テレワークでは良い椅子に正しく座って効率性アップ
在宅勤務が始まって家の椅子で座るようになってから調子が悪い。
そんな声をちらほら聞きます。
それもそのはず。
会社の椅子はデスクワークに向いていますが、家の椅子はそうではありません。
座って仕事をする時間が長い方は、どの椅子に座るべきかを重視すべきです。
良い椅子に座れば、疲れにくくなり、生産性が高まります。
本記事は、厚労省による「情報技術の発達への対応及び最新の学術的知見を踏まえ、別添のとおり情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」である「情報機器作業における労働衛生のためのガイドライン」(令和元年7月12日基発0712第3号)(以下「ガイドライン」といいます。)をベースに書きました。
(2021年1月3日改訂)
- テレワークでは良い椅子に正しく座って効率性アップ
1 椅子は生産性のために重要だ
椅子は大事です。
テレワークが流行している今こそ椅子の重要性を見直すべきです。
なぜか。
家具の中でも、テーブルや、ドア、壁等と違って、椅子はベッドと同じように体に直接触れて使う「体具」であり、健康への影響が大きいからです。
人が一生の間座る時間の長さは凄まじいものがあります。
椅子は健康とも大きく関係しています。下手な座り方を続けていると、腰痛ばかりでなく、内臓にも悪い影響を与えます。
(心地よい椅子を科学する研究会『椅子の科学 (おもしろサイエンス)』(日刊工業新聞社、2009年4月)はじめに)
(1) 椅子は危険
人にとっては、とりわけ上半身については、座っているより立っているほうが自然です。
なぜか。
それは、「立っていたほうが、人間の体を支える背骨が基本形のS字形になり、内臓のバランスがとれるために、苦しくないからです。しかし座ると、背骨のS字形が崩れ、無理な姿勢となり腹部が圧迫されます」(心地よい椅子を科学する研究会『椅子の科学 (おもしろサイエンス)』(日刊工業新聞社、2009年4月)5ページ)
(2) その座り方は自分の健康を害している
座ることは、上体ひいては内蔵にダメージを与えます。
しかし、座って背中のS字を保つのは不自然です。
そうすると、椅子に座る際には、なるべくダメージの少ない健康的な座り方をする必要があります。
ある椅子の広告に「あなたがオフィスで何気なく座っている椅子はあなたの身体を蝕んでいるかもしれません」という文句がありました。それは、座っているときのほうが、立っているときよりも腰に負担がかかっているためです。さらに内臓も、立っているときよりも座っているときのほうが圧迫されます。
ですから、座り方が正しくなければ心身の機能の低下を招くことは確かです。とくに腰に対する負担は大きなものがあります。中でも腰椎にかかる負担は大きく、座ったときのほうが腰と上体にかなりの負担がかかっているのです。(心地よい椅子を科学する研究会『椅子の科学 (おもしろサイエンス)』(日刊工業新聞社、2009年4月)32ページ)
上記動画も含め、オカムラの「はたらく姿勢を考える」は座る姿勢を考える上で勉強になります。
2 好ましい椅子の座り方
どんな座り方をすればいいのか。
基本を知りましょう。
- 背もたれや肘掛けのある椅子を使って、楽な姿勢をとる
- 長い間、同じ姿勢をとらずに、時々は体を動かす
- お尻と腰を安定させる
- 腿の裏側をできるだけ圧迫させない(あまり前屈みにならない)
- 軽くアゴを退いて背筋を伸ばす
- お尻を背もたれに密着させる
- ヒザは股関節と平行か、あるいはわずかに高くなるようにする
- 座面の端とヒザの裏側は、こぶし一つが入る程度あける。
(心地よい椅子を科学する研究会『椅子の科学 (おもしろサイエンス)』(日刊工業新聞社、2009年4月)にて紹介されている座り方をまとめたもの。)
上記ポイントの1つ目には「背もたれを使う」というものがあります。
高級椅子を買ったとしても、背もたれを使わずにだらしなく使ってたら、全く意味がありません。
(日経ビジネス2020.8.10より)
上記写真の座り方はだめです。
