年功序列を褒める人や肯定的に言う人をあまり見たことがありません。
年功序列を叩くのは、「職場での男女差別をなくそう」「環境破壊に気をつけよう」というのと同じくらい一般的な知識人としての振る舞いのような感じです。
しかし年功序列はそんなに悪いのでしょうか。
年功序列は年齢の上下を気にする人が多い日本社会に合ってると思います(外国は知りません)。
認識すべきは完全な実力主義は採用困難だということと(実力が何かわからない)、実は年功序列制度の会社は実力主義を取り入れているということです(50歳過ぎたら全員が役員になれる会社はありません)。
そんなに年功序列がおかしいと思うならその会社で働かなければいい。
年功序列は多くの人の意識(常識)に適合している
年功序列、いいじゃないですか。
先輩面したい人達のプライドを守ってくれる制度です。
ツイッターを見てると「新入社員が心がけるべきことベスト10」みたいなのツイートしてる人たくさんいますよ。
全くの他人に対して上から目線で一方的に仕事上のアドバイスをしてるわけです。
相手がどんな仕事してるかも知らずに不特定でアドバイスがなぜできるのか?
自分より年齢が低く仕事の経験が乏しい人は仕事ができないと一方的に考えているわけです。
オレ > 新卒全員
頭の中で当然こう考えているからこそできるアドバイスです。
すごい自信。
というか思い込み強すぎじゃね?
会社の後輩で若い新入社員が入ってくれば、先輩社員はその社員を脅威とは捉えません。
経験が不足しているからといって新入社員の方が有能である可能性はいくらでもあります。
有能な社員は自分の仕事を奪うかもしれません。
そうは考えずにアドバイスまでしてあげるくらい年上先輩社員は完全に年下をナメているわけです。
年齢・年次だけで完全に格下とみなします。
会社だけでなく、小学校、中学校、高校、大学とどこにいっても年齢は強固な上下関係を意味しています。
大学3年生が大学1年生に対して「若い」と言うのはどの大学でもよくある風景でしょう。
2歳くらいちっとも変わらんだろと思うのですが、多くの人はそう思ってはいません。
これが多数派の意識です。先輩後輩は絶対だ。
そうだとすると、年齢や年次を重視する年功序列は多数派の意識に合致しています。
若く新卒入社組として甘やかされ(未熟だとナメられ)、やがて時間がたって後輩ができ(自分よりデキない奴が来て安心する)、年齢が上がるにつれて昇給し、出世もする。
他部署の人であっても年次が上の人の方が偉そうにする。
こんな「当たり前」に感じられる環境をより確実に提供してくれるのが年功序列だ。
全然おかしくないじゃないか。
居心地がいいでしょう。
実力主義の限界 「実力」って何ですか?
年功序列がおかしいという「実力派」会社員が唱えるのは、実力主義にすべきということです。
問題がありすぎるのが「実力」という文言です。
実力ってなんですかね。
ドラゴンボールに出てきたスカウターで戦闘力が測れるならいいんですよ。客観的なので。
しかし会社員としての実力なんて何が何だかわからないし、会社、組織、人によって中身も測り方も全然違う。
中身を共通化しようということもない。
会社内での出世が実力を表すとすれば、実力があるとは、人事権者から高く評価されることを意味します。
人事権者に気に入ってもらえるのが実力なんですかね。
実力が何かわからないのですが、仕事の有能さは、人事権者に認めてもらう1要素のように思います。
「あいつは仕事はややイマイチなんだが、かわいげのあるやつなんだよなあ」という理由で評価されることだって十分にある。
そしたら、人事権者にゴマをする能力が高いことが実力があるということになってしまう。
「そのとおりだ!出世できることこそ有能なサラリーマン」と割り切れる人には、そうした世渡り上手=実力者という整理がいいのかもしれません。
しかしこれはなんとなく私にはしっくりきません。ゴマすり力を実力と読み替えなくてもいいじゃないか。ゴマすり力でいい。
実力主義の実力とは仕事の有能さのことを差すはずです。
この「実力」は、中身がわからん、どう測ればいいかわからんという問題を抱えています。
そうなると、評価者は自分の主観に頼ることになり、なんとなくの直感で社員が評価されることになります。
直感はぼやっとした環境ではあまりあてになりません。
そんな実力主義は大いなる不満を生みます。
実力主義・成果主義が機能するのは、評価制度が客観的に明確になっている場合です。
営業が売上だけで評価されるのであれば、それは客観的な数字だけで評価されることになるため、機能します。
しかし、そんな簡単に客観的な評価軸は多くの場合中々作れません。
そう考えると、評価に「年次」「経験」を取り入れる年功序列は評価にあたってメリットがあります。
年次や経験は数字で表せるため(社歴〇年)、客観的なのです。
年功序列制度は実際には実力制度とのハイブリッドである
年功序列制度は、完全な年功主義ではありません。基本は実力主義のはずです。
実力主義でありながら実力を測る一要素として年功を取り入れているハイブリッドな制度です。
年功序列制度の会社であっても、年齢を重ねるにつれて出世にすごい差が出るでしょ。
完全な年功制度を採用している会社はほぼないはずです。
特に人数の多い大企業は完全年功制は難しい。社歴が長くなれば全員部長に、というわけにはいかないのです。
ポスト数がそんなにないから。
年功序列制度の良いところは、完全実力主義制度の欠点を補っているところです。
「実力主義」の短所は、「実力ってなんですか?」という疑問がわくところです。
評価に疑義がある。主観的、恣意的。
そこに年功を混ぜれば、経験という客観的な指標を取り入れられます。
社歴や社会人歴は時間という客観的数字であり、誰から見ても共通です。
こう考えると年功序列制度もそんなに悪くない。
年功序列はダメだと主張する人は「自分だけは違う」と思い込む勘違いではないのか | 自称有能社員こそ年功序列が向いている
このツイートで指摘されているように、年功序列がダメだという人がいます。
「年功序列嫌だ。実力主義がいい」と言っている自称有能真実無能社員は、年功序列色の濃い会社の方が向いています。
なぜか。
年功序列をあまり考慮しない会社があるにもかかわらず、そうした会社に転職せずに年功序列会社に留まって愚痴るという愚か者だからです。「実力」が何かわからないとしても、自分の言動が支離滅裂なそんなたわけ者は実力者とはいえません。
そんなダメ会社員は後輩に向かって「オレ仕事デキる」と威張っている方が向いています。
年次が上というだけで威張ることができるだけでなく、昇給もできてプライドが保てる。そして愚痴を言っても許される環境。
ボンクラ会社員にぴったりの環境ではないですか。
しっかりした年功序列制度を採用できる企業は一部の大企業に限られます。
なので年功序列が嫌なら辞めればいいんです。
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