人生をより良くするため、哲学者、ビジネスマン、心理学者等々の成功者の叡智を1冊に集約
著者自信が成功したビジネスマンであり、とてもしっかりした内容で読みやすい。
「猛烈に売れた」いい本です。
お勧め度:★★★★★
(2020年3月31日改訂)
1 Think clearlyシンククリアリーはこんな本
著者の本書説明は次のとおりです。
世界は複雑で、ひとつの理念やいくつかの原則だけではとても把握しきれないということが、学界でも、政界でも、経済界でも、医療界でも、その他の多くの分野でも認められるようになった。
「これだけやれば人生はうまくいく」
ということはないそうです。1個じゃだめなんですね。
2 よりよく生きるためにはいろいろな思考法が必要
私たちが生きている世界を理解するためには、いろいろな思考法がつまった「道具箱」があるといい。そして私たちの日々の暮らしにも、同じような思考の道具箱が必要なのだ。……よりよい人生を送るための様々な思考法。そういう枠組みのことを、「思考法の道具箱」
という。
よりよい人生を生きるための知恵、原則は1個では足りず、複数必要になります。そうした知恵のセットを著者は「思考法の道具箱」といいます。
私は数年前から、これまで自分が使用してきた「思考の道具箱」をまとめることにした。
できあがった道具箱の中には、いまや私たちが忘れかけている古代の伝統的な思考モデルから最新の心理学研究の結果、ストア主義をはじめとする哲学やバリュー投資家の思考にいたるまで、いろいろな人生のコツがおさめられている。
私は実際に、毎日毎日これらの思考の道具を使って、人生で直面する問題や課題を克服してきた。
このとおり、多くのありがたい先人の知恵がつめこまれた「思考法の道具箱」の紹介が本書です。
著者独自の理論の紹介ではなく、過去の偉人たちの考えを自身の経験をふまえてまとめた内容です。
52個の原則がそれぞれ数ページでまとまっており、読みやすいです。多くが納得できる原則であり、「そうか!」と思えるヒット原則もいくつかありました。
3 人の依頼に簡単に応じるな
これはいい原則です。目から鱗です。
5 簡単に頼みごとに応じるのはやめよう(52ぺージ)
頼みごとのほとんどは、最初に思っていたよりも実行するのに時間がかかったというのに、私が引き受けたことによって、関係者たちにもたらされた収穫は思っていたよりもずっと少なかった。私は頼みごとに応えたのに、結果的に私の利益につながることもなかった。
頼みごとをつい引き受けてしまうのは、生き物の本能的な反応なのだ。
やりたくないのについ頼みごとを引き受けてしまう。断れない。
悲しいのは、引き受けても自分にも相手にも大してメリットはない。くたびれ損です。
そういう人はぜひ活用したい原則、対応です。
具体的にどうすればいいのか?
頼みごとは「5秒間」で応じるかどうかを決めるべきだそうです。
そう気づいた私は、対抗措置として、……チャーリー・マンガーが実践しているという「五秒決断ルール」をまねることにしている。
「すばらしい何かが見つかる機会なんて、そうそうあるものじゃない。だから、頼みごとの90パーセントを断ったとしても、チャンスを逃したことになんてまずならない」からだ。マンガーの言葉だ。
だから、頼みごとをされたときには、その無理な要求を検討する時間は、きっかり五秒間。五秒間で、決断することにしたのだ。
チャーリー・マンガーは、著名投資家として名高いウォーレン・バフェットの右腕、賢人としてこれまた有名な人物です。ハーバード・ロースクールを優秀な成績で卒業し、ロサンゼルス拠点の 法律事務所マンガー、ロールズ&オルソンの創立パートナーである弁護士出身の投資家であり、1代で数千億円を築いた資産家でもあります。
この本はこのマンガーさんの言葉はよく出てきます。
この「5秒ルール」を適用してみた著者はどうなったか。
するとほとんどの場合、答えは「ノー」。いくら頼みごとの数が多すぎるとはいえ、そのほとんどを断っていれば誰からも好かれるというわけにはいかないが、誰からも好かれたいがために頼みごとを全部引き受けるよりはずっといい。
あなたも絶対にそうしたほうがいい。
頼みごとを引き受ける人は、なんとなく「いい人」をふるまっていると疲れてしまいます。生産性も上がりません。
5秒ルールはそれを避けるのにいい方法のようです。
4 自分を偉いと思うな
人生でうまくいくために、「自分を重要視しすぎない」のが重要であると筆者は言います。
それどころか「自分を重要視する度合いが低ければ低いほど、人生の質は向上する」という、逆の相関関係まで成立する。
裏返すと、自分を重要視しすぎると人生の質は低下するということです。
なぜ自分を重要視しすぎると人生の質が低下し、その逆だと人生の質が向上するのか。
筆者は3つの理由をあげています。
(1) 自分を重要と思い込むには労力を要する
ひとつ目は、自分を重要な存在だと思い込むと「余計な労力」が必要になるからだ。
筆者が言うには、自分がVIPだと思いたい人はこのような頑張りが必要になります。
- 「俺はすごいんだ!」「私は重要人物」という絶え間ない外界へのアピール
- 「自分はどう思われているんだろう」という世間での評判チェック
筆者はこれらは「余計な労力」であり、省力化すべきといいます。
具体的に言えば、信じられないようなサクセスストーリーを披露したり、有名人と知り合いでもあるかのような自慢話をしたりして、注目を浴びようとすることをやめるということだ。
(2) 自信過剰になって判断ミスを犯しがちになる
ふたつ目は、自分を重要視すればするほど、「自己奉仕バイアス」に陥りやすくなるからだ。
自分を重要視すると、何のために行うか、自分のためでしょ、と考えて判断ミスをしがちになると筆者は言います。
自己奉仕バイアスに陥ると、何かの目標に到達するために何かを行うのではなく、自分をよく見せるために行うようになる。有望株だからという理由ではなく、自分の価値を引き上げるために魅力的なホテルや最先端技術を扱う企業の株を購入する投資家などはその典型的な例だろう。
そのうえ、自分を重要視する人には、自分の知識や能力までも「過大評価」する傾向があるため(いわゆる自信過剰というやつである)、結果的に、重大な判断ミスも犯しやすくなる。
(3) 「自分以外は無能」という態度が敵を作る
3つ目は、自分を重要視していると「敵」をつくってしまうからだ。
自分を大事にすること自体は悪くないことのはず。
どうして自分を重要視すると敵ができてしまうのでしょうか。
自分を重要視する人は、同じように自分自身を重要視している他人を許容できず、彼らを過小評価する。周りを低く評価しておかなければ、自分が重要な存在だという意識を保てないためだ。
他人の仕事、能力等について常に辛口評価をする人は、「相対的に自分が上。自分こそが優秀」という心理的優位を保ちたいがために他者を攻撃する。
その結果、敵を作ることになる。
5 シンククリアリーは読みやすく実践的でおすすめ
この本はけっこうなロングセラーになっています。
人材採用の方法とかも書いてあり、面白いです。