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ザ・フォーミュラ科学が解き明かした成功の普遍的法則 | 書評・レビュー

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最先端の科学的分析に基づく成功を掴むための確かな知識を授ける1冊

人生での成功とは何か、どうしたら成功することができるのか、過去の成功者達はどのようにそれを達成したのか、といった「成功」についてこれでもか!というくらいしつこく分析・研究をした学者の本です。

 

これを読めば、やみくもに努力して成功するぞ!という無駄な努力を避け、合理的な原則を避けて過去の先人達のようにうまく成功を掴む手助けをしてくれる本です。

 

「私はこうやって成功した」という感じの、誰かが自分の体験を語る本とは全く異なります。

 

この本の以下の説明がぴったりだと思います。

「膨大なデータをもとに、最先端の科学的手法を駆使して”成功の普遍的法則”をついに解き明かした一冊」(訳者)

 

 

学者の研究がベースとなっており、説得力があります。

 

お勧め度:★★★★★

 

1 アルバート=ラズロ・バラバシとは何者か

著者は、この本で扱っている成功の科学にかなり力を入れている研究者です。

 

訳者はわかりやすく著者をこう紹介しています。

著者は理論物理学者であり、世界的なネットワークサイエンティストとして、熱い注目を浴びる

 

本書の著者紹介文は次のとおりです。

ボストンの名門ノースイースタン大学ネットワーク科学部門教授で、同学の複雑ネットワーク研究所所長。ハーバード・メディカル・スクールや、ハンガリーの中央ヨーロッパ大学でも教鞭を執る。ルーマニア出身のハンガリー人でアメリカ国籍も持つ。 著書に15カ国に翻訳されて世界的ベストセラーとなった『新ネットワーク思考――世界のしくみを読み解く』、『バースト! ――人間行動を支配するパターン』など。現在もっとも多く引用される研究者の一人であり、欧米で多くのアカデミックな賞を受賞している。(本書の著者紹介)

  

こう評している人もいます。

バラバシ自身、大成功を収めた偉大な科学者である。その彼がみんなのために、科学の力で成功というものを解明しようというのである。
――ニコラス・クリスタキス(『つながり』著者)

 

2 ザ・フォーミュラの要約

過去の膨大な人間の成功のデータを分析して、誰にでもあてはまる、誰でも使える「成功の原則」を解き明かした本です。

 

人間の功績にまつわる膨大な量のデータを集め、成功を構成要素に分解する方法を見つけ出し、人が成功する仕組みを分析した(10ページ)。

 

「膨大な量のデータ」というのは伊達じゃありません。

ちょっとしたデータの整理に数年かかった、という研究をしたというのが本の中でちらほら出てきます。

 

著者によるもう少し詳しい本書の説明はこうです。

本書では、「成功の法則」を裏づける幅広い科学的研究について考察していく。私たちの発見を紹介することで、読者のみなさんには成功を生み出す、複雑だが再現可能なメカニズムを理解していただきたい。そして、その知識をそれぞれの人生で活用できることを願っている。とはいえ、本書はセルフヘルプ(自己啓発)本ではない。私は本書を「サイエンスヘルプ本」と捉えたい(17ページ)。

 

タイガー・ウッズやアインシュタインの成功が本書では登場します。これ以外にも無名の成功者、そうなれなかった人の説明も出てきます。

 

3 ザ・フォーミュラ5つの成功の普遍的法則

以下5つが本書で紹介される法則です。 

  

  1. パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す
  2. パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない
  3. 過去の成功 x 適応度 = 将来の成功
  4. チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だ。しかし、功績を認められるのはひとりだけ。 誰の功績かを決めるのはパフォーマンスではない。社会がどう評価するかだ
  5. 不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる

 

上記5つの法則を知れば本書を読む必要はない、ということにはなりません。

それぞれの法則の言わんとしていることは本書を手に取って読んでこそ理解できます。

 

以下は私なりの理解の簡単なメモを一部ご紹介します。

 

(1) パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す

成功のために、まず大切なのはやはりパフォーマンス。

たとえば、テニスの成功はポイントによる世界ランキング性が非常によくできており、テニスの実力がそのまま成功を導きます。

 

しかし、パフォーマンスが正確に評価できない分野があります。

たとえば、絵画の世界。誰の絵がうまいとか、価値があるとか、適切な尺度がどうもないようです。

 

アートの世界ではそのスキルを測定できない(86ページ)

 

とはいえ、アーティストの中でも、勝ち組・負け組の差はあります。

 

パフォーマンスは測れない。では何が勝負を分けたのか。

 

それは人脈、社会的なネットワークを築けたかによるというのが著者の説明です。

 

絵画の世界では、名高いギャラリーに絵を置いてもらうのが決定的に重要なのだそうです。

そのスーパーギャラリーのネットワークに入れるか否かが勝負の決め手になる。

 

