転職すべきか残るべきか【合理的判断基準】

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会社を辞めたい。

でも、本当に辞めるのが正しい決断なのか。

これはかなり難しい問題です。

今の会社が嫌なときほど、転職先がやたら輝いて見えます。

反対に、今の会社に強い不満がないときほど、外に出るリスクばかり大きく見えます。

どちらも人間として普通の反応です。

だからこそ、転職するか残るかは、気分で決めない方がいいです。

本記事の結論は単純です。

仕事を辞めるか残るかは、「今の職場」と「転職した場合」を比較して決めるべきです。

転職先だけを見るのも危険です。

現職だけを見るのも危険です。

今の会社に残る場合と、転職する場合を並べて比べる。

これが一番ましな判断方法です。

なお、いきなり応募する必要はありません。

まず求人や年収レンジを見て、「今の会社に残る価値が本当にあるのか」を確認するだけでも十分です。

転職するか残るか迷う人へ

現職に残るかどうかを判断するには、外の求人と比べる必要があります。

求人を見たうえで「やはり現職の方がいい」と思うなら、それはそれで合理的な判断です。

転職エージェントを比較して、外の求人を確認する

目次

1 転職すべきかを決める基準

転職すべきか残るべきかを決めるには、並列評価をすべきです。

要は、転職する場合と残留する場合を比較せよということです。

「辞めたい」という気持ちだけで転職先を探すと、今の会社の悪いところばかり見えます。

逆に、「転職が怖い」という気持ちだけで判断すると、今の会社に残るリスクを見落とします。

どちらも判断としては雑です。

比較してこそ、少しまともな判断ができます。

今後のことを考えるのにあたって、今の満足できない状況や明るい未来展望だけを考えるのは視野狭窄です。

視野を広げて、適切な判断をできるように自分を導いてあげるべきです。

他でもない自分には、悪い判断よりも良い判断をしてほしいでしょう。

(1) 広い枠組みで考える

転職するかどうかを考えるとき、「辞めたい」「辞めたくない」だけで判断してはいけません。

考えるべきなのは、もっと広い話です。

  • 今の会社に残った場合、何が得られるか
  • 今の会社に残った場合、何を失うか
  • 転職した場合、何が得られるか
  • 転職した場合、何を失うか
  • 自分の職歴が外でどう評価されるか
  • 転職先候補が本当に今よりよいのか

「今の仕事が嫌だから辞める」だけでは足りません。

嫌な職場から逃げること自体は悪くありません。

ただ、逃げた先がもっと悪いこともあります。

そこを見ないまま転職すると、後でかなりしんどいです。

(2) 比較する

転職すべきかを考えるなら、現職と転職先候補を並べて比較します。

たとえば、次のように見るべきです。

  • 年収
  • 仕事内容
  • 上司・同僚との相性
  • 労働時間
  • 成長余地
  • 専門性
  • 異動・転勤・出向の可能性
  • 会社の将来性
  • 転職後に戻れる可能性

転職先候補の方がすべて上回るなら、転職を前向きに考えてよいです。

反対に、転職先候補が今の会社よりよさそうに見える理由が「なんとなく楽しそう」くらいなら危ないです。

なんとなく楽しそうな会社は、入社後になんとなくつらい会社になることがあります。

(3) なぜ比較するのがよいのか

人は単独で評価すると、感情に引っ張られやすいです。

今の会社が嫌なら、転職先候補がよく見える。

転職が怖ければ、今の会社が実際より安全に見える。

これは人間の判断としてかなり自然です。

ただ、自然だから正しいわけではありません。

比較対象を行う並列評価では必然的にシステム2が働くので、単独評価よりぶれない判断が期待できる。単独評価の場合には、システム1の感情反応が強く反映されるため、一貫性を欠きやすい。

(同上)

単独評価をしようとすると、人は即断即決型の思考システムを用いてしまい、感情が強く混入します。

他方で、並列評価であれば、人は慎重検討型の思考システムを用いるので、判断が比較的安定します。

転職という大きな決断は、感情任せよりも、比較して決める方が向いています。

(4) 転職すべきか残るべきかの比較検討方法

どう並列評価をするか。

「辞めて転職する場合」と「辞めないで会社に残る場合」を比較するのです。

単に「辞めようかなあ、どうしようかな」と自社のことだけ考えてはだめです。

多くの人は、辞めた後の生活があります。

転職して給料を得なければなりません。

辞めるかどうかだけではなく、今と別の会社に行った後を比較すべきです。

また、転職先候補として超絶魅力的に見える会社があった場合、その会社を単独で評価してはいけません。

これは陥りがちな判断方法です。

自社との比較を忘れ、転職先候補だけに目を向けてしまうのは避けるべきです。

ベンチャー転職で失敗も後悔もしないための注意点 」で説明したように、「とりあえずベンチャー企業に行けば大変かもしれないがエキサイティングだろう」とかはありがちな単独評価です。