背もたれをちっとも使っていません。ノートパソコンも一因ですが、良くないです。
「背もたれに背中を設置させなければ、どんな高級オフィスチェアも意味がありません」(とある高級オフィス家具店の説明)
上記の座り方は、背もたれに背中はついていますが、全然使えていません。
こういう座り方をすべきです。↓
3 事務仕事のために望ましい椅子の要件
どんな椅子がいい椅子か。
人間工学的に「理想の椅子」とされるのは、「座ることの体への無理をどれだけゼロに近づけたのか」ということです。
(心地よい椅子を科学する研究会『椅子の科学 (おもしろサイエンス)』(日刊工業新聞社、2009年4月)5ページ)
これだけだと抽象的です。
また、椅子には、①作業用、②小休止用、③安楽用と、用途ごとに分けられています。
ソファは、安楽用です。
本記事は、作業用の椅子についての記事です。
ガイドラインと文献から抽出して良い作業用椅子の要件を以下のとおりまとめました。
- 全般:安定しており、かつ、容易に移動できること。
- 座面:床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。座面の高さは38~41cm程度がよい。座面は前傾している方が作業用椅子としてはよく、その望ましい角度は3度以下。椅子と膝裏にはやや隙間があった方がよい。クッションは、座面の周囲が硬く、中央部の柔らかいものは、お尻の体圧の感じが悪いので良くない(中央部が沈み込むよりも水平な方がよい)。また、クッションが薄いものは避けるべき。
- 背もたれ:適当な背もたれを有していること。背もたれが第四腰椎(ベルトの付近)のあたりをしっかりと支えるような構造になっているものがよい。また、背もたれがスプリングですぐ後ろに倒れるいすは、疲れやすいので注意したほうがよい。背もたれは、傾きを調整できることが望ましい。
- 肘掛け:必要に応じて適当な長さの肘掛けを有していること。肩が凝らない高さにする。
(1) ガイドラインが示す良い椅子の条件
ガイドラインで示されている望ましい椅子の要件は次の通りです。
- 安定しており、かつ、容易に移動できること。
- 床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。
- 適当な背もたれを有していること。また、背もたれは、傾きを調整できることが望ましい。
- 必要に応じて適当な長さの肘掛けを有していること。
上記要件につき、ガイドラインには解説が書いてあります。
椅子については、「絶対に誰にとってもこれがいい!」というものはありません。そのため、「作業者の体形、好み等に合わせて適切に調整できるものがよい」とされています。できるだけ調整が可能なものが好ましいです(要件2, 3等)。
なお、「容易に移動」に関し、JISZ8515:2002 人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項(以下「JIS」といいます。)では、「作業要求の変更に伴ってユーザーがワークステーション内で目的の装備に近づくためのちょっとした移動を安全,かつ,容易にするためにキャスターを推奨する」とされています(5.5.3.4)。
(2) 『新装 インテリアの人間工学』が示す良い椅子の条件
また、小原二郎監『新装 インテリアの人間工学』(2018年12月、ガイアブックス)で示されている「よい作業用いす」の判断基準は次のとおりです。
- 座面はむしろ水平なくらいのほうがよい。後ろに傾斜しすぎていると、上体が前かがみになるからおなかのあたりが圧迫されて苦しいし、疲れやすい。
- 背もたれが第四腰椎(ベルトの付近)のあたりをしっかりと支えるような構造になっているものがよい。また、背もたれがスプリングですぐ後ろに倒れるいすは、疲れやすいので注意したほうがよい。
- クッションについていえば、座面の周囲が硬く、中央部の柔らかいものは、お尻の体圧の感じが悪いので、落ち着かない。座面の高さは38~41cm程度がよい。
- 机との組み合わせに注意する。机の高さは70cmが標準である。
