山崎元『一生、同じ会社で働きますか?』(文響社、2017年4月)を読んだ感想
(2020年3月30日改訂)
会社員で転職を少しでも考えたことがある人にはおすすめです。面白い本です。
著者の山崎さんは資産運用が専門で、「お金の増やし方」等の情報発信をよくされています。投資・運用系の山崎さんの説明は、金融機関に食い物にされないための説明をされていてためになります。
山崎さんは三菱商事から始まって12回の転職を経験されています。この本は、その経験に基づいて書かれていますので、具体的に体験されたこと、考えてこられたことが綴られています。それもあって面白く感じます。
内容は、本のタイトルのとおり、「転職はこの世の終わりだ」と考えている人向けに誤解を解く内容が多く含まれています。私は転職にはそれほど抵抗がないのですが、転職0回の人には転職には大いなるためらいを感じると思いますので、とても参考になるはずです。
著者の山崎さんがはじめに転職のために三菱商事を辞めるときに、「転職をなにがしかネガティブに見る雰囲気があった」なかで、以下のように説明していたということにはとても共感を覚えました。
自分の人事を自分で行っているだけなのだ
私は、転職には積極的です。
とはいえ転職それ自体は楽しくない面が多いにあります。
しかし、自分のキャリア設計の手段としては超重要・有益と考えています。
企業にいると、自分の希望や適性もあまり理解されない人事の対象になります。会社命令による望まない転勤も黙ってしたがうのが優れたサラリーマン、そのような転勤に逆らうのはダメなサラリーマン、そのような風潮が会社にはあります。
私はこのような考え方には大いに反対です。会社の言いなりにはなりたくありません。
山崎さんは、会社と個人は対等であるべきといい、主体性ある判断を重視するよう説いています。
私もその方がいいと思っています。
会社には、「自分にはどんな人事がくるかなあ」と口を開けて待っているだけのサラリーマンがたくさんいます。嫌な人事でもただ受け容れるだけなのです。これはかなしい。
会社内の異動は一つのステップアップの手段、転職も一つのステップアップの手段、どちらの手段も捨てずにベストと思えるルートを模索していくのがいいと考えています。