転職で成長産業を狙うことの罠 | 誰もがひっかかる 」も同じような発想について注意を促す内容です。

比較するには、外の情報が必要です

現職の情報は、すでにかなり持っています。

足りないのは、転職した場合の求人、年収レンジ、仕事内容、企業側の期待です。

求人を見ずに「転職すべきか」を考えても、比較材料が足りません。

転職エージェントを比較して、求人情報を確認する

2 転職すべきか悩んだら現職を比較対象にするのは合理的だ

(1) 現職場をきちんと認識・評価せよ

転職を検討するとき、今の会社は重要な比較対象です。

転職候補先と違って、今いる職場の多くのことが分かっているからです。

比較対象としてはかなり優秀です。

A:1回しか食べたことのないパスタ2種類を比較する

B:3年間毎日食べているパスタと、今日初めて1回だけ食べるパスタを比較する

上記AとBだったら、Bの方が比較しやすいでしょう。

Bであれば、「毎日食べているパスタ」をベースにして、それと比べてもう1つのパスタの味わいがどうかを考えるゆとりが生まれます。

転職候補先α社とβ社を比べるのは大変です。

α社もβ社も、そこで働いたことがなければイメージしにくい。

だから、今いる会社での仕事、生活をベースにして、ありうる転職先の未来と比較するのです。

(2) 比較する際の注意:将来や可能性を輝かしいものと見てしまいがち

比較の際に気をつけるべきは、人は将来のことや潜在的可能性を高く評価しがちだということです。

転職面接に受かるアピール方法 | ハーバード流面接突破術」の中で、人のこのような判断の傾向を紹介しました。

新しい会社は、入社する前が一番きれいに見えることがあります。

求人票には、嫌な上司も、つまらない会議も、合わない社内政治も書いてありません。

転職先候補を評価するときは、きれいな未来だけを見ない方がいいです。

求人票、面接官の説明、転職エージェントの話、口コミ、実際の働き方をなるべく分けて見ます。

ただし、口コミを信じすぎてもいけません。

辞めた人の怒りが混ざっていることもあります。

結局は、複数の情報を照合するしかありません。

3 転職のため会社を辞めて得られるものと失うものを冷静に考える

(1) 感じるな。考えろ。

転職したいときは、かなり感情が強くなっています。

上司が嫌だ。

仕事がつまらない。

給料が上がらない。

同期が出世して腹が立つ。

そういう感情は、転職を考えるきっかけとしては自然です。

しかし、判断材料としてそのまま使うには荒すぎます。

「辞めたい」と感じているなら、その感情を否定する必要はありません。

ただ、辞めるかどうかは考えて決めるべきです。

(2) 手に入るものだけでなく失うものも考慮する

転職すると、何かを得ます。

  • 年収が上がる可能性
  • 仕事内容が変わる可能性
  • 嫌な上司から離れられる可能性
  • 専門性が伸びる可能性
  • 外資、管理部門、法務、ハイクラスなど別のキャリアに広がる可能性

ただし、転職すると何かを失います。

  • 社内で積み上げた信用
  • 今の会社での人間関係
  • 退職金や福利厚生
  • 慣れた仕事内容
  • 現職での評価
  • 戻れる可能性

転職先のいいところだけを見て、現職で持っているものを軽く扱うのは危険です。

一方で、今の会社で持っているものだけを見て、外に出た場合の可能性をゼロ扱いするのも危険です。

どちらも見ます。

(3) 今の会社に執着しない

今の会社に残ることにもリスクがあります。

会社を辞めないことは、何もしないことではありません。

今の会社に時間を投資し続けるという選択です。

  • 同じ仕事ばかりすることになり、新しいスキルが身につかない
  • 心理的にも変化に弱くなる
  • 自分のスキルが相対的に下がっても気づかない
  • 他社に移っていれば得られたはずの仕事や給料を得られない