-
パソコンを使ったり、筆記作業をするときは、座面を前傾させると能率があがるし疲れが少ない。現在はITの普及によってキーボードが広く使われているが、それには前傾したいすが適していることを追記しておきたい。座面の前傾角度は3度以下である。
(3) 事務用作業用ではない椅子と机に気をつけろ
オフィスはさすがによくできています。
何がというと、事務作業用によくできているのです。家庭用のダイニングテーブルと椅子でノートパソコンで仕事をするなんて最悪です。
疲れて体が凝ってしょうがない。
自宅でテレワークに臨む人の多くが、長時間作業による腰や肩、首などへの負担に悩んでいる。その原因は椅子と机にあることが多い。仕事には向かない椅子を使っているようなケースだ。
最たる例がダイニングにある椅子とテーブルである。食事用の椅子はオフィス用よりも座面の位置が高く、テーブルは低いことが多い。仕事をすると猫背になりやすく、腰痛や肩こりをまねきやすい。(日経産業新聞 2020/8/24)
事務作業用でない椅子は、前記した良い作業用椅子の要件を満たしていないものばかりといえます。
ではどんな椅子がいいのか。
有力な選択肢となるのが、オフィス家具メーカーの椅子だ。オーソドックスなオフィス向けのほか、長時間の利用を想定し通気性に優れた製品、著名なデザイナーによる高級製品がそろっている。
(同上)
4 座りすぎはNG
色々な椅子や姿勢に関する本を読んでみました。
パーフェクトな椅子は存在しません。
- 万人受けする誰にでも最高の椅子はない。
- いかなる場面でも使える椅子はない。
- 自分用のオーダーメイドでも「こうすれば自分に最適の最上の椅子」という条件もない。
椅子にあまり座りすぎるのは良くないのです。
アメリカで若者3200名を対象にした25年にわたる大規模調査でわかったことは、座りがちだった被験者は以下のような特徴が出ていたことです。
- 集中力と記憶力が損なわれていた。
- 思考が遅くなっていた。
「とりわけ座る時間が長く、1日に3時間以上じっと座っていた人は惨憺たる結果だった」とのことです。
この調査は25年にわたって行われ、その間に脳の機能は徐々に変化していった。調査の結果は、身体を動かすことが私たちの知能に長期的に大きな影響をおよぼすことを示している。
長時間座りっぱなしでいると集中力が損なわれるだけでなく、不安やうつになりやすくなる。さらには認知機能も損なわれて、頭の回転が遅くなるのだ。(アンダース・ハンセン『一流の頭脳』(サンマーク出版、2018年3月)135ページ)
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座りすぎを避けましょう。
5 テレワークでおすすめの椅子はこれだ
座りすぎは良くないとして、どの椅子を選んだらいいのか。
具体的におすすめの椅子を紹介します。
(1) カッシーナ・イクスシー社の「ローリングフレーム キャスタースウィベルチェア」
椅子が来た!
— 慎 正宗 (@shinmasamune) June 24, 2020
これはカッコ良いし、座り心地も最高。Alberto Medaと言うデザイナーの椅子(らしいです)
天才建築家曰く、
「いわゆるアーロンチェアだと家に置くにはちょっと会社っぽすぎてイヤだと思うので、なるべくオフィス感薄く、かつ機能性があるものを選びました」
プロに任せるのが一番 pic.twitter.com/qwqbVaSrq7
Twitter上で私がフォローしている慎正宗さんが在宅勤務用に購入された椅子でおすすめされていたものを紹介します。
どの椅子が在宅勤務用によいかと検討されておられ、知り合いの「天才建築家」からの助言をもとに購入されたそうです。
これ、見た目もシュッとしててカッコ良いんですが、座り心地も凄く良い感じで家オフィス用には超オススメです!https://t.co/ZkDLC8paQB
— 慎 正宗 (@shinmasamune) June 24, 2020
すごくかっこいい椅子だなあと思ったのですが、座り心地もとてもいいとのことです!
