海外にしばらく住めば英語ができるようになると思うな
- 海外に行けば英語がペラペラになる
- 海外に行かないと英語はできるようにならない
英語コンプレックスの強い日本人の過剰な思い込みです。
社会人の海外語学留学、語学研修は費用対効果で考えるとおすすめできません。
私は大学生のときにアメリカに1か月短期留学したことがあります。また、海外に留学した知り合いもたくさんいます。
英語を学ぶために海外に行く必要はありません。
遊びに行くならかまいませんよ。
何が目的か、その達成のための最適な手段は何かを考えねばなりません。
1 海外語学学校での英語の勉強の実態
海外にある語学学校での授業ならすごいのか。
すごくありません。ただ外国人が英語の授業をやるだけです。
内容もテキストを使って文法とか表現とかを外国人が英語で教えてくれるだけ。
楽しいか?楽しくないです。
生徒は授業を楽しみにしていません。
英語力がつくか?
うーん。。という返事が生徒から返ってくるでしょう。
2 海外での英会話はネイティブとの会話よりも非ネイティブとの方が多い
語学学校にいる生徒は、英語のネイティブスピーカーではありません。
冷静に考えたら当たり前です。
ノンネイティブだから勉強しに来ているのであり、ネイティブは金を払って英語の勉強に行きません。
当然私が行った語学学校もネイティブスピーカーの生徒は0人でした。
したがって、日々ネイティブスピーカーと話して語学力が上がる、なんてことはありません。
「ホームステイすればネイティブスピーカーと話せるじゃないか!」
そのとおり。
でも日中は語学学校に行っているのでホームステイ先の人とはそんなに会いません。
また、ホストファミリーとそんなにたくさん話した、という話はそれほど聞きません。
そして、ホストファミリーとたくさん話してもたかが知れています。
3 海外に行って日本人と仲がよくなる
これはしょっちゅうです。英語力を高めるにはよくない環境です。
海外に行けば不安です。
そんな中、日本語がしゃべれる日本人がいると安心です。
海外語学留学では日本人同士非常に仲が良くなります。
日本にいたら仲良くならないであろう人とも友達になります。
心理学の吊り橋実験のようなことが現実に起きます。
日本人が海外語学留学に行って一番よく起きがちなシチュエーションがこうです。
- 日本人と仲良くなって日本人同士でいる時間が増える
- 授業や宿題はなあなあでやる
- 外国人との英会話はいいかげんにごまかす
4 英語力は日本で伸ばせる
日本にいれば英語の学習素材は腐るほどあります。
本はたくさんありますし、インターネットでネイティブ素材も無数に入手できます。
ネイティブだからといって会話ではきれいな発音、表現、文法を使ってくれるわけではありません。
しかし、学習教材ならきれいな英語を学べます。英文スクリプトを見ることもできます。繰り返し見たり、聞いたりもできます。
人に「全く同じこと繰り返ししゃべって」と頼むのは難しい。
英会話がそんなにしたいなら、英会話学校は日本にたくさんあります。オンラインでの安い英会話もあります。
海外に行かなくても十分すぎるくらい勉強できます。
(1) ハーバート・サイモンの「旅行定理」
偉い学者も「海外に行って学ぶ必要はない」と言っています。
人工知能の父であり、意志決定の研究でノーベル経済学賞を受賞し、1940年代後半から2001年に他界するまでカーネギーメロン大学の教授を務めた故ハーバート・サイモンは、……自伝『学者人生のモデル』のなかで、1960年代に多大な時間と経費をかけて何度か海外へ現地調査に出かけた経験から「旅行定理」を発見したと述べている。
サイモンの「旅行定理」とはつぎのようなものだ。
まともなアメリカ人の大人が外国を旅行して(1年未満)学ぶことのできる知識は、サンディエゴの公立図書館に行けば、どんなことより速く、より安く、より簡単に学べる。
(フィル・ローゼンツワイグ『なぜビジネス書は間違うのか―ハロー効果という妄想』(日経BP社、2008年5月)12ページ)
これは英語を学びに海外短期留学に行く日本人にそのまま当てはまります。
まともな日本人の大人が外国の語学研修に行って学ぶことのできる英語の知識は、インターネットを使ったり、地元の本屋や図書館に行けば、どんなことより速く、より安く、より簡単に学べる。
(2) ハーバート・サイモンとは
