法務転職で高年収ハイポジションに就くための5つの条件

法務 転職 ハイポジション
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弁護士を含む法務パーソンが企業に転職する場合で、高給のハイポジションに就く条件は。

(1) 英語力

(2) 海外留学

(3) 海外弁護士資格

(4) 有名外資系企業勤務経験

(5) 有名外資系法律事務所勤務経験

「条件」といいつつ、1つ以上あればOK。

全部あれば確実にハイポジションに就けるわけではないですが、有利なはずです。

目次

1 【年収差は歴然】外資系企業リーガルカウンセル>日系企業法務部員

本記事で念頭に置く法務のハイポジションは、外資系企業にあると仮定しています。

何年も転職エージェントから来る法務求人情報を見てますけど、安いんです。日系企業の給料。外資系企業に比べると一般的に。

日系大企業の法務部長で高給もらっている人いるかもしれませんが、法務としての技量を買われて法務部長になったわけではなくて新卒プロパーの上がりのポジションとして法務部長になっている人もいます。

そうした人は、転職でハイポジションを狙う人の参考になりません。

また日系企業でも法務ハイポジションの求人情報がないわけではありません。たまにはあります。

しかし日系企業で高給ハイポジションの求人は少ない。日系企業は外資系企業より概して収益性が劣り、法務の地位が低い。

2 誰が法務ハイポジション人材の採用を決定するのか

外資系企業の法務ハイポジションの採用決定をする人は誰か?

その採用する人に気に入ってもらえる人物にならねばいけません。

外資系企業の法務ハイポジションとは、簡単にいえば、外資系企業の法務部長です。Head of Legal。General Counselと名乗っている人もいれば、単にLegal Counselだったり、Senior Legal Counselだったりとヘッドはヘッドでも英語名の役職は会社によって様々です。

日本法人の法務部門のトップです。

法務部長を採用するのは誰か?

外国にいる法務部門の幹部であることが多いです。

多くの国に進出している会社であれば、アジア地域の統括部署をシンガポールに置いていることが多く、法務のアジア統括担当がシンガポールにいます。

日本の法務部長の上司はシンガポールにいる外国人。

このパターンの外資系企業は本当に多いです。

たまに、アメリカとか本国に日本の法務部長が直接レポートすることもあります。私がこれまで見てきた外資系企業ではこちらの方が少数派で、シンガポールにレポートする方が多いように思います。

シンガポールであれ、アメリカであれ、上司は外国人。

この外国人こそが、日本の法務部長を採用で決定する権限を持っていることが多い。

つまり、この外国人法務担当者の偉い人に気に入ってもらえないと外資系企業の日本法人法務部長にはなれません。

3 自分に近い者を高く評価する

外資系企業で法務部長等の法務ハイポジションに転職で就くには、多くの場合、外国人に採用を決めてもらわねばなりません。

したがって、外国人に対して自分を売り込むアピールをする必要があります。

多くの人は、「外国人にアピールするのか。。きついな。。」と思うはずです。

なぜきついと思うのか?

外国人だからです。

外国人は自分とは違うのだと考えているからです。

この自分の考えは、外国人面接官の面接攻略の大きなヒントになります。

なぜかといえば、面接は相手と自分があって成り立つものですので、外国人(たとえばアメリカ人)である面接官は、自分にとっての外国人である日本人を理解するのにハードルを感じるはずです。

この抵抗感をなくすことが、外国人面接官相手の面接突破のキーです。

面接官に対して「私はあなたに近しい存在ですよ」と示すべきなのです。

これは「類似点が導く大きな力」として『影響力の武器 実践編』に書かれている心理テクニックです。

社会心理学者によると、人は、名前のように何かちょっとしたことでも自分と関連があるものには、特に好意を感じやすいようです。この傾向は、場合によっては驚くほど強力な形で表れます。たとえば、相手の誕生日が自分と同じだと、見知らぬ人からの依頼でも承諾する率が高いことが明らかになっています。

……社会心理学の研究結果から考えられるのは、顧客から良い反応を得るには、名前、信条、出身地、出身校など、何であれ顧客と類似点のある販売担当者が売り込みをしたほうが効果的だということです。