HIGHFRAMEの世界的なヒットを受けて開発されたオフィスチェア。HIGHFRAME同様、力学的なフレームワークの美しさや、軽くて強度的にも優れ適度な弾力性を持つPVCネットの採用が特徴です。
(同社ウェブサイト)
同社ウェブサイト内ではこの椅子が作られる過程動画が紹介されています。
「おお、こんな風に作られているのかあ」と工程の一貫が見られます。
ガイドラインの要件を満たしているか検討してみましょう。
1. 安定していて、簡単に移動できる |
〇座面はしっかりしており、キャスターがついています。 |
2. 座面 |
〇ガススプリングによる高さ調節機能付で高さは調節できます。座面は水平であり、中央部が沈みこむような作りにはなっていません。 |
3. 適当な背もたれ |
〇背もたれは美しいカーブを持っています。カーブを見る限り腰のあたりをサポートするようになっています。 |
4. 肘掛けがある |
△肘掛けはありますが、がっしりと肘を置くひじ掛けではないようです。 |
△の項目があるのにおすすめにしたのは、在宅勤務用であることを考慮してです。
オフィスチェアだと、デカくて場所をとります。また、「アーロンチェアだと会社っぽい」という天才建築家のコメントにあるとおり、家の中の景観に会いません。
このカッシーナ社の椅子は、家の中のインテリアとしても優れています。ここを高く評価しました。
いい物があるとテンションが上がるでしょう。
気になるお値段。
アーム付き:12万6000円~
アーム無し:11万円~
厚労省ガイドラインに従うなら、迷わずアーム付きです。
なお、楽天市場では中古品が38500円で売っていました。
https://item.rakuten.co.jp/officerescue/used_io-834660c/
(2) オカムラの「Sylphy(シルフィー)」
この椅子は、一般社団法人日本人間工学会の「人間工学 グッドプラクティスデータベース」に人間工学的に設計された製品事例として登録されています。
(グッドプラクティスデータベース一覧 | JES 一般社団法人 日本人間工学会 -Japan Ergonomics Society-)
人間工学会の紹介している「人間工学的配慮視点」は次の3点です。
- 体にフィットする「バックカーブアジャスト機構」
腰まわりの形状は体格により差があることに着目してオカムラが開発した機構です。人の好みに合わせて調節することで腰まわりのサポート感が向上します。
- 多様な作業姿勢に対応する「前傾機能付シンクロリクライニング」
シルフィーでは、以下3種の傾斜姿勢が付けられます。
- 前傾姿勢
- 直立姿勢
- 後傾姿勢
この中では注目すべきは前傾姿勢です。
パソコン作業や筆記作業をサポートする前傾ポジションをとることが可能。前傾姿勢をとることで、骨盤を起こして背骨のS字カーブを保ち、腰の負担を軽減できるとのことです。
パソコン作業や筆記作業に適したポジションを取れるのは在宅ワークにはもってこいです。
- フィット性を高める「異硬度クッション」
座面には硬さの異なる3種類のウレタンを一体成型しています。前方は大腿を圧迫しないように柔らかく、後方はお尻をしっかりとサポートするため硬めにされています。
これにより、長時間座った時の体圧を分散し、血流の鈍化を防止してくれます。
ガイドラインで示された良い椅子の要件を充足しているか検討してみます。
1. 安定していて、簡単に移動できる |
〇座面はしっかりしており、キャスターがついています。 |
2. 座面 |
