『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(北野唯我著)の書評・レビュー
お勧め度:★★★★★
仕事辞めて転職しようかな、転職にあたってどんなことを考えたらいいだろうか、転職先の企業はどうやって選べばいいのか、こうした問いに答える「転職の思考法」を説く本です。
内容はとてもよく、面白く読みやすいので、とてもいい本です。今すぐ転職を考えてなくても将来のキャリア設計について考える人におすすめできます。
アラサー会社員主人公と、転職の思考法を教えるメンター役のコンサルのやりとりをメインとしたストーリー形式で書かれているのが読みやすさに役立っています。
1 転職思考法重要ポイント一覧
この本の中で、大事な考え、概念についてのまとめが出てきます。それをリストアップします。
- マーケットバリュー
- マーケットバリューの高め方
- 仕事のライフサイクル
- これから伸びるマーケットを見つける二つの方法
- 転職先となる会社の見極め方
- いいベンチャーを見極める3つのポイント
- 新卒で入るべき会社と、中途で入るべき会社の違い
- 転職エージェントのビジネスモデル
- いいエージェントの五箇条
- なぜ、企業は高いフィーを払ってエージェントを使うのか
- 転職後の給料について
- 仕事における「楽しみ」について
- being型の人間が、好きなことを見つける方法
- 自分にラベルを貼れ
- 転職の不安について
- 転職がより「当たり前」な世界へ
以下、いくつか興味深いトピックについてコメントします。
2 転職先となる会社の見極め方
転職しようと思っている人には、これは非常に聞きたい内容です。
著者は、「会社選びの3つの基準」として以下3つを挙げています。
- マーケットバリューは上がるか
- 働きやすいか
- 活躍の可能性は十分か
これだけ見てもわかりません。
しかし、「マーケットバリュー」については著者は重要視していて本の前半で説明がなされています。
また、転職先での活躍できる可能性があるかどうかを確認するための会社に対する3つの質問を著者は紹介してくれています。これが気になる方は本を買いましょう。
私が法律事務所からインハウスに移るときに選んだ会社は、上記3つの基準はどれもあまり満たしていないような気がします。もっと早くこの本を読むべきでした。
3 新卒で入るべき会社と中途で入るべき会社の違い
私は、「新卒で入るべき会社」に中途で入社しました。これはよくない決断でした。
しかし、法務転職の場合、これをやってしまいがちです。
なぜか?法務の求人は大手企業が多い。中小企業はそもそも法務部を持っていない。
大手企業の中から法務部を選ぼうとすると、特に国内系であれば、伝統的な超有名大企業と最近勢いがあるベンチャーから大企業に成長した企業とがあります。
保守的な人が多い法務業界では、伝統的な超有名企業に入りたい人が多い。就職人気度の高い、就職偏差値の高い企業に入りたいという何歳になっても変わらない衝動を抑えられません。
しかし、そうした企業は、新卒で入った人に支配され、中途入社は傍流です。
私は、この中途阻害文化の会社を全くわからず入社しました。
これは無視できないことでしたが、軽んじていました。
中途で入ったからと言っていじめられるわけではありません。中途でも重要な仕事はやらせてもらえます。しかし、将来の出世、キャリアパスが期待できないのです。能力の問題ではなく、「新卒か、中途か」が問題なのです。
これは悲しい。
特に弁護士で法律事務所からインハウスに転職しようと思っている人は、「弁護士」よりも「新卒」の方が重視される職場なのかどうかを調査し、そして、それでいいかどうかよく考えなければなりません。
4 転職活動前に読むべき本
私はこの本を読まずに転職活動をしてきました。この本を読んでいれば転職の考え方、取り組み方が変わっていたと思います。
これから転職を考えている人はぜひ一読をおすすめします。なんとなく転職エージェントに会うよりいい結果が得られると思います。
▶ 北野唯我『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(ダイヤモンド社、2018年)