公務員だから民間で通用しない、という決めつけは雑です。
しかし、「公務員でした」だけで企業が評価してくれるわけでもありません。
民間企業が見るのは、役所の名前ではなく、何を担当し、誰を動かし、どんな問題を処理してきたかです。
予算、法令、契約、調達、監査、制度設計、事業者対応、住民対応、システム、統計、プロジェクト管理。公務員の仕事には民間へ持ち出せる経験があります。ただし、自分で民間の職種に翻訳しなければ伝わりません。
転職エージェントを何社も並べて、「全部無料なので登録しましょう」で終わるのも雑です。
大企業へ行きたいのか。管理部門へ行きたいのか。外資やコンサルを狙うのか。まだ辞めずに市場の反応だけ見たいのか。目的が違えば、使うサービスも変わります。
公務員経験をどう民間へつなげ、どの順番で転職先を確認するか。そこから考えます。
本記事はプロモーションとなる内容を含みます。
1 公務員は転職先に合わせてサービスを使い分ける
公務員という肩書だけで、使う転職サービスは決まりません。
今までの仕事と、次に行きたい職種で決まります。
| 現在の状況 | 最初に確認するもの | 理由 |
|---|---|---|
| 転職するかまだ決めていない | ビズリーチ | 企業・ヘッドハンターから届く反応を見られる |
| 人事・総務・法務・経理などへ行きたい | MS-Japan | 管理部門経験と民間求人をつなぎやすい |
| 外資・コンサル・専門職・管理職を狙う | JAC | 一般転職より対象を絞った求人相談に向く |
| 一般職種を広く見たい | 総合型エージェントの比較 | 公務員という属性だけで1社へ決めない方がよい |
(1) まだ辞めると決めていないなら市場の反応を見る
公務員の経験が民間で評価されるかは、自分で考えていても分かりません。
職務経歴を公開し、どの企業やヘッドハンターが、どの経験に反応するかを見る方が早いです。
スカウト件数だけで市場価値が高いとは判断できません。誰が、どの経歴を見て、どんな仕事を持ってきたかを見てください。
辞表を書く前に、公務員経験へどんな反応が来るかを確認してください。
登録しても、届いたスカウトへ返信したり、すぐ応募したりする必要はありません。
登録後の見方は、ビズリーチで市場の反応を確認する使い方で説明しています。
(2) 管理部門へ行くなら経験を職種に翻訳する
公務員の仕事には、民間の管理部門へつながる経験があります。
- 予算・会計・決算
- 人事・労務・研修
- 法令・契約・訴訟対応
- 監査・内部統制・コンプライアンス
- 調達・入札・取引先管理
- 会議体・文書・規程の管理
ただし、「役所で総務をしていました」では弱いです。何人を相手にし、どの手続きを運用し、何を改善したかまで説明してください。
自分の経験が人事・総務・法務・経理のどこへ接続するか、管理部門求人を見ながら確認します。
管理部門・士業で転職を考えるなら、まずMS-Japanで求人の出方を確認してください。
法務、経理、人事、経営企画などは職種の違いが細かいので、管理部門に強い相談先を1つ持っておくべきです。
公務員経験がつながる人事・総務・法務・経理求人を相談する(3) 外資・コンサル・専門職は全員向けではない
中央省庁、政策、規制、IT、技術、金融、国際業務などの経験があれば、外資系企業やコンサルへつながる場合があります。
ただし、「公務員は頭がいいからコンサルに行ける」という話ではありません。
採用側が欲しいのは、公務員試験に合格した人ではなく、業界知識、制度理解、プロジェクト経験、調整力を仕事に使える人です。
外資・コンサル・専門職で、自分の経験を使える求人が本当にあるかを先に確認してください。
JACは一般的な公務員転職の第1候補ではありません。外資・英語・専門職・管理職を狙う人向けの補助導線です。