〇高さ調節機能あり。クッションは、前方が柔らかく、後方が硬く、工夫されています。前傾機能付きシンクロリクライニング機構により、事務作業に適切な前傾にすることができます。 |
3. 適当な背もたれ |
〇傾きの調節機能があります。 そして、この椅子の特徴は、オカムラが開発したバックカーブアジャスト機構。これは腰をよくサポートしてくれます。良い。 背もたれの高さに応じて、ローバック、ハイバック、エクストラハイバックの3種類があります。 |
4. 肘掛けがある |
〇肘掛けは、高さと前後を調節できます。 |
迷うくらいのオプションがあります。
おすすめオプションはこれです。
オプションの内容 |
説明 |
おすすめ |
ローバック、ハイバック、エクストラハイバック |
背もたれの高さ |
エクストラハイバック (首までサポートしてもらた方がいい) |
ハンガー |
背もたれの外側の上の方にハンガーを付けてジャケットなどの服をかけられる |
不要。自宅の椅子にハンガーは不要。 |
ランバーサポート |
腰部をしっかりホールドするランバーサポートは、体格にあわせて上下高さ調整ができる。 |
これはあったほうがよい。『新装 インテリアの人間工学』でもランバーサポートについて言及されている。 |
固定肘 or 可動肘 |
肘の高さの調節機能 |
可動肘の方がよい。机の高さ等にあわせるべきだから。 |
オプションやデザインによってものすごいバリエーションがあります。
値段はオプション次第ですが、上記おすすめの組み合わせで10万円くらいです。
この椅子はオフィスチェアとして機能レベルが高いです。
ただ、家用としては若干違和感があり、オフィス感が出ます。
(3) プラス「オーバル」
プラスのオフィスチェア、オーバルは、1997年発売開始のロングセラーです。
このオーバルを勧める理由は、「前傾ポジション」を取りやすいことにあります。
プラスのウェブサイトでも以下のように誕生経緯が説明されています。
PCの普及(一人1台の時代)と共に、長時間のPCワークに適したチェアが求められて来ていました。そこで「自然に前傾姿勢が取れる背座角度設定」がコンセプトのチェア開発に着手。標準仕様で前傾姿勢のポジショニングが取れるオーバルが生まれました。
背もたれの高さには3種類あります。
- ローバック
- ハイバック
- エクストラハイバック
在宅で使用するならばぜひ「エクストラハイバック」にしましょう。
また、肘掛けは、①ループ肘と、②フロントアジャスト肘の2種類があります。
迷わず、②フロントアジャスト肘を選びましょう。なぜか?高さが調節できるからです。
▼高さが調節できない①ループ肘はおすすめしません。
この椅子をおすすめしていた文献の記載は以下のとおりです。
椅子の中で、患者さんにもオススメしている椅子を一つ取り上げておきます。プラス株式会社の「オーバル」という椅子です。この椅子は前傾姿勢を無理なくサポートしてくれます。実は私自身が5年間使っていた椅子でもあります。マイナーチェンジを繰り返してはいますが、基本の座面から背もたれにかけての前傾サポートは変わりなく、骨盤を無理なく立てることができますので「究極の座り方」もしやすく、長時間のパソコン姿勢に適しています。
(木津直昭『肩こり・腰痛が消えて仕事がはかどる 究極の座り方』(文響社、2016年12月)176ページ)
(4) ゲーミングチェア
前記(1)や(2)の椅子はだいたい10万円くらいします。高い。高級事務作業椅子は高いのです。
安く済ませる方法はないか?