ゴールドスタイン=マーティン=チャルディーニ『影響力の武器 実践編』(誠信書房、第2版、2019年12月)150ページ

外国人相手のコミュニケーションが大変なのは、類似点が少ないことです。

名前は類似点どころか全然似ていません。佐藤さんとウィリアムさんでは全く違う。ナオミさんならいいですが、そんな偶然は少ない。

出身地もロサンゼルスと大阪とか日本と外国で類似するはずもなく、出身校も違う。

誕生日や誕生月が同じ、というのは全世界共通であるかもしれませんが、面接でアピールするには些細すぎます。ちょろっと織り交ぜるくらいならいいかもしれないですが。

誕生日が同じであることがアピールしたところ、誕生日の祝い方が全然違うことが判明してかえって彼我の差を大きく感じてしまうかもしれません。

本記事で紹介する5条件は、類似点の中で法務人材がアピールするにあたって大きな効果を持つと期待されるものを選びました。

4 高年収外資系企業に転職するためのリーガルパーソンの5条件

外国人の法務責任者に、「おお、この日本人は、(私と同じものを兼ね備えていて)いい!」と思ってもらえる効果的なアピールの5条件。

(1) 英語力

(2) 海外留学

(3) 海外弁護士資格

(4) 有名外資系企業勤務経験

(5) 有名外資系法律事務所勤務経験

(1) 英語力

日本人が「外資系で働く」と言った場合に最初に思い浮かべる条件は英語です。

外資系企業で働くにあたって、実は英語は必須とは限りません。

外資系企業法務部であっても、日常業務では英語はあまり使わないことも多い。

転職で入る際にほどほどの英語で何となく入って、ごまかしごまかし働いている人もけっこういるはずです。

しかし、低レベルイングリッシュで外資系企業に入社できるのはローレベルだけだ。

ハイポジションであればそれなりの英語力が必要になります。

「それなり」ですので、ネイティブレベルの流暢な英語が必須というわけではありません。

アジア統括担当者は、日本人以外のアジア人の英語を聞き慣れていて、日本人の英語力を「まあしょうがないな」と受け止めていることもあります。

しかし、あまりに低い英語力だと箸にも棒にも引っかからない。

そして、英語力は高ければ高い方がいい。

英語力が高ければ、面接はスムーズになり、面接官の印象は当然良くなります。

そして、とりわけ英語の発音がよければ、英語ネイティブにとっては「この候補者は私に近い存在だ」とみなしてくれます。

テレビで外国人が日本語を話していて、「この外国人、日本語うまいな!」と思うのは、発音が良い場合でしょう。

それと同じで、ネイティブイングリッシュスピーカーも、日本人の英語発音に敏感に反応しています。

ただ、面接官となる外国人が、ドイツ人とか中国人とか英語ネイティブでない場合は、英語発音がよくても「私に近い」とは思ってもらえないでしょう。とはいえ、面接でのやりとりがスムーズになる、という高英語力の効用はもちろんあります。

英語力が極めて高い帰国子女等の人であれば、相手が英語ネイティブでない外国人である場合、その外国人に似た英語を話すという超高度なテクニックが有効かもしれません。

私の知り合いの日米バイリンガルの人はインド人英語の真似をしていました。笑えるくらいすごいうまかった。インド人との面接で、そうしたインド英語訛りを使えば好感度が上がるかもしれません。「同じリズムだ!」とインド人面接官に思ってもらえる。

非ネイティブであれば、英語語彙は少なめ。面接では、同じ表現を何度も繰り返すこともあります。

応募者は、その傾向を察知すれば、面接官が使うのと同じ表現を意識的に使いましょう。

(2) 海外留学

海外留学がなぜ法務ハイポジション獲得に役に立つのか?

  • 英語力が付くから?
  • 海外の法制度の知識が重要だから?
  • 外国人同窓生とのコネができるか?

上記いずれもノーとは言いませんが、効果は限られます。

それより大きな意味があるのは、海外の学校で学んだことが「類似点」になるからです。

「出身校」は重要な類似点になり得ます。

片言の日本語を話すアメリカ人を10人面接して1人を採用する場合、その中で「明治大学に少しの間ですが留学していました」といえば、日本人で大卒の面接官は、明治嫌いでない限り、親近感を持つに違いありません。

ドンピシャで同じ学校の出身でなくてもよいのです。

面接官がUCLAロースクール出身で、応募者日本人がフォーダムロースクールでもかまいません。「慶応大学出身です」というより遥かに近似性がある。同じアメリカ、小室さんを知らないアメリカ人でもフォーダムは知っています。

ロースクールのランクがかなり低い場合は舐められるかもしれませんが、日本人はそんなランクの低いロースクールに行かないからたぶん大丈夫。

学校名で判断するとなれば、ロースクールに行かなくてもビジネススクールでも大丈夫だと考えられます。

「アメリカの学校」という類似点をアピールすればいい。

偶然同じ学校だったら大ラッキーです。

アメリカ人以外には通用しないかもしれませんが、そうとは限らない場合があります。

シンガポールにいる上司が韓国人で、その韓国人がニューヨーク大学ロースクール出身者かもしれない。

アジア人で法務ハイポジションに就いているとなると、アメリカのロースクール留学経験者であるというのはけっこうありえます。

「お前もアメリカのロースクールに留学してたのか!」という類似点が生まれることもあります。

こう考えると、外資系企業で法務ハイポジションに就きたい法務パーソンには海外ロースクール留学はおすすめですね。

(3) 海外弁護士資格

日本人法務パーソンが手にして強力な武器は、海外ロースクールと海外弁護士資格どっち?

