外資転職で知っておくべきクビ地獄の裏側

外資系 クビ 地獄
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私は現在外資系企業で働いています。

昔法律事務所で働いていた時は外資系企業の仕事をやっていました。

外資系企業に入った後の地獄は、簡単にクビにされることです。

これは恐怖です。

では外資系企業はそれをドライにクールにやっているかというと実はそうでもない。

外資系企業もクビにする裏側で苦労しているのだ、というお話です。

目次

1 外資系企業はクビになりやすい

外資系 転職 地獄

本当かよ、と思われる人もいますが、日本企業よりも外資系企業の方がクビ事例はよく聞きます。

ある外資系金融機関で働く友人の証言。

隣の席の人がある日突然いなくなった。

その会社は非常に給料高いので、忽然と消えるのは不思議ではないですが、スパッと消えるのはこわいですね。

ヨーロッパの方は実は労働者にけっこうやさしいので、外資系の中でもこわいのは米系です。

米系のIT系、製薬を渡り歩いた知り合いの転職ベテランの方は、現在日系企業に勤務していて転職を考えていますが、「もう引退までは米系会社に入りたくない。こわい。」と言っていました。

2 しかし外資系企業にとっても解雇はリスキー

外資系企業であっても、日本で株式会社として商売をしている以上は日本の労働法の適用があります。

ではなぜ外資系企業の方が簡単にクビにできるのでしょうか。

それは外資系企業の方が積極的に解雇をするからです。

日本企業であっても外資系企業であっても、解雇すること自体は簡単です。

「お前はクビだ!」と言い渡す、解雇自体は簡単にできます。

問題は、後で裁判になって裁判所から「解雇は無効だ」と言われることです。

理由なく解雇したら後で裁判に負けます。

そしてあまり大した理由もなく解雇すれば、企業は負ける確率が高いです。

後でどうせ負けるなら、ということで日本企業は解雇に消極的です。

クビにする会社、というレッテルを貼られるのも嫌でしょう。

この点、外資系企業は、外国本社の思考に則って人事を決定します。

日本の労働法なんか知るかクビにしろ、という思考方式を持っています。

それなので、とりあえずさっさとクビにします。

これが外資系企業のクビ切り担当を悩ませます。

激しくクビを切る外資系企業は労働紛争に悩まされます。

解雇が無効だと解雇従業員に主張されるからです。

3 外資系企業も実は悩んでいるー解雇従業員に訴えられた事例

外資系企業はドライにクビ切りをするイメージがありますが、水面下では解雇等の労働問題には苦労していると思われます。

外資系企業全般のことを知ってるわけではないので、「思われます」と日和見表現ですが、苦労してるはずです。

私は法律事務所で外資系企業側を代理して、解雇の有効性を争う訴訟を戦ったことがあります。

原告はその外資系企業をクビになった元従業員。

被告はその原告をかつて雇っていて解雇した外資系企業です。

元従業員は「解雇は無効だ。私はまだその会社の従業員としての地位を持っているのである」と主張して訴えてくるわけです。

私は外資系企業側の代理人弁護士として「当時の解雇は有効である」とディフェンスしました。

その従業員は、50代後半のおじさんで、仕事がまったくできず、エクセルもろくに使えないし、使えるようになろうと努力もしないと会社はほとほと困りはてていました。

仕事は無能でも、従業員50名ほどの小さな会社(外資系だからでかくてきれいなオフィスとは限りません)で、給料は3位か4位の高給取りです。

困った会社は何か月にもわたって、面談をして「これをやってください」「これをできるようになってください」と指導(そんな追い詰めるようなきついものではありません)しましたが、全然よくならない。

これはもうだめだ、ということで成績不良を理由に解雇したのです。

そして、後日解雇された従業員は労働組合に駆け込み、弁護士を立てて争ってきました。

交渉は決裂し、元従業員は訴訟を提起しました。

外資系企業だからといって訴訟では全然有利になりません。

裁判官は、9月頃に「私は来年4月には異動になる。証人尋問するのも後任だろうし、判決も後任がやるだろう」と全く超投げやりモード。東京地裁の労働部から地方の小さな支部に飛ばされるようでもはややる気なし。

訴訟期日を何回か経て、私の主張書面を読んだ裁判官は、「うーん。原告が全然仕事できないのはわかるけど、解雇が有効といえるだけの決め手がないよね」とのご感想。

原告側は、毎回労働組合の暇そうなおじさんをぞろぞろ連れてくるし、原告代理人は「弱い労働者は守られるべきだ!」とうるさいし、こっちに有利な証拠はないしで悩みの多い訴訟でした。