ハーバート・サイモンは、「意志決定の研究に関して敵味方を問わず万人から開祖と認められ英雄視されている、おそらく唯一の学者である」と心理学者でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンにも絶賛される偉人です。
サイモンは、20世紀の知の巨匠である。彼は20代のときに組織における意思決定論を執筆し、これはすでに古典となっている。サイモンの数多い業績はそればかりではなく、人工知能分野の創設者の1人であり、認知科学の重鎮であり、科学的発見プロセスで多大な影響力を持つ研究者であり、行動経済学の先駆者である。そして、ほんのおまけでノーベル経済学賞を受賞した。
(ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー (下)』(早川書房、2012年11月)12ページ)
(3) サイモンの旅行定理について
サイモンの旅行定理については大きな反響があったようです。
さて、どんな反応があっただろうか。サイモンはこう書いている。「私の旅行定理に対して、人々は猛烈なまでに腹を立てる。ここでは旅行の楽しさではなく、知識を得るための旅の効率のことをいっているのだと説明しても、そんなことでは通じないらしく、怒りを鎮めてくれない。そういうおまえはしじゅう旅行しているみたいじゃないか、ほかの人間は旅行してはいけないのか、というのだ。気がおさまって定理の意味がわかっても、まだ反論する。理性で怒りを鎮めるにはそうとう時間がかかる―しかもたいていの場合、怒りは消えるのではなく、一時的にやわらぐだけだ。頭のおかしな男と争ってもしかたがないじゃないか、ということらしい」
(フィル・ローゼンツワイグ『なぜビジネス書は間違うのか―ハロー効果という妄想』(日経BP社、2008年5月)12ページ)
海外に行くことが悪いことなのではありません。
「知識を得るための旅の効率のことをいっている」のです。
英語を学ぶために、そのお金、その時間のかけかたは効率的といえるのか、ということです。
サイモンの旅行定理はすばらしいと私は思う。そのとおりだと膝を打ちたくなるからではなく、いろいろなことを考えさせられるからだ。今度の旅行の本当の目的はなんだろうか。遊ぶため?それとも学ぶため?学ぶためだとしたら、具体的に何を学びたいのか。そのための最良の方法は?地球の果てまで出かけなくても、身近な情報源を探したほうが時間もお金もかからずにすむのではないか。サイモンの定理に同意できなくてもいい。ここではそれは重要ではない。この定理がどんなときに正しく、どんなときにまちがっているかを考えようとすることが重要なのだ。そして、そのように冷静に考えることは、あらゆる場面で役に立つのである。
(同上)
サイモンの旅行定理からすると、英語学習目的の短期語学研修は全くの非効率です。
5 社会人になってから海外語学留学で英語力を大きく伸ばした人はいない
会社の制度で海外語学研修というのがあります。
全く非効率な制度です。
3ヵ月とかしばらく、会社の金で海外の語学学校に英語を勉強に行かせるのです。その間は仕事をしないのに給料も出る。
会社は数百万円の費用をかけている。
それで英語力が向上するか?
します。少しだけ。勉強してれば少しはできるようになりますよ。
問題は、数百万円かける価値があったのか?ということです。
より安い金額で、日本でできたのではないか、という代替手段が検討されていないのが大問題です。
「英語をやるならアメリカかイギリスに行かないと」という英語コンプレックスの人が思い込みで作り上げた制度なので、精緻な分析はされていません。
会社にある海外語学研修制度など廃止すべきです。金の無駄。
英語力向上のために海外に行かなければならないと思い込んでいる時点で、調査能力や分析能力が全くない。
業務で英語が必要なのに、自分で英語力を身に着けられず、会社の金で海外研修に行かせてもらうのを期待している人材が有望といえるのでしょうか。
6 英語の勉強に金をかけてもいいなら英語コーチングを活用すればいい
英語コーチングなら、毎日勉強するよう学習管理してくれます。
こちらの方がオーダーメイドで、継続的学習が可能になります。海外行くよりよほど効率的です。
高いですけど、海外に行くより格段に安いし、効果があると思いますよ。
海外に行くよりも英語コーチングの方が効率がいい。
プログリットを受講して大絶賛している弁護士の友人がいましたが、最近会った外資系金融に勤務する弁護士もライザップイングリッシュに通っていると行っていました。
① プログリット
② ライザップイングリッシュ