一般職種を広く比較したい場合は、転職エージェントを約40社使って分かった最初に見るべきサービスを確認してください。
2 公務員の転職は増えている
以下の数字は、2020年と2022年に報じられた当時の数字です。現在の退職者数として読むものではありません。
ここで見るべきなのは、公務員の民間転職が一時的な珍しい動きではなく、若手のキャリア選択として表面化していたことです。
霞が関の官僚の転職による退職は増えている。
霞が関で幹部候補とされる若手キャリア官僚(総合職)の流出がとまらない。人事院が5月に初めて公表した調査によると、入省10年未満の退職者は2018年度に100人を超え、19年度に139人に達した。20年度も109人と3桁の数字が続く。(1面参照)
データ編(4)キャリア官僚、若手流出続く 年100人超、5年未満多く(ニッポンの統治)2022/11/03 日本経済新聞 朝刊
特に多いのが入省5年未満の層だ。17年度に35人だったのが、18年度に70人と倍増した。
採用者総数に占める5年未満での退職率も15年度入省で11%に達した。近年は1年未満で辞める人も1%前後の水準が続く。
2020年3月の新聞でも以下のとおり書かれています。
公務員の人材流出が増えている
(日本経済新聞2020年3月15日朝刊「公務員の転職希望が急増、大手サイト登録最高、20代、外資やITへ。」)
上記記事によれば、公務員の転職の状況は以下のとおり。
(エン・ジャパンの状況)
- 大手転職サイトへの公務員の登録数は最高水準にある
- 国家公務員の離職者は3年連続で増加
- 特に外資系やIT(情報技術)企業に転じる20代が目立つ。
- 国家公務員と地方公務員の登録者数(教師や警察官などを除く)は、2019年10~12月期は1万2379人で、前年同期に比べて22%増加(エン・ジャパン)。全体の登録数は3~4%増なので、公務員の登録者の増加は相対的に大きい。
- 中でも20代が33%増で急増した。
(人事院による国家公務員の離職状況)
- 定年退職や任期満了を除く国家公務員(一般職)の離職者数は3年連続で増加
- 厚生労働省は2018年度の離職者数が16人増の575人(定年退職や出向を除く)
- 経済産業省は2019年度に23人の総合職が離職。例年は15人程度。
転職を考える公務員は増えている。
3 公務員が転職する理由・志望動機とは
安定した職場で国・地方公共団体等のために働ける公務員は人気のはず。
なぜ転職したい人が増えているのか
(1) 公務員にやりがいを感じないから
中央省庁では国会対応に伴う長時間労働などで、若手を中心に働く意欲が減退している。若手の「公務員離れ」が加速すれば、将来の行政機能の低下を招く恐れがある。
国会対応、短い異動周期、雑務、裁量の乏しさ、長時間労働。公務員を辞めたい理由は、単に給料が安いからではありません。
自分の時間とキャリアを自分で決めにくいことが、じわじわ効きます。
雑務が多いのは民間も変わらないと思いますが、空気が違うかもしれません。
厚労省の若手の改革チームによる働き方の提言や総務省の働き方改革チームのまとめによると以下のような声、調査結果が出ているそうです。
- 「生きながら人生の墓場に入った」
- 「一生この仕事で頑張ろうと思うことはできない」
- 20~30代の職員の約半数が業務にやりがいと感じつつも約60%が「心身の健康に悪影響」、約40%割が「やめたいと思うことがある」と回答
- 「モチベーション高く仕事ができている」との回答は、部長級以上で90%超、係長級では54%。
「雑務ばかりの長時間労働はもう疲れたよ。。」
このような理由が退職志望理由ナンバー1になりそうです。
裁量の乏しさは大きなストレス要因ですので、かなり辛い環境のようです。
部長級以上は仕事のモチベーションが高く保てている人が90%以上なので、裁量の広狭が大きくやりがいに直結する職場といえそうです。