結局かなり高い解決金を支払って和解しました。

敗訴判決ではありませんでしたが、高くつきました。

4 外資企業内でクビの問題を大きくしない苦労ー弁護士としての助言体験談

訴訟になる前、「従業員をクビにしたい」という企業側からの相談もあります。

企業はできるだけクリーンにもめごとにならないように従業員に辞めてもらいたい。

会社にとって一番良いのは、従業員本人に自発的に辞めてもらうことです。

会社が解雇というアクションを取るのは避けたい。

後で従業員が訴えてくる可能性がある。

しかし、やめてほしい従業員はなかなかやめてくれない。

企業の担当者はそんな状態に困るのです。

そのため、嫌がらせをして辞めさせようという試みが、古今東西の企業で過去から現在までずっと行われてきています。

この「嫌がらせをして辞めさせてやろう」というブラックな企業努力はこの先も消えることはなさそうです。

私が弁護士として法律事務所で働いていた時のある会議。

クライアントとして相談に来たのは、とある超高級なものを取り扱っている外資系企業の人事の人。

辞めてほしい人が辞めてくれなくて困っている。

本社からはさっさとクビにしろと言われている。

「解雇してしまっていいですか」とクライアント担当者。

当事務所側からのアドバイスは「解雇はまだやめるべき」。

私が助言したのは、「自発的に辞めた方が相手にいかに有利かを伝えるべきです」という内容です。

以下のような感じで従業員に伝えなさいとアドバイスしました。

・自ら辞職するのは今のあなたにとって圧倒的に有利です。

・私達はあなたを解雇したいとは思っていない。解雇したらあなたにものすごい不利になるから。

・あなたは日本の労働者市場をわかっていない(この従業員は外国人)。解雇されたら経歴に大きな汚点になる。転職でいい職につけなくなる。

・今自分で辞めれば、日本で超高級ブランドとして知名度のある会社出身者として扱ってもらえる。解雇された場合は「クビになった従業員」とレッテルを貼られる。どちらが有利なのかは明らかでしょう。

・辞職しなければ、会社はあなたを解雇する。解雇された場合、あなたは裁判で争うことはできるが、そうなった場合、残念ながら当社は全面的に戦わなければならない。そうなればあなたには弁護士費用もかかるし、時間もかかる。そしてあなたが勝てる保証はない。

・裁判を起こすような従業員を雇いたい会社はない。

・今辞めれば、そんな費用はかからない。手切れ金を払う。少なくない金だ。

・自分で辞めれば、直ちに大金が得られ、経歴が傷つかず、今の会社のブランドを活かして転職ができる。辞めなければ、会社は解雇する。あなたの経歴は大いに毀損する。金は直ちに得られず、金を得るには裁判をしなければならない。裁判には金と時間がかかり、負ける可能性がある。金がゼロになるだけでなく、マイナスになることだってある。

・辞めるか、辞めずに解雇されるか、どちらがよいか考えてほしい。

私が「こんな風にその従業員に言いなさい」とアドバイスしたら、その人事担当者は、「ちょ、メモ取らせてください」と言ってメモしていました。

その後この会社からは追加で相談はなかったので、無事に追い出せたはずです。

この相談の後、私のボス弁は「あの会社はクビにしてばかりいる」と言ってました。

気に入らないやつはすぐに追い出そうとする会社だということですね。

外資系です。

名前だけきけばすごい立派な会社ですよ。重厚感あるブランド。

裏側ではそんなほいほいとクビにしようとしてるんだなあと思いました。

5 どんな外資系なら地獄を見ないか

外資系企業転職希望で、クビになりたくないなら、会社とポジションを吟味しないといけません。

属性で言えば、アメリカ企業はこわい。

私が応募したことのあるアメリカIT系の会社は、数年ごとに大規模なリストラを実施してるのがググれば明らかでした。

おっそろしい。平然とリストラするのが当たり前な企業もあります。

欧州系の方がまだ安心な印象です。

また、欧州系企業だと、イギリス企業を除けば、従業員も英語ネイティブではありませんので、英語が流暢ではない日本人でも少し安心です。

私の知り合いの外資系プロジョブホッパーの方は、「半外資に転職したい」と言っています。

完全な外資ではなく、一定程度外資系の資本が入ってるような会社です。

中外製薬とかが例です。中外製薬にはロシュ資本が入ってますが完全子会社ではありません。

完全日系企業が安全なのはわかっているが、以下理由で基本的には行きたくないそうです。

  • 日系企業は給料が安い
  • 日系企業に40過ぎに中途で入りたくない。
  • 「いかにも日系大企業」の雰囲気が嫌だ。

外資の空気を吸って高い給料をもらいつつ、すぐにはクビにしない日系企業の良さのいいところ取りにしたいのだそうです。

6 外資系企業への転職は会社をよく吟味せよ

アグレッシブな外資系企業だと、従業員が突如消えたりしますので、入社してから身の危険を感じることがあります。

どの会社が危険かはわからないのですが、身分の安定性には気をつけた方がいいです。

転職エージェントに聞くのがどこまで有効かはわからないですが、その会社の求人情報を持ってきた転職エージェントではない他の転職エージェントにその会社の危険度をたずねる、という方法があります。

私はこれをやったことがあります。

転職エージェントA:「このP社、本当にいいですよ!!ぜひ応募しましょう」

そう聞いた私は、別の転職エージェントBにP社についてどう思うか聞いてみました。

転職エージェントB:「P社ですか。あの会社なぜか知らないけどすぐみんないなくなるんですよね。」

これを聞いて私はこのP社には応募しませんでした。

バリバリの米系企業で給料もかなり高いので、転職エージェントBのコメントを聞いて、高い給料には裏がある、と考えたのです。

転職エージェントはこんな風に情報を取るためにも活用できるので、転職エージェントは複数を掛け持ち利用しないと損をするのです。

本記事は、外資系企業の解雇の裏側のいくつかの事例を紹介しました。

外資系企業がみんな解雇をガンガンするわけではないですが、日系企業よりも危なく感じる会社はあります。

ただ、外資系企業の方が給料がよかったり、昭和な感じの日本企業とは違った環境であったり、外資系企業転職ならではの魅力もあります。

外資系企業転職へは慎重かつ賢明に進めましょう。

▼外資系企業転職で相談すべき転職エージェントはこちら

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