弁護士の働きやすい職場【法律事務所vs企業】 | パートナーと上司

弁護士の職場として、企業と法律事務所のどちらの方が働きやすいのか。

企業に入ってから「上司のパラハラに遭っている」といっている知り合いの弁護士もいます。

しかし、多くの場合法律事務所の方がストレスフルです。

なので、「もうこのパートナーの下で働くのは嫌だ」という弁護士は、企業に転職してインハウスローヤーになると、そのストレスは大幅に軽減される可能性は極めて高いです。 

１　ストレスと金 | 自分の金or会社の金

パートナー弁護士は、経営者であって日々の仕事が自分の稼ぎに直結します。

クライアントに請求して対価をもらわなければなりません。

よっぽどのお人よし（鈍感？）でない限り、アソシエイトの仕事には厳しくなります。

「私のクライアントから切られたらどうするんだ！」と。

他方で、会社員は「雇われ」の身分で、自分の仕事と自分の稼ぎは直結しません。

まして、バックオフィスである法務部は会社の売上に全く貢献しないコスト部門です。

よほど自分に厳しくない限り、弁護士に比べると会社の上司はコストには寛大です。

上司は部下に「売上を考えろ！」なんて言えません。

上司自身が売上を全く上げていないので当然です。

コスト（給料）だけ考えると、上司の方が会社には負担になっているのです。上司の方が給料が高いので。

そんな罪悪感は、ほとんどの管理部門会社員は感じていません。

「サラリーマンは気楽な稼業」とはかなり正しい指摘です。

法律事務所の弁護士に比べて、「何もやらなくてもOK」は非常に大きいです。

安定大企業はまさにその典型です。 

ぼーっとしてると危険なくらいです。

２　法律事務所：オーナー直下で働くきつさ

会社では自分に上司がいます。

常に自分の仕事が評価されるわけです。大企業ではパワハラやセクハラと色々厳しいです。

管理職は無能で言うことを聞かない部下を抱えても、叱るに叱れず、ろくに話も聞いてくれない上司との間で耐え忍ばなければなりません。中間管理職の悲哀です。

なので、下っ端として会社に入ればそうはいじめられません。

しかし法律事務所のパートナー弁護士はそうではありません。

「訴訟の準備書面では常に憲法13条から説き起こせ！それが腕のいい弁護士だ！」という思想の持ち主でアソシエイトにそれを延々3時間説教するパートナー弁護士がいたとしても、それを是正する人はこの世界にいません。

そしてそのパートナーがスリッパでアソシエイトを日々叩きながら説教しても小さい事務所ならとめる者はいません。

そんなパートナーについたらアソシエイトは服従するしかないのです。

３　どっちの下で働きたいですか？

弁護士としての腕を磨くなら有能な人格者のパートナー弁護士の下で働くのが一番いいと思います。

企業よりも法律事務所で働く方が職業弁護士としてのスキルは身につきやすいはずです。

よいパートナー弁護士のもとで働くには運が必要です。

大規模事務所にそうした人はどれくらいいるでしょうか。

もし良いパートナーがそれなりの数がいるとなれば、大規模事務所の新人採用人数はもっと少ないはずです。大手法律事務所は毎年たくさん新人を取ります。でも、採用人数のわりには事務所全体の弁護士数の伸びは鈍いです。なぜでしょうか。たくさん入った新人はどこに行っちゃうんでしょうね。

小さい事務所ならいいのか？確率だけで考えると、小規模も危険です。 

４　サラリーマン根性の方がいい？

じゃあ会社の方が楽でいいのか？

一般的には会社の方が楽なはずです。ただ、プロ意識を持って働きたい、と思う人には、企業は物足りなくなると思います。自分の腕で稼ぎたい、という人にとっても企業よりは法律事務所の方が収入アップの可能性は高いです。

弁護士（法律事務所）で稼ぐ人はやはり稼いでいます

しかし会社でも、儲かっている外資系企業のハイポジションであれば法務でもけっこうな給料がもらえることがあります。

ストレスは法律事務所以下だが、時給は法律事務所より高いというポジションはちらほらあります。

本当にちらほら、というかたまにしかないですが、給料の高いインハウス求人もあります。

どうやってそんな求人を見つけてインハウスローヤーになるかといえば、地道にたくさんの転職エージェントに会い、良い求人情報がもたらされるのを待つしかありません。

転職エージェントのウェブサイトから登録する。

転職エージェントと面談する。

求人情報を待つ。

そんな単純なことをやって、たくさんの求人情報を見てその中に良いポジションがあるのです。たまに。その滅多にないチャンスは普段から求人情報をチェックしていることで巡り合う確率を高められるのです。