもっと悲惨です。収入から費用を除いて手元に残る所得は700万円です。

この所得から税金がさらに引かれます。

弁護士の多数は大して儲かっていません。

豪邸に住んで高級車を乗り回すのは難しい。

所得の最大値は9億3074万円

ちなみに、調査結果では所得の最大値が9億3074万円になっていました。

9億・・・!

しかも収入じゃなくて所得だと。

誰だそんな儲けた大先生は。

2020年にでかい訴訟でもあったのか。

3 弁護士の年収の現実 | 立場別:パートナー、アソシエイト、1人事務所

これはけっこう気になる区分別収入(事業収入)です。

上記図は、右側の「0との回答者を除く」を見た方がよいと思います。

「事業収入は0だ」と回答した人を含めない方がきちんと弁護士業を行っている人の調査結果を反映したことになると考えるからです。

以下で少し見やすくした表を示します。

収入平均値収入中央値
パートナー6266.6万円3891万円
アソシエイト(使用人弁護士)1317万円360万円
1人事務所(単独弁護士)3300万円2000万円

(1) パートナー弁護士は儲けている

パートナーはさすがに儲けている。

昔の時代はもっと儲けていたのだろう。

一定規模以上の法律事務所だと若手パートナーは「パートナー」と名乗りつつ事務所の組合持分を持っていないので(Non equity partner)実態はアソシエイトという人達がいるそうです。

ずっとアソシエイトで個人事件禁止で10年間働いてきた人達がいきなりパートナーになって売上5000万円とか稼ぐのはきついわけなので、パートナーになっても給料のようにお金をもらって働いている人はけっこういるはずです。

そうしたなんちゃってパートナー弁護士が「経営に携わらない弁護士」なのでしょうか。

(2) アソシエイト弁護士にもそこそこの格差がある

もう一度表を掲載すると、アソシエイトの平均値と中央値がだいぶ離れています。

収入平均値収入中央値
パートナー6266.6万円3891万円
アソシエイト(使用人弁護士)1317万円360万円
1人事務所(単独弁護士)3300万円2000万円

アソシエイトの中央値、360万円って安すぎじゃないか??

給与所得で働いていて個人事件もやっている場合は、事業収入になるから、そうした弁護士も含まれているのだろうか。

それでも若手弁護士の法律事務所での給料は、求人を横目で見てるとだいぶ安くなってきてるような気がします。

アソシエイトの収入平均値1317万円は結構高いですね。

これは、給料のいい事務所勤務のアソシエイトと個人事件で稼ぐアソシエイトが大きく稼いで平均値を押し上げたのだと思われます。

格差はアソシエイト時代から始まっているわけです。

4 弁護士の年収:給与のみ

法律事務所に勤務していても、給与所得として給料をもらっている弁護士もいます。

上記表で見るべきは「0と回答した者を除く」「確定申告をしていない者の給与収入」の回答数382人の数値です。

382人のうち、企業内弁護士は何人いるのか。

別の質問によれば、本調査で企業・官庁・自治体に勤務すると回答した弁護士は158名。

なので、上記382名のうち少なくとも158名は組織内弁護士であって法律事務所勤務ではありません。

法律事務所勤務と企業勤務の弁護士ハイブリッドの結果になっています。

そんな法律事務所と企業勤務弁護士両方が含まれた「給与所得だけ」弁護士(事業収入がない弁護士)の年収はどんなものなのか。

給与所得だけ弁護士の給与収入の平均値:775.5万円

給与所得だけ弁護士の給与収入の中央値:643.0万円

安いとは言わないが、この数値を見て「さすが弁護士!高給ですね!」という人はあまりいなさそうです。

平均値と中央値の差もあまりないため、給与所得だけ弁護士は、その中であまり格差がないようです。

ほどほどの給料をもらっている。

企業内弁護士(インハウスローヤー)だけの年収についての調査結果は企業内弁護士(インハウスローヤー)の年収相場を調べてみた【年齢別:2021年版】 で説明しています。

東京のサラリーマン弁護士はその他の地域より100万円ほど高給

復習のため給与所得だけ弁護士の給与収入を再度掲載します。

給与所得だけ弁護士の給与収入の平均値:775.5万円

給与所得だけ弁護士の給与収入の中央値:643.0万円

これが東京だと100万円ほど上がります。

平均値中央値
全体775.5万円643.0万円
東京879.1万円770.0万円

東京の給与所得だけ弁護士の給与水準は高いのです。

100万円だけだけど。

東京の家賃、それも都心部に通勤する場合の地区の住居費用を考えると100万円のプラスはそんなに大した数字ではないように思います。

以下の数値のうち、東京については多くの企業内弁護士の回答結果が含まれています。

平均値中央値
全体775.5万円643.0万円
東京879.1万円770.0万円

上記表の「東京」との回答数は203名であるところ、本調査で企業に勤務すると答えた東京の弁護士は121名です。

5 弁護士の年収は自分で稼がないと低いまま

本調査結果には弁護士なら誰でも知っている事実が現れています。

事務所(や会社)から給料をもらっている弁護士は大して稼げない。

弁護士で稼ぐなら、自分で客から売上をあげないといけない。

某法律事務所ではアソシエイトの給料が2500万円と聞きましたが、私なら2500万円もらっても働きたくない。

税金と家賃のために働いているような状態になっちゃいます。

客相手が嫌なら弁護士は企業にいった方がいいです。

弁護士が転職する理由 | なぜ法律事務所から企業・インハウスを選ぶのか

本記事を見て「うちの事務所(会社)は給料安いんじゃ!やってられるか!」という弁護士は転職または独立をおすすめします。

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