(2) 公務員は給料が安くてコスパが悪いから
給料が安いだけではなく、長時間勤務を強いられるブラック企業体質も役所を去る一因です。
大量退職の根っこには中央省庁の働き方や待遇面でくすぶる不満がある。
データ編(4)キャリア官僚、若手流出続く 年100人超、5年未満多く(ニッポンの統治)2022/11/03 日本経済新聞
公務員の魅力は安定だとよく聞きますが、大企業だって安定してますよ。
給料がそこそこよい大企業と公務員を比べると、大企業の方が楽で給料が良くコスパが良いです。
知らないと後悔しますよ。

(3) 民間転職という選択肢が現実的になったから
新卒者の減少に加え、人手不足で転職市場が活況になっていることも一因とみられる。
2019年の月次平均ベースの転職者数は351万人であり、2002年以降で最多を更新しているそうです(総務省の労働力調査)。
昔は、採用する民間企業も「お役所仕事してた人はちょっと…」と敬遠してたのかもしれません。
今はわがまま言ってられなくなってきたということか。
4 公務員はどこに転職すべきか
公務員がもう嫌なら辞めるべきです。無理する必要はありません。
問題はどこに転職するかです。
(1) 安定を求めるなら大企業を狙え
安定性に魅力を感じて公務員になった。その魅力は消えない。
そう思うなら日系大企業を狙うべきです。
民間だから業績が悪くなれば倒産はありえますが、大企業の安定性は中小企業とは比べ物になりません。
給料もいい。
世間体も保てます。
大企業なら、転職して嫌なら再度の転職もしやすい。「つぶし」がききます。

しかし、大企業によっては「役所以上に役所っぽい」と揶揄されるところもあります。
絶え間ない雑務が繰り返される可能性は大企業でもあります。
「大企業の仕事はくだらない」と吐き捨てている人もたくさんいます。

どの会社、どのポジションに就くかで大きく変わりますので、要考慮です。
(2) 「あなたとは違うんです」意識高い系公務員はコンサルやIT系に転職する
民間企業の中でも意思決定が速い外資系コンサルタントやITベンチャーに転職する例が多いという。
19年に中央官庁からITベンチャーに転職した30代女性は「省庁で働いてもつぶしがきかない。『最後のチャンス』と30代前半までに民間転職を考える人は多い」と語る。有能な若手ほど現状の業務に疑問を感じている可能性が高い。
上記(1)のように大企業に転職するのではなく、「普通の人が行かない会社」であるが高学歴、エリート層に言うと「おっ」と思われそうな企業に行きたい公務員もいるでしょう。
外資系コンサルやIT系だと、マッキンゼーやBCGといった戦略コンサル、デロイトやPwC等の会計コンサル等、「それらしい」コンサルはたくさんあります。
- 公務員は辞めたい
- 特にやりたいことはない
- ブランドのある会社に行きたい
- そうすれば将来つぶしが利く
こんな感じで「とりあえずエリート層」でありたい、という意識高い系国家公務員に給料の高いコンサルは自尊心維持によい転職先でしょう。
私は「弁護士から外資系コンサルへ」と考えて似たような発想で転職活動をしてました。
国家公務員試験で培った試験と就職テクニックは外資系コンサル転職に使えます。
(3) ベンチャー企業に青い鳥が飛んでいると思うな
「役所は停滞しきってだめだ。ベンチャーで自由にやりたい。ベンチャー企業で社会を変える力になるんだ!」
こんな風に極端に考えたらだめですよ。
ベンチャー企業の方が整っていないものが多く、困難に直面する局面は多いはずです。
「世界を変える」というような幻想も捨てて現実を見るべきです。
「社会の役に立つ」はずの役所で幻滅してたならなおさらといえます。
社会の役に立つ仕事がしたいという志望動機を持つ者は社会の役立たず | 転職キャリアルール (career-rule.com)

5 辞める前に自分の経験が民間で通用するか確認する
転職すれば、今の職場から離れられます。
私は非常にストレスフルな職場から転職できて、本当によかったです。
ただし、公務員を辞めれば自動的に人生がよくなるわけではありません。
大企業へ行っても雑務はあります。コンサルへ行けば成果責任が重くなります。ベンチャーへ行けば制度が整っていないことがあります。
今の職場が嫌いなことと、次の職場で何ができるかは別の話です。
辞める前に、次の3点を確認してください。
- 公務員として何を担当してきたか
- その経験を民間のどの職種へ言い換えられるか
- 実際に企業や転職エージェントから反応があるか
反応を見てから残ると決めてもいい。転職すると決めてもいい。何も確認せずに「公務員だから通用しない」と諦める必要はありません。
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