転職しないことの問題もきちんと意識しなければなりません。

意識しなければ、保有効果・損失嫌悪・現状維持バイアスの餌食になって、不合理に現職へしがみつくことになります。

今すぐ辞める必要はありません

ただ、外の求人を見ないまま「現職に残る」と決めるのは、比較材料が足りません。

ビズリーチのようなスカウト型サービスで市場の反応を見ると、自分の職歴が外でどう見られるかを確認しやすくなります。

ビズリーチで市場の反応を見る方法を確認する

4 転職すべきか残るべきかは相対的に決定する

(1) 今の会社が嫌なら

今の会社が嫌なら、辞めたいと思うのは自然です。

ただし、「嫌だから辞める」だけでは判断として足りません。

辞めた後に行く会社が、今よりましなのか。

それを見ないと、単なる脱出願望になります。

今の会社が嫌な人ほど、転職先候補を甘く見がちです。

求人票の「裁量」「成長」「フラット」「風通し」みたいな言葉が輝いて見える。

でも、そういう言葉は便利すぎます。

実態を見た方がいいです。

担当業務、評価制度、上司、組織体制、退職者の理由、年収レンジを確認します。

(2) 今の会社が嫌でないなら

今の会社が嫌でないなら、転職しなくてもいいです。

転職はそれなりに面倒です。

面接もあります。

職務経歴書も必要です。

入社後は新しい職場で品定めされます。

だから、現職に満足している人にまで「市場価値を確認しましょう」と雑に言うのは違うと思います。

ただ、現職に不満がないことと、外にもっとよい選択肢がないことは別です。

今の会社に残ると決める場合でも、外の条件を見てから残る方が納得しやすいです。

求人を見て、それでも現職がよいと思うなら、かなり強い判断になります。

(3) 不透明な転職先よりも確実な現職場を高く評価せよ

転職先候補は、入社するまで分からないことが多いです。

求人票、面接、エージェントの説明だけでは限界があります。

それに比べると、現職の情報はかなり具体的です。

良いところも悪いところも見えている。

これは大きな情報優位です。

だから、現職を軽く扱ってはいけません。

ただし、現職が確実だからといって、常に現職が正解というわけでもありません。

確実に悪い会社に残ることもあります。

確実に成長しない環境に居続けることもあります。

結局、現職の確実性と転職先の不確実性を比べるしかありません。

5 転職先候補を評価する基準

転職先候補を評価するときは、以下を見ます。

  • 仕事内容が具体的か
  • 年収レンジが現職より納得できるか
  • 上司やチームの情報が取れるか
  • 入社後に期待される役割が明確か
  • 自分の職務経歴と求人要件が合っているか
  • 会社の成長性だけでなく、自分の仕事の中身がよいか
  • 現職を捨てるだけの理由があるか

「よさそうな会社」では弱いです。

「現職より何がよいのか」を言える必要があります。

そのためには、求人を見るだけでなく、転職エージェントやスカウトで情報を照合する方がいいです。

もちろん、転職エージェントを信用しきる必要はありません。

転職エージェントにも利害があります。

だから、1社の話だけで決めない方がいいです。

複数の求人、複数の担当者、複数の情報源を比べる。

転職活動でも並列評価です。

外資・ハイクラスも含めて見るなら

現職と比較するには、転職先候補の情報が必要です。

外資、管理部門、ハイクラス求人まで見たい人は、JACのようなエージェントで求人背景や求められる役割を聞くと判断材料になります。

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6 FAQ

Q. 会社を辞めたいと思ったら、すぐ転職活動すべきですか?

すぐ応募する必要はありません。

まずは、現職に残る場合と転職する場合を比較できる材料を集める方がよいです。

求人、年収レンジ、仕事内容、求められる経験を見てから判断すれば十分です。

Q. 今の会社が嫌なら辞めた方がいいですか?

嫌という感情は重要ですが、それだけで決めるのは危ないです。

今の会社が嫌なときほど、転職先候補がよく見えます。

現職の悪い点と、転職先候補の不確実な点を並べて見た方がいいです。

Q. 転職エージェントに相談すると転職を急かされませんか?

担当者によります。

転職エージェントには求人紹介の利害があるので、話をそのまま信じる必要はありません。

ただ、求人情報や企業側の期待を持っていることはあります。

信用しきるのではなく、比較材料として使うのが現実的です。

転職エージェントは嘘をつくのかもあわせて読むと、使い方を間違えにくいです。

Q. 現職に不満が少ない場合でも、求人は見た方がいいですか?

現職に満足しているなら、無理に転職活動をする必要はありません。

ただ、現職に残る判断を強くするために、外の求人や年収レンジを見るのはありです。

求人を見た結果、現職が意外と悪くないと分かることもあります。

Q. 退職してから転職先を探すのはありですか?

事情によりますが、基本的には慎重に考えた方がいいです。

収入が止まると、判断が焦ります。

できるなら、現職にいるうちに求人や市場の反応を確認してから判断した方が安全です。

7 まとめ:会社を辞めるか残るかは、比較して決める

会社を辞めるか残るかは、気分で決めるには大きすぎる問題です。

今の会社が嫌なときは、転職先がよく見えます。

転職が怖いときは、今の会社が実際以上に安全に見えます。

どちらも人間として自然です。

だから、現職と転職した場合を並べて比較します。

今の会社に残る場合に何を得て、何を失うのか。

転職する場合に何を得て、何を失うのか。

この比較をせずに、辞めるか残るかを決めるのは雑です。

外の求人を見ることは、必ずしも転職することではありません。

今の会社に残るかどうかを判断するための材料にもなります。

比較基準は当然ながら多い方がよいため、複数の求人情報を得ることは重要です。

転職エージェントおすすめ一覧|約40社使ってわかった最初に見るべき3社」では、私が過去に相談した転職エージェントのまとめを載せています。

これも並列評価のための情報です。

転職エージェントも比較してうまく使い分けると、判断材料は増えます。

転職するかどうかは、その後に決めればいいです。

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