とある転職エージェントは「そりゃ海外弁護士資格ですよね」と言っていました。

私はそれを聞いたときは、「そうか」と思いました。

しかし、今改めて「外国人面接官との類似点」という目で見ると、海外弁護士資格よりは海外留学経験の方が効果があるように思います。

外国人面接官が海外の弁護士資格持っていないこともありますし、インハウスが長いと自分の弁護士資格をなんとも思っていないこともあります。

とはいえ、ニューヨーク州やカリフォルニア州の司法試験に合格していれば、アメリカ人には「おお、我が米国の試験に合格しているのか」と少しはなるはずです。

英語力の一定の証明にもなります。

アメリカ人以外の外国人面接官にもアピールになると思われます。

(4) 有名外資系企業勤務経験

あなたがもし、外資系企業の法務部長として入社したら、社内でアナウンスがあります。法務部長として●●さんが入社しました、と。

そして、アジア地域かグループ会社規模によっては全世界のリーガル組織内で日本の法務部長に●●が就いたとのアナウンスがされます。

日系企業に比べて、外資系企業の新幹部の紹介はけっこう詳しい。私は2社しか知らないですが、2社とも新幹部について色々紹介するんだなあと思っています。

その新幹部紹介には、「●●さんは、当社入社前は、▲▲で~をやっていました」と書かれることが多い。前職の紹介がされるのです。

この前職が、外国人面接官になじみのある会社である方がいいに決まっています。

アメリカ人に対して、「私は日立造船で働いています」と「私はファイザーで働いています」では、どちらの方がいいか?ファイザーの方がいいに決まってます。

ファイザーは、アメリカ人に馴染みのあるアメリカ企業だからです。

外資系でなくてもトヨタでもよいと思いますが、トヨタよりはマクドナルドの方がいいでしょう。

アメリカ人にとっては、トヨタはみんな知っている「外資」です。マクドナルドは自国企業。

有名な外資系企業で働いていた経験は、外国人面接官に対して「私はあなたと同じような会社で働いていたんですよ」という類似点アピールになります。

アジア地域の他国の法務人材の採用のされ方を見ると、各国のローカル企業でなく、聞いたことのあるグローバル企業で働いていた人の方が多いように思います。

外資系企業で働くなら外資系企業で働いたバックグラウンドがあるといい。

(5) 有名外資系法律事務所勤務経験

弁護士が外資系企業に転職する場合で、採用担当者が外国人であるならば、西村あさひ勤務弁護士よりもホワイト&ケース勤務弁護士の方が有利かもしれない。

多くの外国人は日本の四大や五大法律事務所事務所なんか知りません。

日本ローカルのBig 4くらいに法務転職エージェントから説明を受けることは十分にあり、その点では大手事務所勤務はアピールになり得ます。

しかし、外国人の採用担当者に刺さる経歴は以下どちらでしょうか。

  • とあるアジアの1国内のBig 4の法律事務所出身
  • アメリカの有名グローバルファーム出身

おそらく、「アメリカの有名グローバルファーム出身」だと思います。

外国人には英語名の外資系法律事務所の方が馴染みがあっていい。ポイントが高い。

このことを考えるならば、日本の弁護士が法律事務所から外資系企業に転職しようとするならば、一計を案じることに検討の余地があります。

一計とは、職歴ロンダリングです。

職歴ロンダリングとはなにをするかと言えば、法律事務所から外資系企業に転職する前に、一度外資系の法律事務所に転職するのです。

日系法律事務所→外資系法律事務所→外資系企業

その法律事務所が気に入れば長くいればよく、気に入らなければすぐに企業への転職活動を始めたらいい。

5 企業内弁護士をするなら日系企業か外資系企業か

本記事では、法務が高年収を狙うには外資系企業だと書きました。

概して外資系の方が年収高めに思うのですが、法務もそうだと思います。

仕事内容はどうかというと、日系企業よりも外資系企業の方が国内法務の割合が遥かに多いです。

日系企業であれば外国案件を日本の本社法務が担当したりしますが、外資系企業であれば基本的に日本国内のことをやりますので、日本法の知識がより活かされます。

意外にも日本法の知識が活きるのは日系企業より外資系企業だったりします。

外資系企業の法務は、日常業務では英語はあまり使わないところも多いかもしれません。

しかし、外国に親会社があるので、どうしたってグループ会社間で英語のやりとりは発生します。

英語力ゼロはやや苦しいし、ハイポジションだとその苦しみはhigherです。higherというか入社できない。

「絶対英語無理!」「でも高い給料がほしい!」という人は、英語に触れなくていい日系企業でより条件のいいところを探すしかありません。

リクルートエージェントでも2000万円超案件はごく僅かながら見たことがあります。

弁護士ドットコムキャリアでも2件くらい見たことがあるかもしれません。

日系企業でも法務ハイポジション案件はないことはない。

とはいえ法務は外資系企業の方が年収が高いことが多い。

よって、法務で外資系企業を狙うならば外資系企業とのパイプが強い外資系の転職エージェントを使うべきです。

また、日系企業のハイポジションもなぜか外資系企業の転職エージェントがけっこう情報を持っていたりします。

法務転職では外資系転職エージェントを意識して活用すると良い求人情報を得られる確率が高まります。

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