ゲーミングチェアを買うという選択肢があります。
プログラマーやイラストレーター、ゲーマーの利用を想定した椅子を使う手もある。長時間同じ姿勢で作業することを想定して設計されており、通気性のある素材の採用、エルゴノミクス(人間工学)に基づいたデザインなどの工夫が施されている。長時間作業したままでも疲れにくいと、テレワーカーの間でも評価が上がっている。
(日経産業新聞 2020/8/24)
ゲーミングチェアは、ビジネスチェアに比べ安価です。オフィス用ではなく、一般のゲーマーもユーザー層に含まれているため、価格は低く設定されています。
機能も高機能です。
ただ、派手でごついため、あまり家の中に置いておくにはちょっと、、というのが私の感想です。気にならない人には全く問題にならないポイントです。
NIKKEI STYLEに掲載されていたゲーミングチェアを以下紹介します。
関家具 Contieaks
Eiger -アイガー- | Contieaks コンティークス ゲーミングチェア
関家具という会社がContieaksというブランドのゲーミングチェアを発売しています。
その商品の中でEiger(アイガー)をとりあげてみます。
椅子の要件を満たしているかみてみましょう。
1. 安定していて、簡単に移動できる |
〇安定感抜群です。キャスターがついています。ただ、デカいので、簡単には移動できない?? |
2. 座面 |
〇クッションは「尾てい骨/座骨を考慮して三次元成型した座面クッション。お尻の違和感を感じにくく、快適な姿勢をキープできます」。 |
3. 適当な背もたれ |
〇23段階のリクライニング機能。仮眠ができるくらいまで倒せる。ランバーサポートもついている。
|
4. 肘掛けがある |
〇肘掛けは、高さと前後、角度を調節できます。 |
おお、全要件を満たしている。
それでいて値段は33,880円(税込)とオフィスチェアよりかなり安い。
デザインも、グレーくらいなら落ち着いたデザインとして許容可能か。
オフィスチェアとゲーミングチェアの違いは何か。
それは背もたれです。
ビジネスチェアは、背もたれに体重をかけると、スプリングでぐっと後ろに倒れ込み、力を抜くと元に戻るような構造になっている。
それに対してゲーミングチェアの背もたれは、リクライニングはするが、角度は固定式だ。自動車のフロントシート、あるいは新幹線や高速バスのシートと同様の作り、といえば分かりやすいだろう。リクライニング用のレバーを引き、体重をかけて適当な角度に倒し、レバーを戻すと、背もたれの角度がホールドされる作りになっている。
例えば、椅子に座ったまま、ぐっと伸びをしたいときや、あるいは背後に手を伸ばしたいときなどは、体重をかけるとそれに応じて倒れ込むビジネスチェアのほうが使い勝手はよい。
長時間座り続けるときは、一定の角度で上半身をしっかり固定するゲーミングチェアにも利点はある。ビジネスチェアも高額な製品になると、任意の角度で背もたれを固定できるようになっているが、この背もたれの違いは椅子を選ぶときに留意すべきポイントだ。
(5) GLABの「リアライン・チェア」【座椅子】
これは、椅子の上におく座椅子です。柔らかくないです。
骨盤を前傾させるよう設計されています。
リアライン・チェアとは、長時間椅子に座ることに苦痛を感じる方のために開発されたポータブル座椅子です。椅子での不快感の原因の一つである骨盤のマルアライメント(歪み)を、座っているだけで改善(リアライン)するように設計されました。
(ウェブサイト)
これをお勧めするのは、デカい椅子は買えない!という人向けです。
今使っている家庭用の椅子の上にこの座椅子をおけば、骨盤の歪みを改善してくれる人間工学椅子に早変わりするのです。
しかも持ち運びも簡単。
1万9500円と座椅子にしては高いですが、高級椅子に比べたらはるかに安上がりです。
私はこれを使っています。
高級椅子はほしいですが、場所を取るので、今ある椅子の上におくだけで済むこのリアラインはあると助かります。
これを使うと背筋がすっと伸びます。
背中が丸まらないよう、子供が使うのもよいと思います。
「子供分含めて家族全員分買いました」と言っている整体院の先生もいます。
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椅子は大事です。
良い椅子を買い、正しく座りましょう。
それができればテレワーク環境は大きく改善されます。
寒い冬のテレワーク用暖房のおすすめはデロンギマルチダイナミックヒーターMDHU09
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参考文献
- 中村格子『医師が教えるゼロポジ座り 疲れない、太らない、老けない (講談社の実用BOOK)』(講談社、2019年1月)
- 心地よい椅子を科学する研究会『椅子の科学』(日刊工業新聞社、2009年4月)
- 木津直昭『肩こり・腰痛が消えて仕事がはかどる 究極の座り方』(文響社、2016年12月)
- 小原二郎監『新装 インテリアの人間工学』(2018年12月、ガイアブックス)
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生のためのガイドライン」(令和元年7月12日基発0712第3号)
医師が教えるゼロポジ座り 疲れない、太らない、老けない (講談社の実用BOOK)