誰にとっても成功するかどうかを決めるのは、地理ではなく、社会的なと仕事上のネットワークなのだ。そこには好機が溢れている。なぜならネットワークは、パワフルなハブによってーネットワーキングが本当に得意な人たちによってー相互につながっているからだ(87ページ)。

 

ここで、筆者は多くの人が勘違いしそうな点に警鐘を鳴らしています。

「トップを狙うなら、底辺から一段ずつのぼって行くことだ」という思い込みは棄てたほうがいい。

 

棄てたほうがいい、とまで言っています。

 

あらゆる分野のパフォーマンスがテニスのように明白ならば、それもいだろう。だが、自分がナンバーワンだと証明できないのなら、その出世の階段をのぼって行くのは難しい。となると、企業の重役室や一流ギャラリーのや憧れの職の面接結果を、自分のほうにぐいと引き寄せなければならない。

 

じゃあ何すればいいの?という問いに筆者は答えてくれています。

 

でも、どうやって?その出世の階段を”人づき合いの橋”に変えるのだ。孤立して働いている人はいない。たとえ自分がそう思い込んでいる時でさえ、あなたはひとりではない。……もし、遠い目標を自分の目の前に引き寄せたいのなら、夢の実現に拍車をかけるハブを見つけ出して、そのハブに働きかける必要がある。

 

こう見ると、出世のために有力者に取り入る、というサラリーマン処世術は超ウルトラ重要だということになります。

 

仕事のパフォーマンスってよくわからないですからね。

 

サラリーマンだけでなく世界の普遍的な法則だとは!

 

とはいえ、ネットワークだけじゃだめです。実力も必要です。筆者もそう言います。

 

ほとんどの職業はこの両極端な分野(注 パフォーマンス測定ができるテニスと測定できないアート)のあいだに位置する。つまり、ほとんどの人にとって成功はひとつの変数で決まるわけではない。あなたが弁護士か販売員、教師、あるいは投資銀行家ならば、程度の差はあれ、パフォーマンスもネットワークも重要である(88ページ)。

 

パフォーマンスとネットワーク両方が必要です。

 

 

(2) パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない

人が伸ばすことの能力(パフォーマンス)には限界があります。

たとえば、生身の人間では100m走はどんなにがんばっても9秒は切れないでしょう。

また、ゴルフやテニスの能力向上にも限度があります。ゴルフの難コースをいつも抜群のスコアで回れる能力は身につかないのです。

これが「パフォーマンスの上限」です。

 

他方で、「成功には上限がない」と筆者は言います。

筆者が用いた具体例はタイガー・ウッズです。

一時ウッズの名声はスキャンダルで地に落ちました。しかし、全盛期のウッズは圧倒的なパフォーマンスで、凄まじく高い収入を得ていました。

とはいえ、ウッズは他のスターゴルファーの2倍以上のパフォーマンスを発揮していたわけではありません。いつも勝てるわけでもなく、数字がすべてトップというわけでもありません。ウッズの全盛期であっても他に優れたパフォーマンスを発揮するゴルファーはいたのです。

しかし、世間でスターゴルファーとして有名なのはタイガー・ウッズ。ゴルフを知らない人でも多くの人に知られている。その結果、受け取る報酬は跳ね上がり、1年で100億円くらいで全世界のスポーツ選手の1位にもなりました。

 

パフォーマンスは他のゴルフ選手の2倍以上ではないのに、収入は2倍、いや10倍、100倍という差をつけていたのです。

 

こうした成功には上限がない、と筆者は説明します。

 

 
(3) 過去の成功 x 適応度 = 将来の成功

過去の成功にしがみついていても将来の成功は約束されません。

 

(4) チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だ。しかし、功績を認められるのはひとりだけ。 誰の功績かを決めるのはパフォーマンスではない。社会がどう評価するかだ

安土城を物理的に作ったのは大工さんかもしれません。しかし、「安土城を建てた」と社会が評価するのは織田信長です。

がんばればいいというものではありません。社会に認めてもらわなくてはいけません。

 

筆者はこう言います。

有名な教授の下で働くのは、この世界で評判を築く最善の方法には違いないが、その効果も最初のうちだけだと、私は学生に念を押す。いつかの時点で、独り立ちして自分の評判を築かなければならない(244ページ)。

 

有名企業や著名社長のもとで働くのは、ブランドを高めるのに役立ちます。

しかし、若いうちはそれでよいのですが、やがて通用しなくなります("その効果も最初だけ")。

 

(5) 不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる

諦めたらそこで試合終了ですね。 

 

4 『ザ・フォーミュラ』は社会での成功を求める人の指針となる本

いかがでしたでしょうか。

『ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした成功の普遍的法則』は、かなり念入りに「成功」を分析した学者の気合の入った本で、個人のなんとなく体験本とは一線を画しています。

自己啓発本はあまり好きではないが、しっかりした硬派な本が読みたいという人にもおすすめです。